「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「任侠ヘルパー」 はパクリ?

2009年07月09日 10時01分32秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
 本日夜10時から フジテレビで、

 草なぎ剛主演のドラマ  「任侠ヘルパー」 が始まりますね。

 極道が介護をするというのは、 僕が書いた企画の パクリか?  (^^;)

 僕が昔に書いた 介護ドラマのストーリーを、 ブログに連載してあります。

 読んでみてください。

http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/41907944.html

 僕のストーリーは、 2000年の介護保険施行の時に書いたもので、

 実在の車椅子社長・ 春山満さんを モデルにしています。

 いずれにしろ 介護は、これからますます 身近なものになるでしょうね。
 
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「車椅子社長の猛烈ケアビジネス」 企画書 (2)

2009年04月20日 20時20分18秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
(前の記事からの続き)

 しかし美由は、

 現実を知らない 自分の甘さも 思い知らさぜざるを得なかった。

 献身や慈悲だけでは 介護はできない。

 金がなければ 優しさは続かない。

 それが不動の信念だ。

 やがて美由は 不動の内に秘められた 真の人間性や、

 ビジネスの理念というものを 理解していく。

 放埒な車椅子社長・ 不動の姿を通して、

 現実的な 介護に大切なものを 伝えていきたい。

 また美由は、 ヘルパーのフィリピン人 シンシアの的確なスキルに 感嘆する。

 理想と意欲だけでは ケアはできないことに思い至り、

 次第に現場のケアを 身に付けていく。

「 ずぼらでなくちゃ 介護は続かない。 」

 それが シンシアのモットーだ。

 そうして家族もまた 老人への接し方を学び、

 関係が良くなることによって、 老人の状態も良くなっていく。

 そして 親子の愛情も蘇るのだった。

 どんな障害があっても、

 人は 望みや理念を持って 生きていくことができる。

 傷害を抱える不動は 自ら身をもって それを実践している。

 不動は、 車椅子ラグビーという “格闘技” の

 勇猛なアスリートでもある。

 不動は 自分にしかできない 介護のシステムを作ってきた。

 それは 人の善意だけに頼った 画餅ではなく、

 地に足の着いた 現実的な道である。

 そして その底流にあるのは、

 人の人に対する 愛情だということを 描くドラマである。

 暗いことが多い 世の中だが、

 それを乗り越えていく 希望や力を感じ取ってもらいたい。

 -----------------------------------

 以下、 ストーリーは 下記の記事から連載しています。

http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/41907944.html
 
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「車椅子社長の猛烈ケアビジネス」 企画書 (1)

2009年04月19日 14時44分45秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
(※ 2000年の 介護保険制度が施行されるときに 書いたものです。)

[企画意図]

 本格的な高齢社会を迎え、

 介護の問題は 誰にとっても 避けて通れないものになってきた。

 個人が 辛い重荷として背負わずに、

 社会的にシステムとして 支え合っていくことが肝要だ。

 「介護」 「福祉」 という言葉には、

 人の役に立つとか 高邁な慈善事業とかいう 罠がある。

 しかし 健全な利益がなければ、 ビジネスとしての介護は 成り立たない。

 利益があってこそ 次の活力が生まれ、

 さらにサービスを 提供することができる。

 それが 利用者のためにもなる。

 儲けなくして 優しいサービスは続かないのだ。

 介護ビジネスは 生き残るため命懸けの 真剣勝負である。

 金儲けと 心のこもったケア、

 一見矛盾する ふたつの葛藤を このドラマでは描いていく。

 当の家族にとって 介護は切実な問題だ。

 一人で抱え込むのではなく 人の力を借り、

 時には 気を抜くことも重要だし、 スキルも必要だ。

 それまで元気だった親などの 老いた姿を見るのは 辛いことではあるが、

 ありのままに受け入れ、 「共にある」 ということを 何よりも大事にしたい。

 やはり一番大切なのは、 お互いの愛情なのだ。


 主人公の新米介護福祉士・ 美由は、

 お年寄りとの思いやりのある 理想的な触れ合いを求めて、

 介護会社に入ってきた。

 ところが、 障害者で車椅子の社長・ 不動は やくざまがいの風体で、

 介護をビジネスとして割り切る 尊大で貪欲な男だった。

「 従来の 公平なバラマキ福祉が 財政を食いつぶした。

 介護は競争の時代だ 」

 そう言って憚らない、 儲け主義の不動。

 美由は不動に反発し、 自分の 理想の介護を求める。

(次の記事に続く)
 
