「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

カップルセラピー, 入院

2014年02月23日 20時39分09秒 | 「BPDファミリーガイド」より

○ カップルセラピー

 治療の対象は、 患者自身やパートナー自身ではなく、 二人の関係そのものです。

 目的は、 カップル間のコミュニケーション・スキルの改善です。

 無効なコミュニケーションをやめ、 批判, 防衛, 愚弄することを減らします。

 BPDの人やパートナーは通常、

 セラピストが 自分の肩を持ってくれることを 期待します。

 重篤なBPDで、 自分の責任を考慮しない場合、

 カップルセラピーには限界があります。

 ノン・ボーダーの人が 自分を承認してもらえないと感じて、

 セラピーが 状況を悪化させる可能性もあります。

 なので このセラピーを始めるには 最大限の注意が必要です。

 もうひとつの問題は、 多くの人が、

 危機で切羽詰まったときのみ セラピーを始めることです。

 差し迫った脅威がなくなり、 ノン・ボーダーの人が 再び関係に引っ張り込まれると、

 ボーダーの人の行動は 以前の状態に戻ってしまいます。

 従って最初の目標は、 治療のモチベーションを確立することです。

 どちらかでも 治療に強制されていると感じるなら、

 決して一定のレベル以上には 進歩しません。

○ 入院

 BPDの人に 他害自傷の危険があったり、

 重篤な症状がある場合に 入院が必要となる可能性があります。

 看護師と親しくなったり、 精神科医と話すのが 必要なこともあるでしょう。

 重要なのは、

 本人に毎日会って 状態を確かめ、 本人と心配事について話をすることです。

 患者の入院は 皆さんにとっての休息でもあります。

 入院は誰のせいでもなく、 彼らは専門家のケアを受けているのです。

■ BPDはよくなります! 

 治療法はひとつではありません。

 タイミングが悪かったり、 セラピストとの相性が よくないことはありますが、

 他でも援助が得られないという 意味ではありません。

 希望が存在し、 実際によくなるということを 知る必要があります。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」 ランディ・クリーガー(星和書店)
 〈監訳: 遊佐安一郎〉 より〕


STEPPS, スキーマ療法

2014年02月22日 22時07分01秒 | 「BPDファミリーガイド」より

《STEPPSグループ治療プログラム》

 STEPPSは、

 「感情の予測と問題解決のための システム・トレーニング」 の頭文字です。

(Systems Training for Emotional Predictability and Problem Solving )

 認知行動的なスキル訓練で、 特定の感情と行動への 対処スキルを学びます。

 家族は チームの重要な参加者となり、 患者の手助けをします。

 問題への対処, 目標設定, 自己ケアのスキルに焦点を当てた 面接を行ないます。

 自分の思考, 感情, 行動の強度を 毎日追跡記録し、

 個人的責任を重視しています。

《スキーマ療法》

 「スキーマ」 とは、

 身に付いてしまった 自己破壊的な生活のパターン (癖) です。

 「スキーマ・モード」 というのは、

 瞬間ごとの感情の状態や、 対処反応のことです。

 「見捨てられた・ 虐待された子供」 のモード,

 「怒っている衝動的な子供」 のモード,

 子供を罰する 「懲罰的な親」 のモード,

 「よそよそしい親」 のモードなどがあります。

 患者は子供時代に 感情的に傷を負っており、 再養育の有効性が前提とされます。

 混乱した、 悲惨な人生から解放され、

 より深い パーソナリティの変化を起こします。

○ 個々の治療プログラムを比較する

 この障害は 多くの異なった形で現れますが、

 その相違を考慮に入れた 治療研究はありません。

 どの治療が最善かの 議論は続くでしょう。

 重要なのは、 皆さんと家族の 健康と幸福であり、

 皆さんの愛する人が どの治療に反応するかなのです。

 治療には時間がかかります。

 BPDの人は常に  「彼のせいだ」 「彼女のせいだ」 と思ってます。

 自分の問題を 自分のものとして受け入れるのは、 とても難しいのです。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」 ランディ・クリーガー(星和書店)
 〈監訳: 遊佐安一郎〉 より〕


弁証法的行動療法 (2)

2014年02月21日 22時39分41秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
(前の記事からの続き)

o プログラム構成

 プログラムの中心は、 毎週2時間のグループスキル訓練と、

 毎週1時間の個人セッション、 必要なら 電話による危機対応も可能です。

 グループのセッションでは、

 苦悩耐性, 中核的マインドフルネス, 感情調節, 対人関係という、

 相互に関連したテーマが 取り上げられます。

・ 苦悩耐性

 惨めなときに、 それを悪化させることなく 乗り越えることです。

 DBTは、 自虐的な方法より、 注意をそらす 多くの方法を集めています。

・ 感情調節

 感情の激しさを 和らげることが目的です。

 BPDの人のなかには、 自分の感情を無視する人もいます。

 彼らは 自分がどう感じているかが分かりません。

・ 対人関係

 この訓練の目的は、 対人的混乱を減らし、 見捨てられ不安を軽減することです。

 前向きな見通しを学び、

 建設的なやり方で 自分の要求を満たすように 他者に頼むこと,

 自分の境界を主張すること, 関係をうまく維持することなどが 課題です。

・ 個人セッション

 週に一度、 まず話し合うのは、 その週の 自傷や自殺行動についてです。

 次に、 セラピーを妨げる行動についてです。

 (遅刻や、 セラピストに 不適切な時間に電話することなど)

