「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

ハードディスクが壊れた (3)

2013年07月29日 22時00分08秒 | Weblog
 
(前の記事からの続き)

 HDDは、 データを読み取る針が 壊れている可能性が高いといいます。

 超精密機器のため 僅かの衝撃もリスクがあり、

 引っ越し前 プロバイダーがモデムを撤去した際に、 何かあったのかもしれません。

 また、 僕は HDDが読み込めなくなった時、

 電源を何回か 入り切りしてしまったのですが、

 それがプログラムに 不具合を与えた可能性もあり、

 復旧が難しくなるかもしれないとも。

 HDDの初期診断と見積もりの 作業が終わるまでの間、 僕は食事を取りに。

 以前 TVで紹介していたのですが、

 歌舞伎座の脇にある 巨大サンドウィッチの店  「American」 です。

 店の親父さんが採算度外視で、

 具をこれでもかと詰め込み、 サラダもてんこ盛りです。

 サンドウィッチふたつに 一斤の食パンを使ってます。

 見積もりが出るまでの 30分で食べきれず、 残りのひとつはテイクアウト。

 応接室に戻り、

 ソフト, ハードの両面が損傷していて、 結構重度の状態だと 聞きました。

 ただし ここは完全成功報酬型で、

 もし一番必要なデータが 復旧できなければ、 費用は無料になります。

 事前の電話では 5~40万円と聞いていましたが、

 1~3日で復旧する場合、 何と30万前後かかるとのこと。

 1週間くらいなら10数万、 前払いならそれを原資に 更に下げられると。

 期間によってそんなにも違うのか と思いますが、 急ぐ顧客が多く、

 その場合は 複数の作業員で 集中して作業するため 高くなるのだといいますが、

 それにしても格差がありすぎ。

 プロバイダーに何か補償してもらえるか 確かめたいとも思い、

 その場では復旧を依頼せず 引き取ってきました。

 そして プロバイダーに問い合わせると、

 状況調査のために 数日待つということになりました。

(続く)
 
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ハードディスクが壊れた (2)

2013年07月28日 21時29分56秒 | Weblog
 
(前の記事からの続き)

 歌舞伎座タワーにある 復旧会社のエントランスに着くと、

 和洋折衷のホテルのロビーのようで、 とてもITの会社には見えません。

 無人のフロントにある クラシカルな電話で呼び出し、 応接室に案内されました。

 いくつもの応接室は 近未来映画に出てくるかのような、 カラフルで無国籍の装飾で、

 各部屋がそれぞれ 全く別のデザインです。

 ドリンクのメニューを勧められますが、 不思議な異空間で 丁重に扱われ、

 何だか落ち着かない感じも。

 目新しいユニフォームを着た 接客担当が来て、 事前の説明をしてくれました。

 HDDを手渡すため 別室に案内され、

 セキュリティーや情報保護などの 説明を受けます。

 警備員に促されて 貴重品をロッカーに入れ、 金属探知機をくぐります。

 (スリッパに履き替え、 ズボンのベルトもはずし、 そこまでするのかと苦笑い。)

 中には、 ワンフロアに 事務やコールセンター, 工場などがあります。

 一括することで、 情報の漏洩や納期の遅れなどの 不手際を防止するということです。

 まず HDDに外傷などがないか 検品しますが、

 作業員は皆 一旦作業の手を止めて、

 僕に  「いらっしゃいませ」 と挨拶をしてくれます。

 その間も接客担当からは 色々丁寧な説明を受け、

 安全性や信頼性が徹底されています。

 工場いうのは ガラスに囲まれた一角、

 オペ室のような、 埃などを 高度に排除した部屋で、

 作業員は 食品工場のような帽子やマスクを 着用しています。

 ここでも 作業員は立ち上がって、 ガラス越しに挨拶をしてくれました。

 そこまでしなくても 作業に没頭してくれてればいいのに と思いますが、

 教育が行き届いていますね。

 いつぞやのモニターの会社とは 雲泥の差です。

(次の記事に続く)
 