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「無意識の彷徨」 (23)

2007年05月14日 20時49分51秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47496171.html からの続き)
 

○空

  高い空。
  白い雲。
  清々しい……。
  

○霊園

  広大な空間。青々とした木々。
  明るい花が咲き競う花壇。
  則子の墓石の前に裕司,なつみ,友辺。
  線香の煙が燻る。
  裕司、則子の墓に水をかけて手を合わせ
  る。
裕司「(墓石に)……この頃、お母さんのこ
 と、少しずつ思い出してきたよ……優しか
 ったお母さんのこと……」
なつみ「(目を細めて)よかったね、裕司く
 ん……」
裕司「(ゆっくり立ち上がり)……でも、母
 の事故の光景が目に焼きついて……(辛そ
 うに目を伏せる)」
なつみ「(思いを寄せる)……その強烈な記
 憶はもう消えることはないでしょうね…
 …」
裕司「……僕、考えたんです……もう、逃げ
 てたらいけないんじゃないかって……過去
 から目を背けていたら、僕はまた自分をな
 くしてしまうから……」
なつみ「9才の裕司くんは逃げるしか自分を
 守るすべがなかった。でも今のあなたは…
 …」
裕司「向き合っていくことが必要なんじゃな
 いかって思ってます、消されてしまった記
 憶と……」
なつみ「トラウマを克服するには心のケアが
 大切なの。でもそれは一人でできる作業じ
 ゃない。カウンセリングを受けながらじっ
 くり時間をかけていかなければ……」
裕司「……僕は、本当の自分になりたいんで
 す……」
なつみ「楽な道じゃないけれど、これを乗り
 越えなければ裕司くんの傷は一生消えない
 と思う……。裕司くん、本当にそれをやる
 気持ちがある?」
裕司「……はい(意思の強い目)」
なつみ「(頷く)その言葉を待ってた。カウ
 ンセリングは本人からその気にならなけれ
 ばできないことだから。いいドクターのい
 る病院、紹介するわ」
裕司「お願いします(頭を下げる)」
なつみ「私は警察の心理士だから、ここまで
 しかできないのが本当に残念……(裕司の
 手を取り、じっと目を見つめる)きっと裕
 司くんの心が癒されることを祈ってるよ…
 …(心を込めて)」
裕司「……本当は、恐いんです……でも、き
 っと母が、僕を守ってくれると思います…
 …」
なつみ「(感慨深く)裕司くん……」
友辺「………」
  初めて裕司に穏やかな笑顔が見られる。
  友辺、裕司の肩を叩く。
  裕司の手を握るなつみ。
  三人の姿を見守る則子の墓石、則子の顔
  が浮かんで重なる。
  大きな愛で裕司を慈しむような則子。
裕司M『……お母さん……』
  清爽とした裕司の表情。
なつみ「………(笑顔)」
  見上げる上空に鳥が舞う。

        (終)
 
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「無意識の彷徨」 (22)

2007年05月12日 20時15分48秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47472651.html からの続き)
 

