「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

BPDに対応している施設 (付記)

2011年05月30日 19時30分49秒 | BPDの治療について
 
(前の記事からの続き)

 保健所で BPDの治療機関を聞くと、

 教えてくれる所と 教えてくれない所があるそうです。

 それは 情報を持っているか 持っていないかだということです。


 精神科の診療は、 患者とドクターの相性が 非常に大切です。

 ある人には良くても、 ある人には合わない ということがあります。

 何軒か問い合わせ、 ドクターショッピングしてみるのは

 悪いことではないのではないでしょうか。

 ただ、 信頼できる先生に出会えたら、 途中でやめずに、

 先生を信じて 最後までやっていくことが 大切と言われます。

 BPDの人は 治療を続けられないことが 多いために、

 治癒率が低くなってしまいます。

 医療機関を何回も替わると、 その度に 一から診療をやり直さねばならず、

 負担が大きく なかなか前に進みません。

 BPDの皆さんが 相性の合うドクターに出会え、

 良い方向へ向かっていくことを 祈っています。
 
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BPDに対応している施設 (2)

2011年05月29日 19時47分43秒 | BPDの治療について
 
(前の記事からの続き)

 その他に、 BPDを受け入れているという 病院やカウンセラーを紹介します。

くじらホスピタル (東京・江東区)
http://www.kujira-hp.jp/
(家族相談・ 家族の会もあるそうです。)

青梅成木台病院 (東京・青梅)
http://www.narikidai.jp/

代官山メンタルヘルス相談所 (長谷川メンタルヘルス研究所)
内田江里 (臨床心理士)
http://home.do1.itscom.net/dk-mhco/
03(5459)2188

カウンセリングルームらくだ (横浜)
山下史子 (臨床心理士)
080(5694)5504
メールアドレス:rakuda5504@ezweb.ne.jp
 

 以下は、 個人的に ネットで見つけた施設です。

人格障害研究センター
http://www.jec-heart.com/?gclid=CJrQvre4iakCFcSBpAodBnmnjA

虎ノ門病院
http://www.toranomon.gr.jp/site/view/contview.jsp?cateid=8&id=29&page=1

長谷川病院
http://www.hasegawa-hp.or.jp/patient/mental.html

 ボーダー治療を得意とする 病院一覧のページもあります。
http://www.deborder.com/hospital.html

(次の記事に続く)
 
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BPDに対応している施設 (1)

2011年05月28日 22時31分05秒 | BPDの治療について
 
 東京で BPDに対応している病院などを、 紹介させていただきたいと思います。

 僕が参加している  「BPD家族の会」 からの情報を、 元にしたものです。

 ただし僕自身は 直接に現場を知りませんので、

 受診などの際には ご自身の判断と責任で お願いしたいと思います。

 まずは、 BPDの第一人者 ・ 遊佐 (ゆさ) 安一郎先生の施設で、

 BPDの集団療法 (弁証法的行動療法) の グループを行なっています。

 遊佐先生は、  「BPD家族の会」 にも何回か来ていただき、

 「境界に生きた心子」 の出版社・ 星和書店とも 縁が深い方です。

 「弁証法的行動療法」 は、

 BPDに効果があるとされる 認知行動療法を発展させたもので、

 東洋の禅の思想を 取り入れています。

 現在アメリカで 最も効果があると言われ、

 日本でも 始める施設が出てきたところです。

長谷川メンタルヘルス研究所 (所長・ 遊佐)
http://home.d01.itscom.net/dk-mhco/

 ただ、 BPDの人には 初めから集団療法は 難しいという話もあります。

 長谷川メンタルヘルス研究所はじめ、

 下記で 個別のカウンセリング方式の認知行動療法を やっているそうです。

 (保険適用になるということです。)

原田メンタルクリニック (九段南)
http://shinbashi-ssn.blog.so-net.ne.jp/2007-11-01-3

洗足ストレスコーピング・サポートオフィス (洗足)
http://www.stress-coping.com/ninchi.html

国立精神・ 神経センター (小平市) (松本俊彦先生)
http://www.ncnp.go.jp/hospital/sd/seishin/index.html

赤坂クリニック (赤坂) (貝谷久宣先生)
http://www.kokoro-iyashi.info/archives/876178.html

 また、 「BPD家族の会」 で講演された、

 黒田章史 (あきのり) 先生の クリニックもあります。

黒田クリニック (杉並区)
http://www.onyx.dti.ne.jp/~akino-k/

(次の記事に続く)
 