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ハードディスクが壊れた (1)

2013年07月27日 21時33分25秒 | Weblog
 
 引っ越しの前日 (プロバイダーが モデムを撤去した直後) から、

 外付けハードディスクが読み込めなくなってしまいました。

 引っ越しの時には、 パソコンのデータを 外付けHDDに

 バックアップしておくことができませんでした。

 転居後、 メーカーに連絡して 状況を話すと、

 HDDが壊れている可能性が高いので、

 データ復旧業者に問い合わせてみるように 言われました。

 不幸中の幸いで、 現在のデータの大半は パソコン本体に無事保存されており、

 取り敢えず当面は 大きな支障はありません。

 でも 各種ID番号やパスワードなどのメモが、

 安全のため パソコン本体には保存されておらず、

 外付けHDDだけに入っています。

 以前 それをプリントアウトしていたのですが、

 裏紙に取り敢えず 印刷したものだったので、

 引っ越しの荷造りの際、 また印刷すればいいと 思って既に捨ててしまっていました。

 パスワードなどは 再設定することもできるかと思いますが、

 多数あるので 何のID番号やパスワードなどがあるのかも 覚えていません。

 どこまで再設定が可能で、 どこまでデータ復旧の必要性があるのかが 問題です。

 また、 過去のデータが読み込めず、 中には大切なものもあるし、

 僕は 全てのものを取っておく人間なので、 困惑します。

 ネットで復旧業者を検索すると、

 日本データテクノロジーというのが 第1位の実績を持つ会社として 出てきました。

 問い合わせてみたところ、 とても丁寧な対応で 分かりやすく説明してくれましたが、

 HDDは超精密機械で、 放置しておくと 状態が悪化する恐れがあるので、

 今すぐ持ってきて診断をするようにと 強く勧められました。

 見積もりその他を 無料でしてくれるということです。

 会社は 銀座に新築された 歌舞伎座タワーの中、 急いでHDDを持っていきました。

(次の記事に続く)
 
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梅津コーチ、 逝く

2013年07月26日 07時00分56秒 | Weblog
 
 南海キャンディーズしずちゃんの ボクシングコーチ・ 梅津正彦が、

 メラノーマ (悪性黒色腫) で早世しました。

 以前の記事に書いたように、 梅津は僕の知り合いです。
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/61825723.html

(下記の記事には 梅津本人からコメントももらいました。
http://shinko.cocolog-nifty.com/bpd/2012/02/post-1913.html#comments )

 2012年初頭、 しずちゃんの全日本選手権出場を前にして、

 梅津はメラノーマと診断されました。

 皮膚がんの一種で、 最も悪性度が高い がんだと言います。

 手術が遅れれば 死亡の危険性がありましたが、

 梅津は しずちゃんの全日本に同行することを選び、 手術を延期したのです。

 TVでは、 やつれ果てた梅津の写真も 映していました。

 そんな体を引きずって、 しずちゃんと共に 講演などをしていたそうです。

 正に 我と我が身をすり減らして、

 命の限りできることを やり尽くした姿だと思います。

 一般的に メラノーマは進行が早く、 発見された時には すでに手遅れで、

 全身に転移していることが 多いのだということです。

 TVに出演していた 専門家の話では、

 人間のがんの中で 最もたちが悪いがんだと 言っていました。

 足の裏にできることが非常に多く、 素人には ほくろと見分けが付きにくいですが、

 3~6ヶ月で急に大きくなってきたら、 皮膚科へ飛んで行くべきだと。

 普通のほくろとの違いは、

 形がいびつ, 境界線が不明瞭, 直径6ミリ以上などの 特徴があるそうです。

 日本では年間1500~2000人が 発症すると言われますが、

 表から目に見えるものなので、 風呂に入ったときなどに 確認するのがよいと。

 梅津は そんな警告も残していってくれました。

 44歳、 あまりに早い旅立ちでした。

 しずちゃんも すっかり落ち込んでいるといいます。

 色々な才能を持った男でした。

 渾身の力で生き抜いた 梅津正彦に 心からの敬意を送り、

 ご冥福をお祈りします。
 
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新居に移りました  (^^)

