「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

子供が境界性パーソナリティ障害だったら

2013年03月31日 21時11分46秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 親たちは、 子供に対する責任は 自分にあると思って、

 ひどい行動にも 耐えようとするかもしれません。

 あなたの子供が 自分や他人に暴力的なことをしたら、

 セラピストや公共機関, 家族や友人に援助を求めてください。

○ 治療施設への入所

 入院した子供が、 本当に安全になる前に 退院させられる場合があります。

 退院した子が大量服薬して、 病院に逆戻りしたも例もあるので、 対策が必要です。

○ 警察の介入

 子供が 暴力や脅迫をした時は、 警察に介入してもらうことができます。

 傷害の危険が明らかで 切迫していると説明しましょう。

 子供に精神的な障害があることを 警察に知らせないと、

 反抗的な子供の問題だと 思われるかもしれません。

 危機的な情報を記した用紙を 事前に用意し、 警察に渡すことが勧められます。

 以下のようなことを記入しておきます。

・ 簡単な病歴

・ 診断名とその定義

・ かかりつけ医の名前

・ 服用している薬

 子供の行動がエスカレートし続け、 治療に同意しない場合は、

 精神科救急に収容されるかもしれません。

 危険な行動への対処は、 恐らく最も難しい局面です。

 しかし対策を立て、 外部に援助を求めることで、

 危険性を和らげ、 脅威を減らすことができます。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自殺の脅し (2)

2013年03月30日 20時57分29秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

○するべきこと

 自殺の脅しは、 勝ち目のない状況の中で 最もひどいものです。

 自殺の危険性を 受け入れることはできません。

 ボーダーの人はあなたに、 死ぬか生きるかの責任を 感じさせようとしますが、

 それを単純に拒否することです。

 境界をしっかり維持しながら、 ボーダーの人を支える気持ちを 表現してください。

 生きるか死ぬかを選択するのは ボーダーの人です。

 それを鏡のように 返してあげます。

 そして、 彼らに生きてほしいこと, 助けを求めてほしいと思っていると、

 はっきり伝えてください。

・ 「あなたが離れていくなら 死んでやる」 と言われたら

ex. 「君との関係を 終わらせようとしてるんじゃない。

   でも僕が 君の一部になることはできないんだ。

   僕がいなくても、 君自身の幸せを見つけてほしい。

   僕が君の自殺を 恐れるからここにいる、 みたいな関係は良くないよ。

   君を大切に思ってるから、 君に生き続けてほしいんだ」

 自殺の脅しを 深刻に受け止めているということも、 同時に伝える必要があります。

 声と態度で、 優しさや気遣いを示してください。

 自分には 危機的な状況で 専門的援助を与えられないと はっきり伝えながら、

 ボーダーの人の叫びに 適切な注意を払います。

 自殺の脅しは秘密にせず、 他の人たちの協力も得ましょう。

 支えてくれる人を探してください。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自殺の脅し (1)

2013年03月29日 22時49分09秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 ボーダーの人の8~10%が 自殺をするといいます。