 それから、 うつや物質乱用など、 生活の質を低下させる問題です。

 最後に、 スキル訓練で どれだけ進歩したかを話し合います。

o 弁証法的行動療法の限界

 多くの患者が、 弁証法的行動療法で 生活が著しく改善したと言います。

 とはいえ、 奇跡の治療法ではありません。

・ BPDで 自殺思考や自傷が減るのは明らかです。

 しかし、 うつを緩和したり、 幸福な気持ちにさせるわけではありません。

・ 自分の病気を認め、 学びたいと思い、 セラピーで努力する患者にのみ 適切です。

 高機能のBPDの人には 適切ではありません。

・ 多くの労力を必要とします。

 患者は 高いモチベーションを持っていなければなりません。

・ 経済的負担が大きい場合もあります。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」 ランディ・クリーガー(星和書店)
 〈監訳: 遊佐安一郎〉 より〕
 

弁証法的行動療法 (1)

2014年02月20日 22時08分42秒 | 「BPDファミリーガイド」より

○ 標準化された療法

 BPDの構造化された療法には、 弁証法的行動療法 (DBT),

 STEPPS, スキーマ療法があります。

《弁証法的行動療法》 (DBT)

 低機能のBPDの人のための、 自傷や自殺の割合が低下する 治療法です。

 「弁証法」 というのは、

 ふたつの反対の事柄が 同時に真実であることを意味します。

 患者は 自分自身のありのままを 受け入れる必要があると同時に、

 自分を変えて 新たなスキルを学ぶ必要があります。

 弁証法的行動療法 (DBT) の創始者の マーシャ・リネハンは、

 「自分自身を受け入れなければ、 実際に変わることはできない」 と言っています。

o 基本的な弁証法的行動療法の概念

・ 患者は動機づけられており、 変化しようとする気持ちがある

 BPDの患者は、 落伍者だと感じたり、 衝動的な行動を取ったりすることに

 うんざりしています。

 彼らは変わることに 強い関心を持っているのです。

・ 徹底的受容は、 回復に必要不可欠である

 徹底的受容とは、 今のありのままの自分自身を、

 判断したり批難したりせずに 受け入れることです。

 生涯にわたるプロジェクトであり、 BPD以外の人にとっても 重要な手段です。

 徹底的受容は、 自分自身を嫌う羞恥心から 解放するといいます。

 「自分はこのようにできているのだ」 と 落ち着いて言うことができるでしょう。

 「そうでなかったらよかったが、 そうなのだ」。

 いったん 自分自身についての判断を手放すと、 真に前進することができるのです。

・ 感情をうまく扱うための鍵は、 マインドフルネスにある

 多くの苦しみは、 将来について考えたり、 過去を反芻することによって起こります。

 マインドフルネスは、 一歩下がって、

 自分の内側や 周りのでき事を観察し、 その瞬間に生きることを可能にします。

 公園を散歩しながらでも、 過去や未来に 心を奪われるのではなく、

 目の前の自然の美しさに 浸るということです。

 マインドフルネスはBPDの人だけでなく、 全ての人のためのものです。

・ BPDの人は承認を必要とする

 承認とは、 BPDの人の気持ちを 共感的に聞き、 評価しないことです。

 BPDの人に  「怒るべきでない」 と言う代わりに、

 「君がとても腹を立てているのが 分かるよ」 と 言うようなことです。

 このとき、

 その怒りの理由が正しいと 同意しているのではないことに 留意してください。

(次の記事に続く)

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」 ランディ・クリーガー(星和書店)
 〈監訳: 遊佐安一郎〉 より〕
 

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力動的精神療法と認知行動療法

2014年02月18日 20時15分51秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
 不本意なパターンに 何度も陥っている人にとって、 セラピーは特に有益です。