○街路樹

  
○警察署・心理課

  なつみと裕司。
なつみ「(書類を持って。明るい様子で)精
 神科医の鑑定結果は『健忘』ということに
 なりました。事件当時、裕司くんの精神は
 全く別の世界に行っていて意識はなかっ
 た」
裕司「………(複雑な思い)」
なつみ「あとは裁判所の判断だけど、もしあ
 なたが何かしていたとしても、有利な材料
 には違いないわ」
裕司「ありがとうございます……」
なつみ「事件当時のこともそのうち思い出す
 かもしれないし」
裕司「はい……(落ち着く)」
  ドアをノックする音。
なつみ「どうぞ」
  ドアが開き、友辺が顔を出す。
友辺「犯人が二人挙がった」
なつみ「え?」
友辺「ゴーグルの指紋からアシがついたんだ、
 前科のあった奴で」
なつみ「裕司くんはその仲間なの?(不安気
 に)」
友辺「犯人が言うには、現場に通りかかって
 被害者を助けようとした男がいたそうだ。
 その男に顔を見られたんで、追いかけたけ
 ど逃げられたと供述してる」
なつみ「(不安と期待が入り交じって)その
 男って……?」
友辺「男本人は何も覚えがないそうだよ、あ
 っはっは!(隠していた喜びを一遍に出
 す)」
なつみ「はぁ……! やったぁ!(裕司の手
 を取る)」
友辺「よかったな、西脇!」
裕司「……は、はい……!(浮足立ち恐縮す
 る)」
なつみ「(喜んで)裕司くんはきっと犯人に
 追いかけられた恐怖で意識をなくしたの
 よ!」
裕司「……あ、ありがとうございます……!
 (感慨)」
なつみ「よかった、裕司くん!(裕司に抱き
 つく)」
友辺「おい、あんまり抱きつくなよ!」
なつみ「んー!(構わず裕司をぎゅっと抱き
 しめる)」
  どぎまぎする裕司。
  
(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47547133.html  
 
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「無意識の彷徨」 (21)

2007年05月11日 20時06分05秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47422983.html からの続き)

  
○警察署・外景

  ---フェイドイン。


○同・廊下


○同・心理課

  裕司、ソファに横になり片手の甲を目の
  上に当てている。
  なつみと友辺が見守っている。
裕司「………」
友辺「……君はお母さんを見捨てたんじゃな
 かったんだ。子供の力ではどうしようもな
 かった。精一杯のことをしたんだよ……
 (労る)」
  裕司、唇を噛みしめる。
なつみ「目の前の恐怖に対して、裕司くんは
 感情を消し、現実から自分を切り離すこと
 で身を守った……(慰謝する)」
裕司「………(涙が滲む)」
なつみ「そして最愛の人を失った苦しさから
 免れるために、お母さんの以前の記憶も消
 してしまったんだと思う……」
裕司「……僕は、母を嫌いだったんじゃない
 んですね……?(確認するように)」
なつみ「あなたはお母さんを心から好きだっ
 たのよ……(愛情深く)」
裕司「……母も、僕を……」
なつみ「(裕司の手を包み、深く頷く)その
 とおりよ……ご自分の命に代えるほど…
 …」
友辺「女性の力で、9才の子を体ごと放り投
 げたなんて……」
裕司「……母が、僕を助けてくれた……お母
 さんが僕を………(涙が止めどなく溢れて
 くる)」
  なつみ、裕司を抱く。
友辺「………(見守る)」
  裕司、なつみの腕のなかで嗚咽する。
  背中が大きく震える。
なつみ「………(裕司を強く抱きしめる)」
裕司「………お母さん……!(涙)」
  
(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47496171.html
 
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「無意識の彷徨」 (20)

2007年05月09日 21時14分36秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47399540.html からの続き)
 

○フラッシュバック

 〔前の裕司の声が被さる。〕
  両手を突き出して必死に飛び出す裕司。

○心理課

  裕司、猛然と立ち上がり、両手を突き出
  してなつみに飛びついてくる。
なつみ「あ……!?」
友辺「何をする!!」
  友辺、反射的に裕司の胸ぐらを掴み、背
  負い投げをかける。
  裕司の体がふわりと宙に浮く。