 うつ病や統合失調症の人よりも、 致死的ではない自殺を図り、

 自殺についていつも考え、 自殺の脅しを繰り返すとのことです。

 他の疾患を合併していると、 実際に自殺する可能性が 高くなります。

 ボーダーの人が 本当に死にたいと思っているなら、

 ただちに 専門家の助けを求めてください。

○ 自殺の脅しに翻弄されていると 感じた時

 自殺の脅しに 恐怖を感じると、

 ノン・ボーダーの人の気遣いは 怒りに変わるかもしれません。

 多くのボーダーの人が、

 ノン・ボーダーの人が戻ってこないなら 自殺をするとほのめかします。

 ノン・ボーダーの人は 極度の罪悪感, 混乱, 不安を抱えることになります。

 ボーダーの人への一体感は消え、 不愉快な権力闘争が拡大していきます。

 それは双方にとって 公正ではありません。

 ボーダーの人は、 彼らの不幸の責任はあなたにあり、

 自殺をしたらあなたのせいだと 思い込ませようとします。

 専門家による治療が必要です。

○ してはいけないこと

・ 戦わない

 彼らが 本当に死のうとしているかどうかの 議論をしないでください。

 あなたが間違っていると証明するために、 彼らは自殺を実行するかもしれません。

・ 非難しない

 ボーダーの人が あなたを操作していると言って 責めないでください。

 あなたの良心に反することを 要求されても、 直感に従ってください。

 ボーダーの人の行動で あなたがどんな気持ちになるか、 話し合ってもいいでしょう。

・ 強迫に屈しない

 あなたの心遣いを証明するために、 相手に哀れみを示さないでください。

 強迫に屈しても あなたの怒りは治まらないし、

 ボーダーの人が自分を傷つける 可能性も残ります。

 根本的な問題は解決されず、 同じシナリオが繰り返されます。

・ 助けを求める

 相手の要求に屈した経験があるなら、 専門的な援助を求めてください。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今年の花見 -- 誰のしわざ (2)

2013年03月26日 21時57分19秒 | 心子、もろもろ
 
 今年の桜は 記録的な速さで咲き進みましたね。

 毎年見に行く 心子との想い出の桜並木ですが、

 今年は 満開を好天の下で見る 機会が持てませんでした。

 写真を撮ってきましたが、夕方で暗めのものばかりなので、

 ここに掲載するのは 下の一枚だけ。

 心子とも こんな桜をバックに 写真を撮ったのでした。



 去年に引き続き、 花の数が少なくなってきているようです。

 中には 枯れ枝のようになってしまっているものもあり 気がかりです。

 心子と写真を撮った 大きな木も、

 大分さびれてしまったような感じで、 とても残念に思います。
 

 さて、 桜の花びらは 1枚ずつ散りますが、

 花びら5枚の花の形のまま 落ちるものがあります。

 以前の記事に、  「誰のしわざ?」 と 題したものを書きました。

 スズメなどの鳥が、 桜の花の蜜を吸うために、 花の付け根をちぎるのです。

http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/58387901.html

 今年は その “犯行現場” を目撃しました。

 舞い散る花びらの中に、 5枚の花びらを付けた花が、

 プロペラのように くるくる回りながら落ちてきます。

 次々と落ちてくるので、 上を見上げると、 やはりスズメがいました。

 その日はたまたま

 千鳥ヶ淵でスズメ、 心子と行った桜並木では 別の鳥を見ることができました。

 “連続事件” ですね。
 



 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自傷行為 (3)

2013年03月24日 19時44分23秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より

(前の記事からの続き)

○ 自傷行為に境界を設ける

・ ボーダーの人の言葉

 「僕が 自己破壊的なことをする前に、 友人に連絡した時は、

  彼らは 僕と話をしてくれてもいい。

  でも僕が飲んだくれたり 自分を傷つける時は、 こう言うべきだ。

  『君のことは大好きだよ。  でもこんな時は 君に関わりたいと思わない』

  僕の自己破壊的な行動は 強化されなくなる。

  飲んだり切ったりすれば 心配してもらえるという ご褒美がなくなるからね。

  友人も、 僕を見捨てたという 罪悪感に苛まれなくてすむ」

・ ノン・ボーダーラインの言葉

 「彼の自傷行為は 彼以上に私を傷つけた。

  彼はそれを分かっていて、 うまくいかない時は自傷行為をした。

  私はひどい罪悪感を感じて、 支配されていた。

  でも 彼の行動の責任は 負わないと言ったわ。

  血が流れているの見たら、 救急車を呼んで その場を離れたの。

  そこにいてなだめたりしたら、 それを容認することになるから。

  今では彼も、 一人になりたくなければ 境界を守らなければと分かってきたの」

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自傷行為 (2)

2013年03月23日 22時48分25秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より

(前の記事からの続き)