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弁証法的行動療法の 4つのスキル

2010年02月10日 20時13分34秒 | BPDの治療について
 
 先日の 「BPD家族の会」 の講演で、

 弁証法的行動療法 (DBT) についての 話がありました。

 DBTは認知行動療法の一種で、

 マーシャ・リネハンが 感情の調節障害の治療法として 発展させてきたものです。

 リネハンは DSM-Ⅳの9つの診断基準を 5つに分けて再編し、

 それぞれに対応する スキルを考案しました。

(下記の【  】内が、 DSM-Ⅳの基準です。)

1. 感情の調節不全

  :抑うつ, 不安, イライラ感に苦しむ。

   怒りと 怒りの表出に 問題を抱える。

  【顕著な気分の反応による、 不安定な感情。

   不適切で激しい怒り。 それを制御できない。】

  → 感情調節のスキル

2. 対人関係の制御不全

  :対人関係が混沌としている。

   激しく問題点が多いが 解消できず、 見捨てられないよう努力する。

  【見捨てられることを避けようとする、 なりふり構わない努力。

   理想化とこき下ろしの 両極端を揺れ動く、 不安定で激しい対人関係。】

  → 対人関係のスキル

3. 行動の制御不全

  :自殺の脅し, 自殺類似行動, 自傷, 衝動的行動。

  【自己を傷つける可能性のある 衝動性。

   自殺行動やそぶり、 自傷行為を繰り返す。】

  → 辛さに耐えるスキル

4. 認知的制御不全

  :離人症, 解離, 妄想などが ストレスが高まると現れる。

  【一過性の妄想様観念, 解離性症状。】

  → マインドフルスキル

5. 自己の機能不全

  :自己感覚がない。 空虚感など。

  【不安定な自己像 (同一性障害)。

   慢性的な空虚感。】

  → マインドフルスキル

 上記4つのスキルや 弁証法的行動療法についての記事を、

 以下のURLから それぞれ連載しています。

http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/45269689.html
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55145497.html
 
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親身だから 良い医者とは限らない

2008年09月26日 22時07分00秒 | BPDの治療について
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/56022998.html からの続き)