○フラッシュバック

  9才の裕司の体が宙に舞う。

○心理課

  床に投げられる裕司。

○フラッシュバック

  裕司、草むらの中に落ちる。

○心理課

  仰向けになり、驚愕した裕司の顔。
  天井が回るように見える。

○フラッシュバック

  空中にいる裕司。
  周囲の景色がぐるりと回る。
  警報機と電車の音が鳴り響く。

○心理課

  愕然とした裕司の顔。
9才の裕司の声「……お母さぁん……!!」
  警報機と電車の音が重なる。

○回想

 〔以下はロングも用い、裕司と則子の位置
  関係を描く。〕

  点滅する警報機。
  線路上にいる裕司と則子。
  足を抜こうとするが動けない。
  電車が近づいてくる。
裕司「お母さん! 危ないよ……!!」
  裕司は必死にブーツを引っ張り則子を助
  けようとする。
  ヒールはがっちりと線路に挟まって抜け
  ない。
  轟音とともに迫ってくる電車。
  泣き叫ぶ裕司。
則子「裕司! 逃げて……!!」
裕司「(泣きながら)いやだ!! お母さん…
 …!!」
則子「逃げなさい……!!」
  裕司を引き離そうとする則子。
  必死でヒールを線路からはずそうともが
  く裕司。
  目の前に突進してくる電車。警笛。
裕司「お母さぁん……!!」
  裕司、無我夢中で則子を突き飛ばそうと
  両手を突き出して押す。
則子「裕司……!!」
  小柄な則子が、無我夢中で裕司を体ごと
  放り投げる。
  宙を舞う裕司。
  裕司の視界で則子と周りの景色がゆっく
  り一回転する。
  草むらに落ちる裕司。
  額に傷を負うが、必死で顔を上げる。
  瞬間、電車と則子が接触する。
  木っ端微塵に打ち砕かれる則子。
  裕司に真っ赤な血飛沫が吹きかかる。
  激しく軋む急ブレーキの音と共に走りす
  ぎる電車。
  凍りついた裕司の表情(能面のように見
  える)。
  フェイドアウト---。

(続く)
 
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「無意識の彷徨」 (19)

2007年05月08日 22時42分49秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47369496.html からの続き)
  

○夜空
  

○街景/昼
  

○警察署・外景
 

○同・心理課・窓の外

  窓から部屋のなかが見える。
  立っているなつみと、椅子に座っている
  裕司。
  

○同・中

  なつみが裕司に催眠療法を行っている。
  テーブルはどかされ、なつみは裕司の横
  に立っている。
  軽く目を閉じている裕司。
  友辺がそっとドアを明けて入ってきて、
  脇に控える。
なつみ「………裕司くん、歳はいくつ?」
裕司「(子供の言い方で)……んとね、9才
 ……」
なつみ「今どこにいるのかな?」
裕司「……踏み切り……電車の……」
なつみ「(裕司に)何か見える?」
裕司「……う、ん……お母さんが……」
友辺「………」
なつみ「お母さん、どうしてる?」
裕司「(眉をひそめる)………足が……抜け
 ない……」

○フラッシュバック

 〔以下、フラッシュバックでは則子・裕司
  をロングで見せない(則子と裕司の位置
  関係を描かない)。
  則子のアップで畳みかけるように。〕
  線路にブーツの踵を挟まれ動けない則子。
  必死で足を抜こうとする。
  能面のような裕司(9才)の顔。

○心理課

裕司「……ああ……(顔が恐怖に歪む)」
なつみ「どうした? 何があったの?」
  裕司の体が震える。

○フラッシュバック

  裕司の能面のような顔。
  足を抜こうとする則子。
  電車の警笛が聞こえる。
  はっとして振り返る則子。
  警報機。向かってくる電車。
  則子、ますます焦ってもがく。
  警報機。電車が轟音をたてて迫る。
  警笛。急ブレーキの音。
  断末魔の則子。
  目の前に突進してくる電車。
  無表情の裕司。

○心理課

裕司「ああ……ッ(両手をもがくように動か
 す)」
なつみ「裕司くん……!?」
  緊張して見ている友辺。
裕司「お母さん……!!」

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47422983.html
 
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「無意識の彷徨」 (18)

2007年05月07日 21時24分23秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47340651.html からの続き)
 