○ するべきこと

・ ボーダーの人が 自傷行為をすると脅したときは、 セラピストに知らせる。

  この先、 自傷行為が起こったらどうするかを 話し合う。

  それが無理なら、 あなたが 専門家の援助を求めてください。

  入院を検討すべきこともあります。

・ 冷静さを保ち、 丁寧に話をする。

  あなた自身のパニックで、 彼らの混乱を助長しないように。

・ 必要なら、 適切な治療を探す。

 
  この問題は、 支持的に、 落ち着いた態度で、

  事実に即して扱わなければなりません。

   ex. 「一緒に病院へ行きましょう。  そして調べてもらいましょう」

・ ボーダーの人が サポートチームに加わるように 援助する。

  セラピストを探す。

・ ボーダーの人への共感を示し、 耳を傾ける。

  彼らがどう感じているか、 あなたが理解しようとしていると 表現しましょう。

  相手を気遣いながら、 質問してください。

   ex. 「どんな気持ちなの?」  「私にできることがある?」

  ボーダーの人の恐れ, 苦悩, 心の混乱を 過小評価しない。

  あなたが今までに感じた 最悪の気持ちを、 3倍にしてみてください。

・ ボーダーの人にも 解決手段を考えてほしいと示し、

  愛と受容の気持ちを 強く伝える。

   ex. 「あなたが自分を傷つけると、 無力感や怒りを覚えるの。

   理解したいと思ってる。

   でも二度と こんなことをしてほしくない。

   もししたくなったら 私に話すか、 先生に電話して」

・ 良い面を取り上げ、 励ます。

   ex. 「2週間 自分を傷つけずにいられたね。  またできると思うよ」

・ 害にならない 別の刺激を提案する。

  ex. 氷をつかむ, 激しい運動をする, 唐辛子やレモンなどをかじる

    そうするかどうかは ボーダーの人次第です。

・ ボーダーの人が、 自傷行為を人にばらさないでほしい と言ったら、

  あなたには この問題を一人で扱う力がないと はっきり示す。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自傷行為 (1)

2013年03月22日 21時36分17秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より

 ボーダーの人の自傷行為に 直面すると、 

 ノン・ボーダーラインの人は 不安, 怒り, 失望, 嫌悪, 無力感を感じます。

 対応するには バランスを取る必要があります。

 無意識に罰を与えたり、 彼らに恥ずかしい思いをさせたりせず、

 相手を気遣い、 支えなければなりません。

○ してはいけないこと

・ 人の行動に 責任を感じないように。

  あなたが原因ではないのです。

  あなたがきっかけを作ったとしても、

  原因は別のもの (ボーダーの人の中のもの) です。

・ どんなに安全に配慮しても、 刃物などを全て取り除いたり、

  ボーダーの人を 24時間監視することはできない。

  ボーダーの人が 自分を傷つける気になったら、 必ずそうします。

・ セラピストになろうとしない。

  専門家に任せましょう。

・ ボーダーの人を、 自傷行為をする人と考えない。

  自傷行為は 彼らそのものではありません。

・ 自傷行為の内容について くどくど言わない。

  きっかけを作らないよう、 最大限の注意を 払う必要があります。

  しかしあなたが 自傷行為のきっかけになったとしても、

  あなたのせいではありません。

・ 道徳を持ち出したり、 説教したり、 愛想をつかしたりしない。

  ボーダーの人は 自傷行為が悪いことだと分かっています。

・ 羞恥心や罪悪感を 抱かせるようなことを言わない。

  本人はすでに 羞恥心を抱えています。

・ 怒ったまま, 或いはコントロールするようなやり方で、 相手に脅威を与えない。

  彼らは 罰せられたように感じるかもしれません。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

緊急時の対策を持つこと (3)

2013年03月21日 22時13分55秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/63291429.html からの続き)