2013年07月25日 11時06分02秒 | Weblog
 
 19日に 新居に引っ越しました。

 当日から ネットに繋げる予定でしたが、

 手違いなどのため 5日間プロバイダーの設置工事ができず、

 昨日やっと ネットと電話が開通しました。

 引っ越し前の 大量の荷造りに引き続き、 荷物の山の整理に追われています。

 古い物は処分してきたし、 新居は前より間取りが多いので、

 空間は大分広々としています。

 でも 収納には頭を使いそうで、 落ち着くには まだ時間がかかるでしょう。

 基本的な物は何とか片付いて 生活ができるようになり、

 きのうはゴーヤ料理も作りました。

 ゴーヤは、 ダメ元でプランターごと運んでこようと 思っていたのですが、

 急遽 置いてくることにしました。

 今年のゴーヤは 何故か去年より育ちが良くなくて、

 花や実が あまり付いていなかったし、 移動するには 色々無理な条件があったので、

 成っている小振りの実を 4つだけ刈り取ってきました。

 インターネットは、 大家さんが 高速の回線を プロバイダーと契約してくれており、

 今まで重かったのが ある程度早くなって良好です。

 (メーカーの人の話では、

 パソコン自体が5年以上前のもので 古くなっているということですが。)

 新居は とてもきれいな部屋で、 静かな住宅地で展望も良く、

 これから あれこれ環境を整えたり、 近辺の探索をするのも 楽しみになるでしょう。
 
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明日、 引っ越し

2013年07月18日 14時19分21秒 | Weblog
 
 いよいよ明日の朝、 引っ越します。

 今日の午後、 プロバイダーの人が モデムなどを撤去しにきます。

 ネットも繋がらなくなるので、 その前に報告です。

 連日、 荷造りに追われています。

 掃除や整理, 分別などの作業が あれこれ出てきて、 予想以上に手間がかかります。

 ブログも手が付けられずにいました。

 荷物の量も 膨大になってしまいました。

 斜向かいの部屋が 空き部屋になっているので、

 荷造りした段ボールを 置かせてもらっているのですが、

 6帖の空間の 半分を占めるほど 積み重ねられています。

 (段ボールは約80個)

 今回は、 今まで捨てられなかった本なども 思い切って処分し、

 物持ちが良すぎる僕としては 古いものなど随分捨てたのですが、

 こんな大量の荷物が出るとは 思いませんでした。

 空き部屋がなかったら、 到底 引っ越しの作業はできませんでした。

 ここの住人の中では 僕が真っ先に 越していくのだろうと思っていたら、

 他の部屋の人たちも 管理人さんに部屋を紹介されて、

 今週出ていく人たちが 3~4人重なっています。

 (まだ全然 動こうとしない人たちもいます。)