○なつみのマンション・外景/夜


○同・リヴィング

  ブランデーグラスを手に、ソファに座っ
  ているなつみと友辺。
  なつみは、友辺の肩に体を寄せかけてい
  る。
  気持ちが揺れている様子のなつみ。
なつみ「……裕司くんの心を踏みにじること
 にならないかな……」
友辺「え……?」
なつみ「催眠ていうのはね、人の心に土足で
 入り込むようなものだと思うの……」
友辺「ていうと?」
なつみ「だって裕司くんはやっとの思いで記
 憶喪失になって、持ちこたえてるようなも
 んでしょ? それを無理やり引きずり出す
 んだから……本当に大変なのはそのあと…
 …」
友辺「俺たちがせっつかせるからか?」
なつみ「それもあるけどね……今の裕司くん
 は自分の過去が分からないことで不安定に
 なってる……自傷行為もあるし、事実を知
 る緊急性があると思う。他の心理療法では
 何年もかかったりするから」
友辺「やるしかないわけか……(不本意なが
 ら)」
  なつみ、ブランデーを飲み干す。
友辺「……俺も、立ち会っていいかな……
 ?」
なつみ「……そうね……うまく催眠状態に入
 れる段階になってからなら……何日か か
 かるけど……」
友辺「わかった……頼むよ、なつみ……」
なつみ「………(友辺の肩に頭をもたせ掛け
 る)」
友辺「………(なつみの肩に手を掛け抱き寄
 せる)」
なつみ「………」
  二人、抱き合う。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47399540.html
 
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「無意識の彷徨」 (17)

2007年05月06日 20時22分11秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47313453.html からの続き)

  
○樹木

  幹にとまった蝉がしきりに鳴いている。
  

○警察署・心理課

  なつみと裕司。
裕司「(顔を伏せて)……自分で自分が恐い
 んです……! 僕は多重人格じゃないんで
 すか……!?」
なつみ「裕司くんに別の人格があるのかはま
 だ分からない。でもね裕司くん、多重人格
 だから犯罪に関わるなんてことはないんで
 すよ。マスコミなんかで誤解されてるけど、
 本当は多重人格の人は優しくて傷つきやす
 い人たちが多いんです」
裕司「……でも、意識がない間に、自分が一
 体どんなことをしてるのか……!?」
なつみ「それを、知りたいと思いますか?」
裕司「………(当惑)」
なつみ「あなたの人生のなかで抜け落ちてい
 る空白、それを埋めることで自分の姿が見
 えてくると思います」
裕司「……どうやってそんなことを……?」
なつみ「催眠によって記憶を呼び起こすとい
 う方法もあります」
裕司「……催眠術をかけられるんですか…
 …?」
なつみ「裕司くんが私を信じてくれるなら
 (裕司の目を見つめる)」
裕司「……でも、また大変な記憶が出てきて
 しまったら……?」
なつみ「もしかすると、そういうことがない
 とは言えません。このままのほうがいいで
 すか?(穏やかに)」
裕司「……いや、このままじゃ……(困惑し
 て)」
なつみ「恐いものは見ないほうがいいか、本
 当のことを知りたいか、裕司くん自身の選
 択なんですよ」
裕司「……でも……(逡巡)」
  裕司の気持ちをありのままに包むなつみ。
裕司「………(葛藤)」
なつみ「………(見守る)」
  裕司、顔を上げてなつみの目をしっかり
  見つめる。
  裕司の意思を見て取り小さく頷くなつみ。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47369496.html
 
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「無意識の彷徨」 (16)

2007年05月05日 19時59分07秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47271441.html からの続き)
 

○同・心理課

  なつみのデスクの電話が鳴る。
なつみ「(受話器を取り)はい心理課です」


○同・捜査一課

田所「(電話で)田所だ。いつまでモタモタ
 やってるんだ? 調べがラチあかないんだ
 よ、上からもうるさく言われてな!」


○同・心理課

なつみ「あの……」
田所『(なつみに余地を与えず)捜査のジャ
 マするために心理屋を雇ってるんじゃない
 んだ。立場ァわきまえろ!』
なつみ「僣越かもしれませんけど、容疑者に
 も人権があります。心を傷つけていいとい
 うことはありません」
田所『出たな、金看板の“ココロ”が。だっ
 たら被害者の“ココロ”も分かってるんだ
 ろうな?』
なつみ「………」
田所『それに共犯者は今もそこらをウロつい
 てるんだ。いつまた次のガイシャが出るか
 分からんのだぞ!』
なつみ「でも、面接には時間がかかりますか
 ら……」
田所『犯罪は待っちゃくれないんだよ! 催
 眠術でもかけて、チョチョっと記憶を引っ
 張り出すくらいできるだろう!? いいな
 !!』
  ガチャッと一方的に電話を切る田所。
なつみ「………(荒いため息)」