○ 怒りにも境界を設定する

・ 落ち着いている時に 境界を設定する

・ その場を離れても、 また戻ってくることを伝え、 ボーダーの人を安心させる

・ ボーダーの人も 事態をコントロールできると説明する

  彼らが冷静になれば あなたはその場に留まり、 怒り続けるならその場を離れ、

  落ち着いたら戻る。 彼ら次第だと伝える


 反発がエスカレートしても 対応できるよう準備しておきます。

 一貫性を保つことが重要です。

 彼らは、 自分を落ち着かせて 他の行動を取るための 手段を持っていないのです。

 あなたが何を受け入れ、 何を受け入れないかを 決定しなければなりません。

 あなた次第なのです。

○ ボーダーの人からの提案

 「人が僕を落ち着かせようとすると、

 僕はよけい腹が立って、 無力感を感じるんだ。

 頭では分かっているけど、 そう感じてしまうんだ」

 「私の怒りを鎮めてくれるのは、

 夫が  『君は怒ってるんじゃなくて、 恐いんだね』 と言って、

 抱きしめてくれること。

 怒りが溶けて、 再び恐怖を感じることができるの」

 「怒り自体は悪いものではないけど、

 相手の自尊心を傷つけないやり方で それを表現する必要があることを、

 ボーダーの人に教えてあげて」

 「一番いいのは、 私の話を聞いてくれること。

 すると気分も治まるの。

 怒りは 皆が私を無視したり、 信じてくれないから起こるのよ」

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

身体的虐待

2013年03月20日 20時35分05秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 身体的虐待は どんなものでも深刻に受け止めてください。

 エスカレートする可能性は 潜在的にあります。

 暴力を目撃した子供には、 虐待を受けた子供と同じような 影響が見られます。

 避難所や危機介入プログラム、 インターネットからの情報は入手できます。

〔稲本注: 本書の内容はアメリカの事情です。〕

○ 男性の被害者

 家庭内暴力が 女性にとって深刻な問題であることは 知られるようなりました。

 しかし 虐待される男性の問題は いまだ表面に現れません。

 巨漢の男性が 小柄な女性から 暴力を受けることもあります。

 男性は 女性を殴ってはいけないと教えられたり、

 自分がみっともない思いをしないために、

 黙って耐え忍ぶべきと 考える人が多くいます。

 彼らは 助けを求めることができません。

 その結果、 ノン・ボーダーラインの男性が 傷つくのと同時に、

 暴力的な女性自身が 援助を得る機会を失います。

 状況に対処する提案があります。

・ 相手を傷つけない

  常に冷静に。 特に 専門家と話す場合は

・ 警察を法的機関, 社会サービス団体など、 今すぐ誰かに相談する

・ 虐待の証拠を厚め、 あなたや子供を守るため、 法的機関の意見を聞く

  自分を保護するための 手段を行使する

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

緊急時の対策を持つこと (2)

2013年03月19日 21時06分14秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

○ 何をすべきか

 ボーダーの人が 怒り狂っている時は、 自分や子供を 避難させるのが第一です。

 ボーダーの人が怒り続けるなら その場から避難し、

 落ち着いて話すなら 喜んで支える、 と穏やかに言いましょう。

 選択は彼らに任せ、 彼らの行動次第だということを 明確に伝えます。

 避難の仕方は 次のようなものがあります。

・ 人が入れない部屋に逃げ込む

・ 友人の家へ行く

・ 子供を連れて映画に行く

・ ヘッドホンを付けて音楽を聴く

・ 電話を留守設定にしたり、 電話線を外す

・ 手紙やメールを拒否する

○ してはいけないこと

 怒りを無視し続けないこと, 容認し続けないことが 大切です。

 怒りは感情的な虐待であり、

 受け続けると 自尊心が蝕まれ、 お互いの関係も損なわれていきます。

 すぐ助けを求めてください。

 怒りに怒りで応酬しないことです。

 ボーダーの人は 意識的あるいは無意識的に、 あなたを怒らせようとします。

 でも もし怒ってしまっても、 あまり自分を責めることはありません。

 仕返ししたくなるのが人情です。

 彼らの怒りをコントロールできなくても、

 うまく対処できると分かれば 自信を持てるでしょう。

(http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/63295362.html に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