 とにかく、 この部屋は 人生の半分を過ごし、 心子とも共にした所です。

 家の周辺は 年月と共に次第に変化し、 想い出の場所も 変わってしまいましたが、

 この部屋は 心子との想い出の 最後の砦でもありました。

 それももう あと僅かでさよならです。

 今晩は荷造りが完了したら、 寝酒に一杯傾け、

 心子と最後の夜を 過ごしましょうか。
 
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BPDの精神療法

2013年07月13日 22時10分31秒 | 「BPD最新ガイド」より
 
 1950~60年代の 古典的な精神分析は、

 BPDの多くの患者に 効果がなく、 害をなすこともありました。

 BPDの患者は 分析の治療に 最初から耐えられないことが多く、

 見捨てられたと感じてしまいます。

 対話 (言葉) による治療は、 混乱した行動に 対応しきれませんでした。

 しかし 精神分析の理論的・技術的な 革新と修正によって、

 精神分析と精神力動的精神療法は、

 現在 BPD治療の 選択肢のひとつとなっています。

 70年代以降 多くの治療法が開発され、 認知行動療法もBPDに適用されています。

 BPDの治療で 第1に優先すべきことは、 自傷他害を回避することです。

 個々の問題ごとに、 患者に適切な治療のレベルを 設定することも推奨されます。

 第2の長期的目標は、 非建設的で有害な生活のあり方を、

 より柔軟な思考や行動パターンに 置き換えていくことです。

 BPD治療では特に、 治療者と患者の 治療同盟は治療の根本です。

 患者の多くは、 自分の周りの人に対してだけでなく、

 世界そのものにも 信頼を失っています。

 そのため治療同盟を築くのは しばしば困難です。

 治療を始める際には、 患者と治療者の 相性のよさがとても大切です。

 最初に数回面接をして、 快適に話せるか, 治療を受け入れられるか,

 治療者に充分な能力があるかなどを 検討することが勧められます。

 また 集団技能訓練が行なわれることもありますが、

 患者に合っているか 検討しておくべきです。

〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より
 
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BPDの要因

2013年07月11日 21時05分27秒 | 「BPD最新ガイド」より
 
○ 性差

 DSM-Ⅳ-TRによると、 BPDの男女比は 1:3とされています。

 診断の偏りの可能性か、 男女の生物的・ 社会的要因の違いの 可能性があります。

 性差別のために、 女性患者のほうに BPDの誤診が多いとしたら、

 診断的偏りが生じることになります。

 怒り以外のBPD診断基準が、 若干女性に特徴的と見なされてしまいますが、

 男女の罹患率の違いを 充分説明できていません。

 罹患率に性差があるとすると、 生物的・ 社会的要因の結果でしょう。

 遺伝的影響による傾向

 (感情的であること, 衝動性の強さ, ストレスに対する弱さ) は、

 女性において頻繁に見られます。

 性的虐待は、 女性が男性より 10倍多くあります。

 育てられ方の違いによって、 ストレスに対して

 男の子は外向き・ 行動的に、 女の子は内向き・ 感情的になるようになるのです。

○ 生まれと育ち

 BPDの確定診断が 一致する確率は、

 一卵性双生児では35%ですが、 二卵性双生児では7%です。

 感情的であることや衝動性も 遺伝します。

 不安, 感情不安定, 認知的統制不全, 同一性障害, 不安定な愛着なども、

 かなりの遺伝性が認められます。

 これらから、 BPDは 遺伝的影響が強いことが窺えます。

 幼少期の不遇な経験 (養育放棄, 過剰なコントロール) も、

 BPDを含むパーソナリティ障害に 関係があるとされます。

 しかしこれらは BPDだけに認められることではありません。

 幼少期の外傷的体験も BPD特有ではなく、

 虐待された体験のある成人の 80%は 何の精神障害も発症していないのです。

 遺伝的素質が環境的要因と 相互に関係していると考えられます。

 脆弱性がある人は、 ストレスに対して BPDを発症しやすくなります。

 また、 素質的特性によって ますます環境的ストレスに 晒されることもあります。

 衝動性や感情不安定の気質があると、 その子は虐待されたりし、

 衝動や感情の障害を生じる 可能性が高まるのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より
 
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「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 から

2013年07月08日 22時11分24秒 | 「BPD最新ガイド」より
 
 2006年に星和書店から発刊された、

 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 より 要約・抜粋したものを、

 本日から 紹介していきたいと思います。

 J・G・ガンダーソンと P・D・ホフマンによる編纂で、

 「BPD家族会」 でもお世話になっている 林直樹先生,

 および 佐藤美奈子さんが訳されています。

       * * * * *

 境界性パーソナリティ障害の核心は、 対人関係の障害, 感情・情緒の統制不全,

 行動の統御不全 または衝動性という、 3つの基本障害からなっています。

 DSM-Ⅳの診断基準の他にも 特徴があります。

 例えば、 人から何を期待されているか 分からないときに

 退行する傾向 (子供じみた行動や期待を 示す傾向) です。

 また、 愛着関係を 極めて不安定なものと感じており、 現実の人間だけでなく、

 人間を連想させるもの (ぬいぐるみなどの移行対象) にも しがみつきます。

○ 何についての境界か? 

 BPDは 非定型の (典型的ではない) 感情障害ではないか

 という議論がありました。

 BPDに感情障害が 合併することはありますが、 感情障害だけでは、

 BPDの見捨てられ恐怖, 特殊なタイプの対人関係, 衝動性を説明できません。

 BPDの要因として 幼少期の虐待や、

 PTSDの合併に 関心が寄せられたこともあります。

 BPDとPTSDの 共通性は明らかになっていますが、

 BPDの精神病理と機能障害は、

 PTSDの一種として理解するのは 不可能だと考えられます。

 BPDが 他の精神障害との 境界に位置づけられるのではなく、

 独立した精神障害なら、 「境界性」 という名称は もはや有効ではありません。

 最もよく提唱されるのが、 「感情統制不全障害」 「感情統制障害」 です。

 感情の不安定性が BPDの中心的な障害である という考えです。

 この障害に、 感情不安定性と衝動コントロール障害の 両方があるという考えでは、

 「感情/衝動統制 (不全) 障害」 が 提案されています。

 しかし BPDの基本的な部分が 把握されていないため、

 名称を決める 科学的基盤がありません。

 BPDという名称は すぐには変わることはないでしょう。

〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より
 
 
 2006年に星和書店から発刊された、

 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 より 要約・抜粋したものを、

 本日から 紹介していきたいと思います。

 J・G・ガンダーソンと P・D・ホフマンによる編纂で、

 「BPD家族会」 でもお世話になっている 林直樹先生,

 および 佐藤美奈子さんが訳されています。

       * * * * *

 境界性パーソナリティ障害の核心は、 対人関係の障害, 感情・情緒の統制不全,

 行動の統御不全 または衝動性という、 3つの基本障害からなっています。

 DSM-Ⅳの診断基準の他にも 特徴があります。

 例えば、 人から何を期待されているか 分からないときに

 退行する傾向 (子供じみた行動や期待を 示す傾向) です。

 また、 愛着関係を 極めて不安定なものと感じており、 現実の人間だけでなく、

 人間を連想させるもの (ぬいぐるみなどの移行対象) にも しがみつきます。

○ 何についての境界か? 

 BPDは 非定型の (典型的ではない) 感情障害ではないか

 という議論がありました。

 BPDに感情障害が 合併することはありますが、 感情障害だけでは、

 BPDの見捨てられ恐怖, 特殊なタイプの対人関係, 衝動性を説明できません。

 BPDの要因として 幼少期の虐待や、

 PTSDの合併に 関心が寄せられたこともあります。

 BPDとPTSDの 共通性は明らかになっていますが、

 BPDの精神病理と機能障害は、

 PTSDの一種として理解するのは 不可能だと考えられます。

 BPDが 他の精神障害との 境界に位置づけられるのではなく、

 独立した精神障害なら、 「境界性」 という名称は もはや有効ではありません。

 最もよく提唱されるのが、 「感情統制不全障害」 「感情統制障害」 です。

 感情の不安定性が BPDの中心的な障害である という考えです。

 この障害に、 感情不安定性と衝動コントロール障害の 両方があるという考えでは、

 「感情/衝動統制 (不全) 障害」 が 提案されています。

 しかし BPDの基本的な部分が 把握されていないため、

 名称を決める 科学的基盤がありません。

 BPDという名称は すぐには変わることはないでしょう。

〔 「境界性パーソナリティ障害最新ガイド」 星和書店 (林直樹訳) 〕より
 
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脱法ハウス (2)

2013年07月02日 21時10分07秒 | Weblog
 
 (前の記事からの続き)