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47340651.html
 
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「無意識の彷徨」 (15)

2007年05月03日 20時07分58秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47247327.html からの続き)
 

○街路

  友辺、周囲に注意しながら歩いている。
  懸命な様子が窺える。

  
○住宅

  玄関先で家人に聞き込みをしている友辺。
  

○事件現場近くの公園

  歩いてくる友辺。
  子供たちがわいわい騒いでいる。
  友辺、気になって見る。
  子供たちは草むらからゴーグルを見つけ
  たらしい。
  ゴーグルは壊れて血が付いている。
子供A「血だよ、血!」
子供B「違うって、そんなの」
  はっとする友辺。

○インサート

 〔事件直後、現場で目撃者のOLに事情を
  聴取しているシーン〕
友辺「犯人の年恰好は?」
OL「……二十歳くらいで……そう、ゴーグ
 ルをかけてる人がいました……」

○公園

  友辺、子供たちのほうへ近づいていく。
友辺「(腰をかがめて、わざとらしい作り笑
 顔をしながら)ねえ僕たち、それ、どうし
 たの?」
  友辺を見上げ、ぽかんとする子供たち。
 

○警察署・取調室

  田所・友辺、裕司を取り調べている。
田所「(不機嫌そうに)お前、自分の母親ま
 で見殺しにしたそうだな」
裕司「………(苦渋)」
友辺「田所さん、それはいま言わなくても…
 …」
田所「お前は自分に都合が悪くなると意識が
 なくなるそうじゃないか。便利な奴だ。今
 度のヤマでも罪意識から逃げるために記憶
 を消したんだろう?(恫喝)」
裕司「(泣きそうに)……そうなのかもしれ
 ません……でも……」
友辺「たしかに、『誰かを見捨てて逃げた気
 がする』っていうのもお袋さんのことと繋
 がってる。被害者の返り血がお袋さんの血
 と結びついて、無意識の防御システムで意
 識を失ったとも考えられる……」
田所「そうすりゃあ全部つじつまが合ってく
 るんだ。すんなり認めちまいな!」
裕司「………」
友辺「でも彼は覚えてないんですよ」
田所「チッ、面倒な野郎だ!(机を蹴とば
 す)」
裕司「………(身の置き所がない)」
田所「(皮肉めいて)……ジキルとハイドか
 ……夜中に人を殺し歩いて朝になると覚え
 てない……お前もそういう奴なんだろう
 ?」
裕司「………(拳を握りしめて耐える)」
田所「(裕司をなめるように見て)別の人間
 になって何やってんだ、あぁ? いい加減
 に思い出さないか!」
裕司「………(体が震える)」

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47313453.html
 
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「無意識の彷徨」 (14)

2007年05月02日 18時08分03秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47225206.html からの続き)
 