緊急時の対策を持つこと (1)

2013年03月18日 20時02分15秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 ボーダーの人の 激怒, 身体的虐待, 自傷行為, 自殺企図は、

 ノン・ボーダーラインの人に 恐怖をもたらします。

 これらに対処するには、 計画を立て、 外部の助けを求めることです。

 うまくいけば、 ボーダーの人が 専門的な援助を受けようとするかもしれません。

● コントロールを欠いた怒り

 ボーダーの人たちは 次のように言っています。

 「私はただ 自分を守ろうとしているだけ。

 人が寄りつかなくなることは 分かっているのに」

 「怒りをぶつけるときは、 その人が感情を持った人間と 思えなくなる。

 憎しみの対象, 敵になるんだ。

 僕は妄想的になって、 その人が僕を 傷つけようとしてると思い込んでしまう。

 僕は断固として その人を支配できると 証明しようとするんだ」

 「私が心配してるのは、 愛を失うことよ。

 すごく怖くなって、 怒りで表現してしまうの。

 怒りは 恐れより扱いやすいから。

 傷つきやすさを感じなくて済むし」

○ 怒りと理屈は相いれない

 ボーダーの人が怒っているときは、 筋の通った行動は期待できません。

 彼らがそうしたがらないのではなく、 できないのです。

 その時は、 脳の論理的言動の中枢が 正常に機能していません。

 理性的な話し合いは、 落ち着いてからにすべきです。

 ボーダーの人は どんな怒りも同じ強さになってしまう、 とも言われます。

 軽いイライラと強い怒りの 区別ができないようです。

 ボーダーの人に、 「今の怒りは 1から10までの物差しで いくつくらい?」

 と質問してみるのも役立ちます。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

根気強く続ける (2)

2013年03月17日 21時34分25秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

○ 用心して助けを求める

・ 専門家に相談する

  子供が巻き込まれていたら、 メンタルヘルスの専門家と相談してください。

  その人が、 BPDと子供の問題の両方に 通じていることが重要です。

・ 情緒的な準備を行なう

 ボーダーの人の反応を受け止めるだけの 情緒的な準備ができているか、

 メンタルヘルスの専門家と話し合ってください

 自分を守るためには、 多くの愛情や援助が必要です。

 あなたの行動に 感心しない人もいるかもしれません。

 彼らが彼ら自身の意見を 持つことを認め、

 あなたが その人たちとの関係を 続けたいと思っていると伝えてください。

○ 自分をコントロールできることで、 うまくいっているか確かめる

 ボーダーの人の反応を コントロールすることはできません。

 あなた自身をコントロールすることで、 うまくいったかどうか 評価してください。

・ 大人として反応できたか

・ 自尊心を表明できたか

・ 話の焦点を保てたか

・ 冷静さを保てたか

・ 議論に巻き込まれなかったか

・ 相手の感情に配慮できたか

・ 自分にとっての真実を 見失わなかったか

 イエスと答えられたら、 自分を褒めてあげてください。

 今すぐできなくても、 ボーダーの人との関係を 変化させることは可能です。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

根気強く続ける (1)

2013年03月16日 21時36分48秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
○ 境界が認めてもらえないときは? 