 「素っ気ないA医師」 「逆ギレのB医師」 「親身なC医師」 の

 3人が紹介されています。

 境界性パーソナリティ障害の人が、

 診療中に 非常識・失礼な態度を取るのは よくあることです。

 それに対する 医師の反応は、治療の技量が 如実に現れます。

 患者の言動を、対人関係の問題を 洞察させるきっかけとすることが 理想的です。

 受け流して 深入りしないというのも 一理ある技法です。

 キレるのは 最低でしょう。

 けれども、境界性パーソナリティ障害の 治療者として最悪なのは C医師です。

 境界性パーソナリティ障害の治療では、枠組みを保つことが 何より重要です。

 診療時間外や診察室以外で 付き合いが生じたら、治療の崩壊です。

 手を握るという 身体接触は論外です。

 C医師の対応は、境界性パーソナリティ障害の人の 見捨てられ不安が

 その時は解消されます。

 しかしその結果、次の機会には 要求がエスカレートしていきます。

 この先生は 本当に頼れるのか、次第に無理な “試し” をするのがパターンです。

 C医師は ある時点までは 誠実に応じますが、いつか必ず限界がきます。

 そのとき起こるのは、信頼から絶望への転落です。

 そうなったら最後、信頼できる医師を見つけるのは 極めて困難になってしまうのです。

 翻って、実はA医師が 一番いい治療者だったかもしれません。

 とにかく 話は聞いてくれたわけです。

 結果を急がず、こうした医師の治療を 受け続けることが

 回復につながることが多いものです。

〔 「境界性パーソナリティ障害 -- 患者・家族を支えた実例集 」

 林公一 (保健同人社) より 〕
 
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良い先生に 巡り合えました。

2008年09月23日 20時53分55秒 | BPDの治療について
 
 「境界性パーソナリティ障害 -- 患者・家族を支えた実例集 」

 林公一 (保健同人社) に 寄せられた事例です。

 境界性パーソナリティ障害の患者Jさんは、3人の医師を 巡り歩きました。

 最初の医師Aは 素っ気ない人でした。

 うんうんと 話はよく聞いてくれますが、それだけでした。

 張り合いがなく、3回くらいで やめてしまいました。

 次のB医師には 逆ギレをされました。

 Jさんが、

「先生はイライラしたとき 物に当たることはないのですか?」 と 聞いたのに対し、

「医者にそういうことを 聞くのは無礼だ」 と 机を叩いて怒鳴りました。

 3回目の診察のときに はイライラをぶつけられ、

 Jさんは 心の傷を負わされたと 言っています。

 3人目がC医師でした。

 Jさんが初診で 職場のストレスを話すと、

 C医師は職場に電話して 環境の改善を申し入れてくれました。

 Jさんが突然 うつやパニックを起こしたときは、

 いつでも電話して構わないと言い、夜でも電話に応じてくれます。

 それでも落ち着かないときは、夜の往信までしてくれるのです。

 そのあとも 24時間のレストランで、

 じっくり話を聞いてくれたのには 感動しました。

 Jさんの震える手を 握ってくれ、

 Jさんは安心して 初めてぐっすり眠ることができました。

 先生がいつでも助けてくれる、そう思うだけで (実際に助けてくれます)

 Jさんの症状は 回復に向かっていると 実感しています。

 Jさんはようやく 良い先生に巡り合うことができたと 喜んでいます。
 

 さて、どうでしょうか? 

(続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害 -- 患者・家族を支えた実例集 」

 林公一 (保健同人社) より 〕
 
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境界性パーソナリティ障害の治療 (7) (入院治療 2)

2008年09月10日 22時18分54秒 | BPDの治療について
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55844874.html からの続き)

o緊急避難的な入院治療

 命に関わるか、重大な自傷行為や 自己破壊的行動、極端な拒食などが 起きた場合、

 どうしても 入院治療が必要になります。

 例えば 過量服薬 (OD) があります。

 現在の薬は、仮に大量に飲んでも、

 対応が早ければ 命に関わる事態には 余りなりません。

 しかし 安全と言うわけではないので、意識を失うなどすれば 入院が必要です。

 目の前の危機を 脱することが目的ですが、体の治療をして 退院すると、

 再び同じことが起き、最悪の場合は 命にも関わってしまいます。

 従って、境界性パーソナリティ障害そのものの治療に 移行することが望まれます。

 それが次の 「中庸の入院治療」 です。

o中庸の入院治療

 緊急避難的な入院は、問題を見つめなおし、

 治療を進めていくための 絶好のチャンスになることもあります。

 本人も周囲も認識していなかった 治療の必要性に気付くわけです。

 「計画的な入院治療」 は かなり専門的な施設で行なわれ、

 「緊急避難的な入院治療」 は パーソナリティ障害そのものの治療にはならないので、

 今の日本では この 「中庸の入院治療」 が 一番多いのではないかと思われます。

〔 「境界性パーソナリティ障害 -- 患者・家族を支えた実例集 」

 林公一 (保健同人社) より 〕
 
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境界性パーソナリティ障害の治療 (6) (入院治療 1)

2008年09月09日 21時11分26秒 | BPDの治療について
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55818917.html からの続き)

 境界性パーソナリティ障害の入院治療は 原則として短期間で、

 長くても 1~2ヶ月です。

 あくまでも 治療の中心は外来で、入院はそれを補完するものです。

 徹底的な治療という イメージではなく、

 外来治療の間に挿入される という位置づけです。

 また 入院することは、「一定の枠組み」 を定めることができます。

 入院治療には、計画的なもの,緊急避難的なもの,中庸のものがあります。

o計画的な入院治療

 外来治療を進める中、医師と患者の話し合いで、

 一時的な入院に 合意してなされるものです。

 一定の治療目標を 立てるのが普通です。

 例えば、自傷行為を減らす,家庭や職場環境から いったん離れる,

 依存を絶つ などです。

 入院すると 現実には、病棟で問題行動が出てきます。

 規則違反や、自室での自傷行為,医療スタッフへの暴言など、

 入院前の人間関係の問題が、そのまま病院の中に 持ち込まれてしまいます。

 そのため 病院によっては、

 境界性パーソナリティ障害の人の入院を 嫌う所もあります。

 他の患者さんに 悪影響があるためです。

 しかし、こうした院内の問題行動を 単に迷惑行為と 捉えるのではなく、

 洞察の第一歩として 活用することが必要です。

 その行動に至った心理を 本人と一緒に分析したり、

 適切な対応を 話し合ったりすることが、回復への またとないステップになるのです。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55858526.html