○街景

  警察署・遠景。
 

○警察署・応接室

  裕司の伯父,伯母の和信と俊子が来てい
  る。
  応対しているなつみと友辺。
俊子「(心を痛めて)………裕司は、母親の
 踏み切り事故があった2時間くらいあと、
 踏切から2~3キロ離れた道にしゃがみ込
 んでいたところを保護されたんです……
 母親の血を浴びた姿で……」
友辺「やっぱり踏み切りの事故は事実だった
 んですか……」
なつみ「今まで裕司くんに事故のことは話さ
 れなかったんですか?」
和信「……母親のあんな悲惨な死に方……本
 人が覚えてないのを、無理に言って聞かせ
 ることはないと思って、ずっと口にしない
 できたんです……それをわざわざ掘り返す
 ようなことをしてくれて……!(怒りを噛
 み殺す)」
なつみ「(恐縮するが)……いきなりこんな
 重大なことが出てきてしまうなんて、私も
 予期できませんでした。申し訳ありません
 ……でも、これは必要な過程だと思うんで
 す」
和信「知らずにすむことは知らないほうがい
 いんだ!」
なつみ「でも、裕司くんの心の影の部分に光
 を当てていかなければ、これからもまた繰
 り返し記憶をなくすことになるかもしれま
 せん」
俊子「……どうして、何度も記憶喪失になる
 んですか……?(不安げに)」
なつみ「成長してからも裕司くんは、恐怖や
 危機が身に振りかかると自動的に意識をな
 くして記憶に停めないという、防衛システ
 ムができ上がってしまったのではないかと
 思います。心理学では『抑圧』『解離』と
 いうメカニズムで説明してるんですが…
 …」
俊子「でも、昔の母親のことも覚えてないな
 んて……」
なつみ「裕司くんは、お母さんとの愛情がな
 かったんじゃないかと思っているようです
 が、何か心当たりは……?」
和信「そんなものはありません! ちゃんと
 普通に暮らしてる親子でした(怒りをあら
 わにする)」
なつみ「ただ、子供にとっては、端から見て
 普通だという客観的な事実ではなくて、愛
 を感じてないという主観が事実になってし
 まうんです」
友辺「……そのために、事故のとき母親を見
 捨てるようなことを……?」
なつみ「(遺憾な思いで)考えられないこと
 ではないかもしれません。その結果、裕司
 くんは恐ろしさと同時に、自分がお母さん
 を見殺しにしたという罪の意識から逃れる
 ため、記憶を消し去ったということも…
 …」
和信「あなたは裕司と母親の関係を台無しに
 したいんですか!?」
なつみ「(一生懸命に説得しようとする)そ
 うではなくて、裕司くんが何故そう思うよ
 うになってしまったのかという理由が大事
 なんです」
俊子「(目頭を押さえ)……それが、あの子
 の病気の原因なんですか……」
なつみ「裕司くんは病気ではありません。何
 か深い傷を負っているんです。お母さんと
 の間に何があったのか、それを探らなけれ
 ば彼の心は癒されないと思います」

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47271441.html
 
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「無意識の彷徨」 (13)

2007年05月01日 21時06分58秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47053023.html からの続き)
 

○警察署・外景

  ---フェイドイン。

○同・医務室の外

○同・医務室の中

  ベッドに寝ている裕司。
  ベッドサイドになつみと友辺、心配そう
  に見守っている。
  裕司はなつみと友辺に背を向け、体を海
  老のようにしている。
なつみ「(神妙に)……お母さんが事故に遭
 った現場にいた……そのときのことを思い
 出したんですね……」
裕司「(涙ながらに)………僕は……母親が
 目の前で轢かれるのを、ただぼうっと見て
 ただけなんです……驚きも悲しみもしない
 で……」
なつみ「………(心を痛め)」
裕司「……僕は母を見殺しにした……何故か
 ずっとそんな気がしてた……だけど、やっ
 ぱり事実だったんです……!(自責)」
なつみ「何か事情があったのかもしれない…
 …(労るように)」
裕司「(かぶりを振る)……こんな大事なこ
 とさえ覚えてないなんて……僕にとって、
 母親の事故は、記憶にも残らない程度のこ
 とでしかなかった……!」
なつみ「……幼い裕司くんにとって、目の前
 のお母さんの死は、記憶に留めるのさえ耐
 えられないようなでき事だったんじゃない
 かしら……」
  なつみ、裕司の肩に手を掛ける。
なつみ「小さい子供はね、裕司くん、あまり
 にも恐ろしい、受け入れがたい体験をする
 と、トラウマ……心の傷から自分を守るた
 めに、無意識の防衛機能として記憶を消し
 てしまうことがあるの……」
裕司「……え……?(混乱)」
友辺「う~ん……確かに俺たちでも、嫌なこ
 とはなるべく忘れたいっていうのはあるけ
 ど……?」
なつみ「大人と違って子供の場合は、本当に
 その体験自体が抹消されてしまうの。『僕
 はここにいないんだ。こんなことはなかっ
 たんだ。だから辛くないんだ』と無意識に
 言い聞かせて」
裕司「……じゃあ……それ以前の母の記憶も
 ないっていうのは……? 受け入れがたい
 ような母親だったんですか……!? 幼児虐
 待とか……!?」
なつみ「先走りしないで……」
裕司「……そんな母親だから、助けようとし
 なかった……? それを丸ごと忘れるため
 に記憶を消したんですか……!?」
友部「でも待ってくれ、踏み切り事故が本当
 に現実だったと言えるのか?」
なつみ「これだけ鮮明に呼び覚まされた記憶
 は事実に違いないと思う……細かい部分は
 別としても……」
裕司「(頭を抱える)……思い出さなきゃよ
 かった……!! どうしてこんな面接なんて
 したんですか……!?」
友部「(なつみに)だから子供のときのこと
 なんかいいと言ったんだ! 記憶がなくな
 るにはそれだけの理由があったんじゃない
 か……!?」
なつみ「(心苦しい)辛いのは分かります…
 …でも、失ったものを取り戻すには……」
裕司「(耳に入らず)……僕は母を殺したん
 だ……自分の母親を……!! ああ……!!
 (机に自分の頭を叩きつける)」
なつみ「裕司くん……!?」
  裕司、何度も激しく頭を打ちつける。
友辺「やめろ!!(裕司を止める)」
  裕司の額は裂けて血が流れる。
裕司「……ああ……!!(嘆)」
なつみ「裕司くん……!(裕司を抱く)」

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47247327.html
 
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「無意識の彷徨」 (12)

2007年04月24日 20時10分23秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47026933.html からの続き)
 

○警察署・留置場

  ベッドに座って考え込んでいるような裕
  司。
  突然、留置場の格子の扉に鍵が差し込ま
  れる音が響く。
  はっと我に返る裕司。
看守「(扉を開けて)面接だ」
  おずおずと立ち上がる裕司。
  裕司が外に出て看守が扉を閉めたとき、
  裕司のズボンの裾が鉄格子の壊れた金具
  に引っ掛かる。
  看守は気づかずつかつか前へ進む。
  裕司は足が動かない。
看守「(立ち止まり振り返る)どうした?
 早く来い!」
  裕司は急き立てられて異様なほど動転す
  る。
看守「何してるんだ?(仁王立ちで威圧的
 に)」
  裕司、必死に足を抜こうとするが抜けな
  い。
  混乱をきたす裕司。
看守「もたもたするな! 早く来ないか!」
  看守、ずんずんと裕司の方へ迫り寄って
  くる。
  我を失って恐怖にかられる裕司。
  向かってくる看守が手に持った鍵が鉄格
  子に当たり、カンカンという金属音が響
  く。
  裕司、時間の感覚がなくなり、看守の動
  きと声がスローモーションのように感じ
  られる。

○フラッシュバック

  カンカンという警報機の音。
  踏切で点滅する赤い光。

○留置場

  裕司の恐怖の表情。
  看守の黒い大きな影が裕司に覆いかぶさ
  る。

○フラッシュバック

  黒い鉄の固まりのような電車。
  けたたましく警笛を鳴らし、轟音を立て
  て迫ってくる。
  手を差し伸べる則子。
  則子の姿があっと言う間に小さくなって
  消滅する。

○留置場

裕司「あああ~~~………!!(頭を抱えてう
  ずくまる)」

○フラッシュバック

  9才の裕司。
  踏切の脇の草むらから線路の方を見てい
  る。
  額から血が流れている(現在の傷痕の場
  所)。
  遮断機が降り警報機が鳴っている。
  線路にブーツの踵を挟まれて動けない則
  子。
  電車が警笛を鳴らしながら飛び込んでく
  る。
  恐怖に引きつる則子の表情。
  無表情の裕司の顔。
  則子と電車が交錯する。
  画面一杯に飛び広がる血飛沫の色。
  フェイドアウト---。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/46975546.html
 
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