○ 臨床的な 「アプローチ」

 治療には様々な学派 もしくは 「アプローチ」 があります。

 精神分析, 問題解決志向療法, ブリーフセラピー,

 力動的精神療法, 認知行動療法などです。

 ほとんどのセラピーは、 様々な学派を 少しずつ組み合わせたもので、

 「折衷的アプローチ」 と呼ばれます。

 「標準化された治療」 の場合、 臨床家は 同じような教育と訓練を受けます。

○ 折衷療法

 多くの折衷主義の臨床家は、

 力動的精神療法と認知行動療法の学派の 技法を用いています。

《力動的精神療法》

 クライアントの 感情や過去の経験を明らかにし、 それを検討します。

 未解決の葛藤や昔の問題が、

 クライアントの非生産的な行動を 引き起こしているかを調べます。

 セッションから得るのは 洞察の経験です。

 これは知的学習とは異なります。

 感じないようにしてきた物事を感じ、 避けてきた物事を 認識できるようになるとき、

 気分がよくなり、 より機能できるようなるのです。

《認知行動療法》

 思考が 私たちの感じ方や行動を 引き起こします。

 思考を、 より望ましい 反応や行動につながる 思考に置き換えることが重要です。

 そうして 感情を改善することができます。

《折衷的組み合わせ》

 力動的精神療法と認知行動療法を統合した 折衷的アプローチは、

 柔軟な対応を可能にします。

 クライアントは 問題に対する洞察 (思考) を得ることで、

 より自信を持ち(感情)、 実用的なスキル(行動)を 改善できるかもしれません。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」 ランディ・クリーガー(星和書店)
 〈監訳: 遊佐安一郎〉 より〕
 

新しいデイサービス

2014年02月15日 21時55分45秒 | 介護帳
 
 新しい介護の仕事が やっと決まりました。

 小規模デイサービスです。

 条件を絞って探したのと、 年令で採用されにくくなっているのと

 双方の事情が重なり、

 また、 転居や沖縄学会 その他の作業があり、

 今回は決まるまで 本当に長くかかってしまいました。

 ネットで求人先を調べていると、

 その会社の従業員の 定着率なども分かるページがあり、

 やっと条件に合う会社が見つかっても、

 定着率が極度に悪くて 応募を躊躇ったりもしていました。

 でも 時間をかけて探した結果、 とても良い所に決めることができました。

 オープンして間もない施設で、 今週から勤務し始めました。

 スタッフもいい人たちで、 気持ちよく働きやすい職場です。

 前の職場の人間関係がひどくて 心療内科にまでかかってしまいましたが、

 環境がよいと 能力も発揮できると感じています。

 (小規模デイサービスには慣れているからでもありますが。)

 今までしたことのない業務なども任されます。

 利用者さんは、 介護度が低くて 認知症のない人も多く、

 やりやすいと言えばやりやすいですね。

 (介護度や認知の重い人も やりがいがあるのですが。)

 契約も、 非常勤なのに ずっと長期間続けられる形にしてくれ、 安心しています。

 僕が本などを書いていたことや、 人物全体を評価してくれたようで、

 嬉しいことです。

 (年令を見ただけで 最初から雇う気がない会社も 非常に多いのですが。)

 通勤に時間がかかるのが 玉にきずですが、 それも運動と考えれば健康的です。

 とにかく、 張り合いを持って 快適に働き続けられることを 願っています。
 

新しいパソコン

2014年02月08日 21時06分19秒 | Weblog
 
 新しいパソコンを購入しました。  (^^)

 前のパソコンは 6年前に買ったXPで、

 動作がすっかり遅くなっており、 作業にさんざん難儀していました。

 XPのサポートが この4月で終わることと、 4月から 消費税が上ることもあわせ、

 パソコンを買い換えることにした次第です。

 購入するのはデスクトップですが、 Windows8は賛否両論あるようで、

 7とどちらがいいのか 調べたりしていました。

 ところが、

 僕が使っている フジツーの 「親指シフトキーボード」 〔*注〕 の

 専門店に問い合わせると、

 親指シフトは8に (一部しか?)  対応していないというのです。

〔*注: http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/40522620.html 参照〕

 なので 選択肢はなく、 Windows7 (64bit) にすることにしました。

 XPと使い勝手が異なって 最初戸惑いましたが、

 ネットのページの表示速度は 抜群に早いです。

 今までの数倍~十数倍早く、 その点はすこぶる快感です。

 しかし、 XPでできたことが 7でできなかったり、

 フジツーの日本語入力ソフトが うまく働かなかったり、

 メーカーに 何度も長時間電話して、 連日苦労しています。

 特に、 スタートメニューから

 ファイル内の文字を検索することが 7ではできなくなっており、

 非常に困っています。

 検索ソフトを入れることを 検討です。

 快適さと不便さの間で さまよっています。
 

 ところで、 フジツーは今のところ、

 親指シフトを Windows8に対応させる 気配がないそうで、

 下手をすると 将来的にも、

 新しいOSに対応させていかない 可能性もあるかもしれないというのです。

 そうすると 親指シフトが使えなくなるか、 古いOSで 危険な状態のまま

 親指シフトを使わなければいけないことに なるかもしれません。

 25年前に 初めてワープロを買う際、

 親指シフトと心中するつもりで 親指シフトキーボードを購入しましたが、

 その頃パソコンはなく、 新しいOSへの対応の問題など 思いもよりませんでした。

 でも 親指シフトキーボードは もちろんローマ字入力もできるので、

 ローマ字入力も練習していったほうが いいかと思っています。