 ある脱法ハウスが 違法住宅として閉鎖が決まり、

 退去が命じられましたが、 住民がそれに応じられず、

 退去中止の仮処分を 裁判所に申し立てるという 問題が浮かび上がりました。

 脱法ハウスは賃貸借契約がなく、 居住者の権利や安全が 守られません。

 ただし 契約の形がどうであれ、 住居として利用している 実態がある以上、

 民法などによって 住民は保護され、 強制的に追い出すことは できないといいます。

 貸主が、 ここは住宅ではなく 勝手に人が住んでいるのだと 言い張ったとしても、

 救済する方法はあるとのこと。

 現行法では 住居かオフィスかなどの 解釈が曖昧で、

 管轄する自治体は 手が出せないため、

 隙間だらけの 関連法の問題が指摘されています。

 脱法ハウスの実情は 明らかになっておらず、 氷山の一角だといいます。

 シェアハウスの定義も はっきりしておらず、

 共有のキッチン, トイレと、 極狭の個室を

 シェアハウスと称しているケースも多く、 問題になっているとか。

 シェアハウスの運営は 利鞘がいいのだといいます。

 例えば 5万円のワンルームを二部屋に分け、

 一部屋を2.5万ではなく 3.5万で貸し出すのだそう。

 増殖する脱法ハウスの背景には、 蔓延する貧困があります。

 通常の住居に入る 余裕のない人が、 手続が簡単で安い物件に 誘われる。

 脱法ハウスは そんな弱みにつけこむ、 「新手の貧困ビジネス」 だと。

 実体が伴わない 景気対策や、 生活保護を利用しにくくなる 改悪なども懸案です。

 劣悪な住居環境の 改善が求められますね。
 
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脱法ハウス (1)

2013年07月01日 22時13分36秒 | Weblog
 
 最近  「脱法ハウス」 というのが ニュースなどで話題になってますね。

 極狭の賃貸住宅で、 住居としての条件を満たしていない 違法の建物です。

 2畳にも満たない部屋に ベッドとテレビ, 冷蔵庫だけが置いてあったり、

 4畳にダブルベッドの部屋を 二人でシェアしていたりし、

 プライバシーもありません。

 従来の住居を 極端に狭く分割したり、

 ネットカフェやカラオケの建物を 改築したものもあるようです。

 一部屋が7㎡以下, 部屋に窓がない, 廊下の幅が1.2m以下,

 隣室との仕切りの上部が 空いているなど、

 建築基準法や消防法, 条例を満たしていません。

 火事や地震が起きれば 逃げられず、 死傷者が出るでしょう。

 名目は 倉庫やレンタルオフィスなどとして 貸し出し、

 実は人が住んでいる というのが実態です。

 入居者は、 家賃が安い, 保証人・礼金敷金が必要ない などの条件のため、

 住みやすさを考えずに 入ってしまったという人もいます。

 お金や住む場所に困っていたり、

 他の目標があるため 今だけ辛抱して住んでいるという 人もいるようです。

(仕事の関係で 家は寝るだけでいいとか、 一部屋に4人で 修学旅行みたいで楽しい,

 家賃が安い分を 自分のスキルアップのために使うなど、

 前向きな若者もいるそうですが。)

 しかし 激安なのかと言えば、 全然そんなことはないのです。

 TVで紹介されていた 物件を見ると、 2畳で3万円前後だったりします。

 僕の新居と比べると、

 面積は6~7分の一以下、 それでいて 家賃は大きく変わりません。

 僕は苦労して 非常に好条件の物件を 見つけたわけですが、

 そこまでしなくても、 少しでも探そうとすれば、

 遥かに良い部屋は いくらでもあります。

 (もちろん地域にもよりますが。)

 脱法行為をする 貸す側の問題ではありますが、

 よく調べようとしない 借りる側の問題も 気になってしまいます。

 入居者にはそれぞれ 様々な事情があるのでしょうし、

 納得して 前向きに住んでる人はいいですが、

 礼敷や保証人が必要ない もっと良い物件はあるので、

 探して転居できたらと思います。

 (次の記事に続く)
 
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