〔 「境界性パーソナリティ障害 -- 患者・家族を支えた実例集 」

 林公一 (保健同人社) より 〕
 
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境界性パーソナリティ障害の治療 (5) (中庸の外来治療)

2008年09月07日 21時15分16秒 | BPDの治療について
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55806575.html からの続き)

 実際の外来治療は、「淡白な外来治療」 と 「濃厚な外来治療」 の

 中庸を取っていることが 多いようです。

 「折衷的精神療法」 と呼ばれることもあります。

 濃厚な外来治療の 力動的精神療法は、精神分析の専門家でなければ 行なえません。

 元々 人数が少ない上、

 保健医療の範囲で 濃厚なカウンセリングを行なうのは 現実的ではありません。

 弁証法的行動療法は、多くのマンパワーと 専門家チームを要します。

 効果が実証されていても、実際に行なえる施設は かなり限られています。

 境界性パーソナリティ障害は まれな病気ではないので、

 一般的な精神科やクリニックで 可能なことが必要条件です。

 「中庸の外来治療」 は、一見 表面的な対応に見えても、

 実際は 濃厚な治療理論を踏まえ、

 時には 濃厚な関わりも加えていくものを 指しています。

 治療が進むうちに、時には 一時的な入院治療を はさむことも必要になります。

 これが 現在の日本の精神科で 最も普通に行なわれている、

 境界性パーソナリティ障害の治療と 言えるでしょう。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55844874.html

〔 「境界性パーソナリティ障害 -- 患者・家族を支えた実例集 」

 林公一 (保健同人社) より 〕
 
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境界性パーソナリティ障害の治療 (4) (弁証法的行動療法)

2008年09月06日 21時35分39秒 | BPDの治療について
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55794415.html からの続き)

 濃厚な外来治療のうちの、弁証法的行動療法 (DBT) についてです。

 マスターソンの力動的精神療法は いわば古典的な治療ですが、

 弁証法的行動療法 (弁証法的認知行動療法) は 新しい治療であり、

 かなり効果があると 認められています。

 力動的精神療法が 障害の理由を 過去の体験に求め、

 それを 解決しようとするのに対して、

 認知行動療法は 原因には拘らず、

 今現在の感情や思考を 見つめて、行動を変えていこうとするものです。

 「弁証法」 とは、例えば 「怒り」 と 「許し」 のような、

 対極的なものを 統合していくという意味合いです。

 特に、生の行動や現実を 受容することが重視されるのが 特徴です。

 行動療法,教育,集団精神療法 (患者グループの話し合い) を

 組み合わせたものです。

 まず 自分の行動、特に衝動的な行動を コントロールすることを目的とします。

 第一は 「自殺リピーター」 から脱することで、

 さらには 生活全般や治療が スムーズに進むことを目指します。

 最終的には、空虚感やアイデンティティ障害を 克服することがゴールとなります。

 治療期間は 約1年が目安ですが、様々な工夫が試みられています。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55818917.html

〔 「境界性パーソナリティ障害 -- 患者・家族を支えた実例集 」

 林公一 (保健同人社) より 〕
 
関連記事:
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/45269689.html
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/48490642.html
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55145497.html
 
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境界性パーソナリティ障害の治療 (3) (力動的精神療法)

2008年09月05日 21時14分22秒 | BPDの治療について
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55782548.html からの続き)

 濃厚な外来治療のうち、力動的精神療法の 三段階についてです。

・試しの時期

 この医師は頼りになるのか、自分を見捨てていくのか、

 治療開始時点で 境界性パーソナリティ障害の人は、

 例外なく 半信半疑の気持ちを持ちます。

 そのため 意識的・無意識的に、

 医師を怒らせたり 苛立たせたりする言動を繰り返します。

 自殺のそぶりも 見られます。

 この 「試しの時期」 を 乗り越えることによって、治療は 次の段階に入ります。

・徹底操作期

 試しの時期が、見捨てられ不安を 行動によって示す時期だとすれば、

 徹底操作期は それを言葉で示す時期です。

 不安や葛藤、実体験などが 医師に語られ、対話の中で 洞察を深めていきます。

 本格的な治療の時期です。

・終結期

 治療によって 回復してくれば、医師への依存の気持ちが 生まれるのは自然です。

 しかし 医師がいなくても、

 自分で自分を 支えられるようになることが 治療の終結です。

 主治医との別れが スムーズにできれば、治療は成功し 回復したと言えます。
 

 見捨てられ不安の原因が 幼い頃の母子関係にあるという マスターソンの理論は、

 現在ではむしろ 否定的だといいます。

 けれども、この治療法は今でも一定の評価を保っています。

 境界性パーソナリティ障害の 精神療法では、

 「試しの時期」 「徹底操作期」 「終結期」 が 何らかの形で認められます。

 これは外来だけでなく、入院精神療法でも同じです。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55806575.html

〔 「境界性パーソナリティ障害 -- 患者・家族を支えた実例集 」

 林公一 (保健同人社) より 〕
 
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境界性パーソナリティ障害の治療 (2) (外来治療)

2008年09月04日 21時12分58秒 | BPDの治療について
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55758084.html からの続き)

 次に 外来治療と入院治療についてです。

 以下のように分けられます。

◎外来治療

o 淡白な外来治療

o 濃厚な外来治療

 1.力動的精神療法

 2.弁証法的行動療法

o 中庸の外来治療

◎入院治療

o 計画的な入院治療

o 緊急避難的な入院治療

o 中庸の入院治療
 

 順に紹介します。

◎外来治療

o 淡白な外来治療

 あえて心理面に深入りせず、現実の問題にアドバイスしたり、

 家族や職場の 環境を調節したり、薬を処方したりします。

 医師は患者と 一定の距離を取りつつ、

 一般のカウンセリングや精神療法よりも サラッとした印象があります。

 「支持的精神療法」 とも呼ばれ、濃厚な治療より むしろ淡白な治療の方が、

 境界性パーソナリティ障害には 適しているという見解もあります。

o 濃厚な外来治療

1.力動的精神療法

 境界性パーソナリティ障害に特有の  「見捨てられ不安」 の根本は、

 幼い頃に 母から見捨てられた体験を 味わったためだという、

 マスターソンの考えに 基づいています。

 これを解決・克服することが 回復であるという理論です。

 力動的精神療法には 次の三段階があります。

・ 試しの時期

・ 徹底操作期

・ 終結期

 続けて紹介をしていきます。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55794415.html

〔 「境界性パーソナリティ障害 -- 患者・家族を支えた実例集 」

 林公一 (保健同人社) より 〕
 
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境界性パーソナリティ障害の治療 (1) (精神療法の枠組み)

2008年09月02日 21時39分01秒 | BPDの治療について
 
 パーソナリティ障害の治療には、誰もが認める 決定的なものはありません。

 症状は人によって 様々であり、個別の環境に 合わせたものが行なわれます。

 共通点は、精神療法と薬物療法を 組み合わせるということです。

 また、外来治療と入院治療に 分けられます。

 これらについて 紹介します。

△薬物療法

 主に 衝動的な行動を抑えること,感情の不安定さを 軽くすることが目的です。

 薬だけで 境界性パーソナリティ障害を 治そうとするものではありません。

 逆に、薬なしで治療できることは まれだと言えます。

 境界性パーソナリティ障害の人の 不安定な感情は、

 治療そのものを破壊することもあり、それを食い止めるためにも 薬の力は必要です。

 抗うつ薬,抗不安薬,睡眠薬,抗精神薬,感情調整薬など、

 あらゆる薬が 手を変え品を変えて 処方されるのが特徴です。

 どれが最善というものはなく、一人一人の患者に 合った処方があります。

△精神療法

 境界性パーソナリティ障害の 治療の中心となるのは 精神療法です。

(カウンセリングと ほぼ同じ意味です。)

 色々な手法がありますが、

 「一定の枠組みの中で行なう」 ということが 共通することです。

 枠組みには、時間的枠組みと 空間的枠組みがあります。

 前者は 診療時間を設定することで、その時間以外には 診察を行ないません。

 緊急に 具合が悪くなったときでも、

 時間外の診療回数などを 決めておくことが必要です。

 一定の枠組みがあった方が、境界性パーソナリティ障害の人は 何故か落ち着きます。

 自分の自由や 裁量によることが多いほど、

 境界性パーソナリティ障害の人は 行動のコントロールが 付かなくなりがちなのです。

 また 枠組み設定には、

 一定枠の中で 自分の行動のコントロールを 学ぶという意味もあります。

 後者の空間的枠組みは、決められた場所だけで 診療を行なうことです。

 理由は 時間的枠組みの場合と ほぼ同じです。

 一定の枠組みを保つことが、回復のためには必須です。

 逆に 枠組みのない治療は、一時的にはうまくいっても、必ず破綻する運命にあります。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55782548.html

〔 「境界性パーソナリティ障害 -- 患者・家族を支えた実例集 」

 林公一 (保健同人社) より 〕
 
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治療の継続について (4)

2008年09月01日 23時37分16秒 | BPDの治療について
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55731322.html からの続き)

 境界性パーソナリティ障害の人は、治療を始めても 診察室に入れなかったり、

 病院に行きたいのに 行けないということも あるかもしれません。

 勇気を出して 診察室に入っても、何も言えなかったり、

 心にもないことを言って 自己嫌悪に陥ってしまうこともあるでしょう。

 でも、それらも全て 治療の一環だと考えるべきです。

 例え治療が 進んでいないように見えても、定期的に通院するということが、

 あとから振り返ると 大きな意味があったことが分かります。

 とにかく、長い目で見て 治療を継続していくことが 必要なのです。
 

 回復過程では、自己破壊的行動や 自殺・自傷行為が

 まず最初に治まるか、回数が減ります。

(そこまで行くのも、かなりの道のりを 要しますが。)

 すると 周りの人の態度も 変わってきて、回復への 良いスパイラルが生まれます。

 けれども、虚ろな心や アイデンティティの障害のような

 内面的な症状は、なかなか消えません。

 ただし、普通の人でも それはある程度 持っているものなので、

 患者が 治っていないと言っても、

 実際は 病的レベルではなくなっているかもしれません。

 現実的に 周囲と問題なくやっていける 状態になれば、もう大丈夫と言えます。

 また、治療が終了するときには、信頼している主治医と 別れなければなりませんが、

 主治医と離れても 大丈夫になることが 回復の目安にもなります。

〔 「境界性パーソナリティ障害 -- 患者・家族を支えた実例集」

   林公一 (保健同人社) より 〕
 
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治療の継続について (3)

2008年08月31日 20時47分25秒 | BPDの治療について
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55719268.html からの続き)

 患者の家族が、治療継続の妨げになる ケースもあります。

 境界性パーソナリティ障害の人の家族は、大きくふたつの タイプがあります。

 ひとつは 「無関心型」、もうひとつは 「過干渉型」 です。

 過干渉の場合、患者本人のことを 心から心配し、

 よりよい医療を求めて 努力しますが、残念ながら 見当違いの方向へ行ってしまい、

 かえって回復が 阻まれてしまうことがあります。

 ある症例では、家族が 患者の病気の原因を、

 親からのトラウマだと 信じてしまいました。

 けれども パーソナリティ障害の原因が 何であるか、

 その判断は簡単ではなく、個々のケースによって 異なります。

 人格が何によって 形成されるかは、とても難しい問題です。

 幼少時や思春期の トラウマが影響することは 考えられますし、

 そういう説もありますが、それは現在は 仮説の段階です。

 実際には 原因は親からのトラウマでない 場合も多いのです。

 育て方の問題だけで 境界性パーソナリティ障害に なることはありません。

 境界性パーソナリティ障害の人は、

 両親のせいで 自分はこうなったと 訴えることがよくあります。

 そのように 主張すること自体が、

 境界性パーソナリティ障害の 症状であるとも言えます。

 医師は それは分かっていますが、

 それが症状であると指摘しても 治療にプラスにならないので、あえて説明しません。

 それが家族には 曖昧に見え、不満を持ち、

 医師を次々と変えるということに なってしまいました。

 家族が患者のためにと 奔走するのは責められませんが、

 その心配が 的外れであるために、治療を続けられず、

 回復が見込めなくなって しまうこともあるのです。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55747572.html

〔 「境界性パーソナリティ障害 -- 患者・家族を支えた実例集」

   林公一 (保健同人社) より 〕
 
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