 ボーダーの人が 境界を認めてくれないときは、 以下のようなことができます。

・ 話題を変えたり、 話し合いを拒否

・ その場を離れたり、 電話を切る

・ 電話番号を変えたり、 部屋の鍵を変える

・ 第三者がいるときだけ、 その人と過ごす

・ 手紙やメールを読まない

・ 自分の気持ちを変えず、 ノーと言う

・ セラピストや友人に 助けを求める

・ 警察に連絡する

・ 会うことをやめるか、 関係を絶つ

・ 子供のために 別の住まいを見つける

・ 子供を虐待から保護する

 当然ボーダーの人は  「見捨てられた」 と感じます。

 なので、 反抗するためにしているのではないと 丁寧に説明しましょう。

 境界設定が 二人の関係を健全にするのに必要で、 関係を長く続けるために、

 境界を認めてくれるよう頼んでいるのだと 伝えてください。

○ 一貫性を保つ

 常に冷静に 自分の境界を守るべきです。

 耐えがたい行動を見逃すと、 結果的に その行動を強化してしまいます。

 心の準備が大切です。

 「~したらどうする」 ということを 充分考え、

 どういう手段をとるか 決めておいてください。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

相手に変化を求めること (4)

2013年03月14日 20時44分53秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

 ボーダーの人の 反発に対応する表現を いくつか紹介しましょう。

「あなたを大切に思っているから、 力を合わせて 二人の関係を良いものにしたい。

 同時に 自分のことも大切にしたい」

「あなたがどう行動するかは あなた自身が決めること。

 私のすべきことは、 私自身を大切にすること」

「僕たちは それぞれ別の人間で、 違う考えや気持ちを 持ってるんだ。

 同じ気持ちにならなくても、 僕の気持ちも大切にしてほしいと お願いしてるんだ」

「私に同意しない権利が あなたにはある

 私にも、 自分を大切にする権利がある」


 他にも、 論争に持ち込まないための、 以下のような対応があります。

「それはあなたが決めることよ」

「落ち着いてから話しましょう」

「誰も悪くない。 見方が違うだけ」

「責任を半分以上は引き受けたくない」

「気に食わないことは分かってる。 でも譲れないんだ」

「僕には考える時間が必要だ」

「私を引きずり込まないで」


《強い抵抗への対応》

 ボーダーの人が反発するのは、 

「あなたは 私の対応方法を奪おうとしている。

 元に戻して」 というメッセージです。

 怒りや非難, 暴力はもっとひどくなるでしょう。

 (暴力から身を守る方法は 後に取り上げます。)

○ 反発は当然の反応

 反発が起こったからといって、

 あなたが間違っているとか、 効果がないということではありません。

 ボーダーの人に 難しいことをお願いしたということです。

 境界を設けることで、 ボーダーの人が 自分自身を真剣に見つめるようになり、

 援助を求める決断をすることもあります。

 何が起ころうと、 結局 いつかは起こりうることなのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

相手に変化を求めること (3)

2013年03月13日 20時53分08秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

《反発に備えておく》

 意味のない争いをやめ、 自分の要求や信念を 主張すると、

 大抵相手は 行動を変化させます。

 ボーダーの人がどう反応するか 予測しておくのが重要です。

 投影, 怒り, 非難, その他の防衛機制は、

 彼らの苦痛を あなたに感じさせようとする試みです。

 彼らが自分自身で その苦痛を扱えるように、 断固として それを本人に返します。

 当然彼らは傷つき、 反発するでしょう。

 それに立ち向かえるかどうかが、 二人の未来を決定します。
 

 境界設定に対する反応には、 3つの段階があります。

 軽い抵抗, 強い抵抗, 強迫です。

 (ボーダーの人は いきなり強迫する場合もあります。

 強迫については 後に取り上げます。)

《軽い抵抗への対応》

 反発する人が示す、 幾つかの方法を述べます。

・ 曲解

  自分の動機は 純粋で尊重されるべきだが、

  相手の動機は 陰湿で利己的だと言います。

・ レッテル貼り (決めつけ)

  彼らの 「ねじ曲がった」 見方を強化し、 事実を崩そうとします。

  多くは投影によります。

・ 病気にさせる

  あなたが病気だと 思い込ませようとします。

  ノン・ボーダーラインの人の多くが、 ボーダーだと言われて責められます。

・ 仲間を引き込む

  他の人を使って あなたに圧力をかけようとします。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする