「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

いま決断すること (3)

2013年05月31日 22時10分56秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
○ 自分自身への問い

 パートナーとの関係について、 自分自身に 問うべき質問があります。

・ この関係から 何を得たいか, 何を必要としているか

・ 自分の感情をさらけ出せるか

・ 身体的な危険はないか

・ 子供にどんな影響があるか

・ 自尊心に影響を与えているか

・ ボーダーの人と同じくらい、 自分自身を愛しているか

・ ボーダーの人が 変化する用意ができた時だけ、 受け入れているか

  変化がなくてもやっていけるか

・ お金など、 実際的な問題は何か

・ 自分が幸せになる権利が あると思っているか

・ 人の犠牲になる時だけ、 自分に価値があると思っているか

・ 最も気が休まるのは いつか

 (その人といる時か, 一人の時か, 他の人といる時か)

・ 家族たちに逆らっても、 自分の決定をできるか

・ 本当に自分自身で決断しているか,人がしてほしいことをしているだけか

・ 自分の決定の 法的な結果はどうか

・ 私が友人の立場だったら、 どうアドバイスするか

○ 子供が巻き込まれたら

 自分が不幸でも 子供のためには一緒にいるべきでしょうか? 

 しかし、 不幸な親と妄想的な親に 挟まれているよりは、

 一人の幸せな親と 暮らしたほうがずっとましです。

 子供にとって 解決不能な葛藤や、 言葉の暴力, 虐待にさらされることのほうが、

 離婚よりも悪影響です。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 

いま決断すること (2)

2013年05月30日 20時10分57秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

3. 内向段階

 ノン・ボーダーの人は 内面に目を向け、 正直に自分を見つめようとします。

 この段階の目標は、

 二人の関係で 自分が果たしてきた役割を、 より深く理解することです。

 自己批判でなく、 洞察と自己発見です。

4. 決定段階

 相手との関係について、 何らかの決断を下そうと 悩みます。

 何ヶ月、 何年も続くかもしれません。

 自分自身の価値観, 信念, 期待, 思い込みなどを

 はっきり理解する必要があります。

 例えば、 離婚に反対する 保守的な家系の出身のために、

 暴力を振るう妻と 別れずにいるのかどうか? 

 他人のものではなく、 自分自身の価値観で 行動することが大切です。

5. 決定期

 決意を実行に移します。

 時間をかけ、 何度も迷い、 別の選択を模索す人もいます。

○ 白か黒かではない関係

 白か黒だけではなく、 沢山の選択肢があります。

・ ボーダーの人が境界を侵したときは、 一時的にその場を離れる

・ 関係をしばらく絶つ (数日~数ヶ月)

・ ボーダーの人の行動を個人的に受け取らない

 (相手が私だからやっているのだと受け取らない)

・ 関係は続けるが、 別々に住む

・ 親密度を弱める

・ 一緒に過ごす時間を減らす

・ 趣味や友だち付き合いなどに、 バランスよく時間を使う

・ ボーダーの人が治療を受け、 変化しようとする場合だけ、 関係を続けると伝える

 彼らに約束を守らせ、 破ったら去る

・ あなた自身がセラピーを受け、 問題が解決するまで、 決定を先延ばしにする

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 

いま決断すること (1)

2013年05月29日 21時26分35秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 ノン・ボーダーの人は、 ボーダーの人との関係を とても続けられないと思いながら、

 去ることは想像ができないし、 不可能のようです。

 ノン・ボーダーの人は皆、 同じ気持ちを抱いています。

 今は見えていなくても、 あなたには選択の自由があります。

○ ノン・ボーダーの人が経験する 5つの段階

 一般的に次の段階を 順に経験するでしょう。

 大抵は行きつ戻りつします。

1. 混乱段階

 ボーダーの人の行動の理由を 理解しようと苦しみます。

 見込みのない解決策を探したり、 自分を責めたり、

 混沌の中で生きようとしたりします。

 BPDの知識を得ても、

 知的なレベルで 本当に理解するには 何週間も何ヶ月もかかるでしょう。

 感情的なレベルで理解するには もっと長い時間が必要です。

2. 外向段階

・ 注意をボーダーの人に向ける

・ ボーダーの人に 専門的な援助を受けるよう迫ったり、 彼らを変化させようとする

・ 問題行動を誘発しないよう 全力を尽くす

・ ボーダーの人を理解したり、 共感しようとするうち、 学ぶことは全て学ぶ

 ノン・ボーダーの人が 怒りや悲しみを理解するには、 長い時間がかかります。

 特に、 親や子供がBPDの場合は そうです。

 障害は本人の責任ではないと 頭では理解していても。

 自分の怒りを抑圧し、 代わりに 抑うつや無力感や罪悪感を抱きます。

 この段階で必要なのは 以下のことです。

・ 自分の感情を認め、 対処する

・ ボーダーの人に 自分の行動の責任を持たせる

・ 彼らが望み通りになる 幻想を捨てる

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕

(次の記事に続く)
 

事実ねじ曲げ作戦との戦い (3)

2013年05月27日 22時41分15秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

 子供から 不当な告発を受けたときの アドバイスです。

・ 子供の診断や行動の 記録を残しておく。

・ あなた自身の行動も 記録しておく。

  アリバイになるかもしれません。

・ 他の子供たちが、 あなたの無実を 証言する気があるか 訪ねておく。

・ ボーダーの子供と会うときは、 必要なら第三者を同席させる。

・ 告発を深刻に受け止める。

  雪だるま式にコントロールが及ばなくなります。

《 防衛的にならず、 質問に答える 》

 虐待に関する 児童相談所などの調査は、 詰問のように感じるかもしれませんが、

 明白な証拠でなければ 告訴にはなりません。

 防衛的で非協力的な態度は 不利益になります。

 子供を愛していると伝え、 法的な質問には 正直に答える必要があります。

 批難されるべきは 子供ではなく病気です。

 本当の敵は 以下のことです。

・ 否認: すぐに解決するだろうと期待して 何もしない

・ 希望的観測: ボーダーの人が 心を入れ替えると思い込む

・ 感情的になる: 理にかなった解決でなく、 感情的に反応する

・ 殉死: 自分が傷ついても、 ボーダーの人を 傷つけられないと思う

・ 孤立: 自分だけで 問題を解決しようとする

・ 法的手続の遅れ: 危機的状況になるまで弁護士を雇わない

 真実はおのずと明らかになり、 嘘も最後は暴かれます。

 適切に行動することで、 その日が来るのを早められます。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 

事実ねじ曲げ作戦との戦い (2)

2013年05月26日 21時31分37秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

○ 言いがかりについて 人と話すとき

 ボーダーの人は あなたに関するデマを 言いふらすかもしれません。

 それに対してどうしたいのか 自問してみてください。

 身の潔白を証明したいのか、 友情関係が失われないようにしたいのか。

 さほど大きな問題を 起こさないとしたら、

 彼らの嘘が 嘘だと分かるようにするのが 一番いいでしょう。

 しかし、 周りが嘘を信じる 重大な状況になっていたら、

 誤解を解く必要があります。

・ 腹が立っても、 落ち着いて、 自制心を保って行動する。

・ 相手が 噂を本当だと思っているなら、 深刻な事態だと伝える。

・ ボーダーの人をけなさない。

  ボーダーの人を 心配していることを伝え、

  嘘の理由が分からず 混乱していると認める。

  心理的問題について議論すると、 誤解されたり、

  ボーダーの人をけなすように思われる。

・ 人があなたをどう思うか コントロールできないと認識する。

  言うべきことは言い、 あとは放っておく。

○ ボーダーの子供から、 いわれのない虐待の告発を受けたら

 子供が不当に 親を虐待で訴えることがあります。

 その理由としては、

 主観的な被害への復讐, 不公平に扱われたことへの仕返し,

 両親の信頼関係を引き裂こうとする 試みなどです。

《 不当な告発への対処 》

 訴えられた親は 多くの場合、 子供や家族から離れて暮らすよう、

 裁判所から命じられます。

 子供と暮らすことになる 他方の親は、

 子供と配偶者の双方を支え、 誠意を保とうとする 葛藤を抱えます。

 他の家族や友人なども、 子供と親の どちらに誠意を示すか、 窮地に陥るでしょう。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 

事実ねじ曲げ作戦との戦い (1)

2013年05月25日 21時07分43秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 ボーダーの人は それぞれ独自の存在で、 対応の仕方も異なります。

 行動を起こす前に、

 状況を理解している メンタルヘルスの専門家に 相談してください。

 境界性パーソナリティ障害が 精神疾患であることを認識してください。

 彼らは 細やかな心遣いと敬意をもって 扱われるべきなのです。

 怒りや仕返しで 彼らを傷つけないでください。

○ 攻撃されにくくすること

 事実ねじ曲げ作戦に対処する 最善の方法は、 予防です。

 事前に対策を講じて、 自分を守りましょう。

 事実ねじ曲げ作戦は 仕返しの場合と、 理由が見当たらない場合があります。

 以下の手順を踏んでください。

・ ボーダーの人を巻き込む行動を 自分がしていないか,

  ボーダーの人がどんな反応を示すか、 考えてください。

・ あなた自身の、 攻撃に弱いところはどこでしょう? 

  最悪の事態に備えつつ、 最善を期してください。

・ 計画を立てて実行してください。

○ 反応しないという手

 反応することが ボーダーの人の行動化を 長引かせることがあります。

 あなたを彼らの下に 引き留めるためかもしれません。

 感情的な反応は 彼らの行動への ご褒美になってしまいます。

 相手の行動の 短期的結果と長期的結果を 考えてください。

 結果が無意味だったり、 あなたを困らせるだけのものならば、

 放っておくのが 一番よいかもしれません。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 

今年もゴーヤを植える

2013年05月22日 21時32分45秒 | Weblog
 
 住まい探しと職探しが重なっていますが、 今は職を先に 決めることにしています。

 (なかなかいい所がないのですが。)

 先日 心子のお墓参りに行ったとき、 花屋さんに転居の話をすると、

 今年は ゴーヤを植えられないんじゃないですか、 と言われました。

 去年、 ゴーヤが生い茂るように育った 話をしていたのですが、

 花屋さんはやっぱり こういうことが一番 気になるんですね。  (^^;)

 去年の見事な生育ぶりに、 花屋さんは感心していたのでした。

 いつ引っ越すことなるか 分からないため、

 僕も ゴーヤをどうしようかと 思っていたのですが、 取り敢えず植えて、

 引っ越すことになったら そのまま置いていけばいいと 考えました。

 どうせアパートは取り壊すので、

 何を置いていっても 構わないわけですから。  (^^;)

 他の住人も すでにゴーヤを植えています。

 それで、 今日やっと 苗を買ってきました。

 去年 すくすくと伸びたゴーヤを 買った店です。

 白と緑の 2種類のゴーヤがありました。

 白いのは苦くないのだそうです。

 もちろんσ (^^;)は 苦いのがいいので、 緑を購入。

 腐葉土や肥料も買ってきて、 苗の植え替え。

 ゴーヤは 2年続けて同じ土で 植えられないと聞いていたので、

 新しいプランターも用意しました。

 去年のプランターの土の中には、 ゴーヤの根が まだ一杯残っていました。

 さて、 今年はどこまで育つのを 見届けられるでしょう。  (^^)

(今日は スカイツリーの誕生日でしたが、 明日は σ (^^;) の番です。)
 

事実をねじ曲げる作戦 (2)

2013年05月20日 20時48分24秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
事実をねじ曲げる作戦 (2)
 
(前の記事からの続き)

・ アイデンティティと攻撃性

 妻や母親としての アイデンティティを失ったと感じると、

 空虚感, 無力感, 存在の無意味さ,

 生きていけないという思いを 抱くかもしれません。

 そのため、 決して屈しないという 偽りの姿を身にまとい、

 自分の一部を失うまいと、 闘うようになると考えられます。

 相手にしがみついたり、 喧嘩としがみつきを 繰り返す場合もあるでしょう。

 自分を被害者だと見なすと、

 事実ねじ曲げ作戦が アイデンティティになるのかもしれません。

・ 恥辱と批難

 無能感, 不全感, 羞恥心, 屈辱感, 低い自己評価などを持つ ボーダーの人は、

 完璧さのマスクをかぶって、 それを覆い隠そうとするでしょう。

 極端な自己不全感のために、

 彼らは 相手のほうが無能で 無責任だと立証することで、

 自分への批難を 免れようとするのかもしれません。

 配偶者に去られることを 破滅的な攻撃だとみなすと、 ボーダーの人はそれを

 裏切り, 利己的な好意, 陰謀などに見立て、

 妄想的な考えを 膨らませるかもしれません。

 裏切られた側は 仕返しを企て、 それに取りつかれるかもしれません。

 相手が 危険で攻撃的だとみなされると、

 不当な扱いを受けたのだから 報復してもよいと考えます。

 “やられる前にやれ” という、 先制攻撃をしかけることもあります。

○ 自分の危険度を調べる

  事実ねじ曲げ作戦には 幾つかの共通点があります。

・ 人に裏切られたと主張し、 仕返ししようとする。

・ 感情的なストレスがかかったり、 ノン・ボーダーの人と二人だけになると、

  現実との接点を失い、 妄想的になる。

・ 被害者であるノン・ボーダーの人は、

  自分がボーダーの人を 保護すべきと思っている。

  そして 自分の利益を計れなくなっている。

 ボーダーの人は スプリッティングのせいで、

 ノン・ボーダーの人に対して プラスの感情を思い出せないかもしれません。

 ノン・ボーダーの人を 極悪非道人とみなすことに、 早く気付くいて、

 事実ねじ曲げ作戦を切り抜けましょう。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 

事実をねじ曲げる作戦 (1)

2013年05月19日 21時57分51秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 ボーダーの人の中には ノン・ボーダーの人に対して、

 いわれない批難をしたり、 屈辱的な噂を立てたり、

 正当な理由もなく 法的措置に訴える人がいます。

 これを、 事実ねじ曲げ作戦と呼んでいます。

 お金を盗まれたとか、 暴力を振るわれたとか言いふらしたり、

 脅迫状を捏造して 法廷に持ち込む人もいます。

 しかし、 多くのボーダーの人は そのようなことはしません。

 精神疾患を持っていてもいなくても、 間違った主張をする可能性があるでしょう。

 ただ、 いわれなく批難されるノン・ボーダーの人を 理解する必要があります。

○ 事実ねじ曲げ作戦の動機

・ 見捨てられることと怒り

 BPDが 根本的に風変わりな行動を 起こすわけではありません。

 ボーダーの人も 他の人と全く同じで、 ただ ちょっと極端なだけなのです。

 人は誰でも 喪失感や拒絶された思いを 経験します。

 事実ねじ曲げ作戦には、 見捨てられ感や喪失, 拒絶という、

 ボーダーの人にとって 恐ろしい問題があるようです。

 愛する人に縁を切られると、 自尊心を傷つけられたと感じるかもしれません。

 喪失感がはっきりしない場合もあります。

 愛する人や、 夢や希望を失うと、

 不安や悲しみ, 見捨てられて孤独になる恐れなどが 強烈に呼び起こされます。

 それを認識するのが 難しい人は、 悲しみや怒りに蓋をし、

 相手を 終わりのない論争に巻き込んで、 別れを回避しようとします。

 喧嘩は否定的なものとはいえ、 相手との接触を保つ方法です。

 喧嘩の最中でも、 彼らは 仲直りできるのではないかという 幻想を抱いています。

 過去の喪失体験から受けた、 未解決のトラウマにも 反応しているかもしれません。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 

ノン・ボーダーの親の役割 (2)

2013年05月18日 20時56分39秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
(前の記事からの続き)

4. 適切な環境を提供すること

 ボーダーの子供には 構造化と一貫性が必要です。

・ 手順を決めておくこと

 構造化とは、 物事が常に決められていることです。

 ボーダーの子供たちは、 スケジュールが決まっていると うまくやっていけます。

 予期しないことが起こると、

 どう感じて どう行動すればよいか 分からなくなってしまうのです。

 よくある結末は 怒りの爆発です。

・ 結果を決めておくこと

 構造化をする際は、 責任に見合ったことをしないと どうなるか、

 子供に分からせるようにしてください。

 年令に応じて、 自らの失敗から学ばせることが とても重要です。

 衝動的な行動の結果に苦しんでいる 子供の姿を見るのは 辛いでしょうが、

 長い目で見れば、 自分をコントロールすることを学ばなければ、

 子供はもっと苦しむことになるのです。

・ 一貫性

 一貫性とは、 子供に いつでも自分の行動の責任を 持たせることです。

 ボーダーの子供は、 一貫性のない行動が すぐ惨事となる可能性があるのです。

《 子供のために診断を得ること 》

 青年期の 外に向かっての行動化と、

 BPDの行動を区別するのは 難しい場合もあります。

 行動の原因に 目を向けてください。

 根深い苦悩, 空虚感, 自己嫌悪, 見捨てられ不安に対処するため、

 激怒したりして行動化します。


 子供の行動は BPDが原因だというのを忘れないことです。

 子供を愛し、 病気を憎んでください。

 ボーダーの子供を持つというのは、 素晴らしい瞬間もあります。

 子供たちが 両親の愛情に気付き、 受け入れるという

 最も重要な段階に達した時には、

 それはとても強力で 素敵な、 貴重な体験となるのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 

ノン・ボーダーの親の役割 (1)

2013年05月17日 20時44分39秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
1. 家族の安全を守ること

 ボーダーの子供の要求と 他の家族の要求との間で バランスを取るのは、

 非常に難しいことですが、 家族の安全を守るのは 最も重要です。

2. 自分自身を大切にすること

 感情的にも肉体的にも 疲れ果てた親には、 子供を健全に養育することはできません。

 自分を、 子供の親としてだけでなく、 一人の人間として考えてください。

 夫婦二人が平等に 養育を分かち合ってください。

 夫婦が時々 役割を交代させてもよいでしょう。

 重要なのは孤立しないことです。

 ボーダーの子供を持つことで 友人を失うかもしれません。

 あなたの言葉に 耳を傾けてくれる人を 探してください。

 問題を解決してもらう 必要はないのです。

3. 子供の医学的治療に 責任を持つこと

 子供の治療の最高責任者は 自分だと思ってください。

 あなたが最も 子供を心配しているのであり、 最終的に子供に責任があるのです。

・ 注意深く記録を取る

 子供の行動や気分変動, 色々な機関との接触について 記録を付けておいてください。

 薬品名, 服薬量, 受診日時, 関係者との会話など、

 2~3の簡単な言葉でもよいのです。

 医師が診断する際にも 役立つかもしれません。

・ 治療提供者と共に取り組む

 心を開いて 臨床家の言うことに 耳を傾けましょう。

 ただし、 あなたの心の声には 注意を払ってください。

 必要があれば 自分の考えを述べてください。

 最後に決定するのはあなたです。

 臨床家が、 証拠もないのに あなたの育て方が悪いと責めるなら、

 専門家を変えましょう。

・ 制度に対処する

 色々な機関と渡り合うのは、

 ボーダーの子供に対処するのと 同じくらい大変な仕事です。

 子供の権利を擁護する時、

 あなたは思ってもみなかったような 自分の強さに気付くでしょう。

(次の記事に続く)

〔 「境界性パーソナリティ障害=BPD」 第2版 (星和書店) より〕
 

兄弟や家族への影響

2013年05月16日 21時10分54秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 家族や親戚の中には、

 家系に精神疾患を抱えた者がいるのを 認めたがらない人もいます。

 しかし あなたがBPDの診断を信じ、 そこから進もうとしていることを、

 家族は尊重すべきです。

 ボーダーの子は話をでっちあげ、 周りの人は 酷い話を信じるかもしれません。

 でも他人がどう思おうと 本当の私達に影響はない、

 と自分に言い続けることも必要です。

 治療のためにお金がかかり、 他の兄弟は ボーダーの子を助けるために、

 色々なものを 諦めなければならないかもしれません。

 問題を抱えた子の兄弟は 親の愛情に飢えており、

 破壊的な行動で 助けを求めて泣き叫びます。

 ボーダーの子は 人の境界を尊重することができません。

 兄弟への侵入は巧妙で、 最悪の場合は 身体的虐待に進むかもしれません。

 友人や家族に援助してもらい、

 他の兄弟にも 彼らに必要な時間や関心を 与えてください。

 子供たちには 隠し事をしないでください。

 ボーダーの子は 自分をコントロールできないのだと 説明しましょう。

 兄弟たちが持つ 怒りや憎しみも、 正常な感情だと説明してください。

 その子たちにとって 安全な場所があることを 確認しておきます。

 ボーダーの子の ある姉は、 次のように語っています。

 「母の関心を得るために、 私はずっと闘わなきゃいけないの? 

 妹の自殺が うまくいけばいいって思った。

 でも落ち着いたら、 うんざりするくらい罪悪感を感じるの。

 将来や家族のことが心配。

 私の結婚式で 妹が急に癇癪を起こすんじゃないか, 夫になる人は妹をどう思うか,

 子供ができたら 妹はどんな叔母になるか,

 私の子も 恐ろしい病気になるかもしれないって。」
 

ノン・ボーダーの親の経験

2013年05月15日 21時01分09秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
 ボーダーの子供は 他の子とうまくやっていけず、 叱っても何の効果もありません。

 自傷他害など、 生命に関わるような 事件を起こして初めて、

 BPDとの診断を受けます。

 ある親は 自分の寝室に鍵をかけ、 服のまま、

 枕の下に 車のキーを忍ばせて寝ていたといい、 生きた心地がしないでしょう。

 でも暴力に対しては ノーという権利があります。

・ 親はどのように感じるか

 あなたの感情は 大きく揺れ動き、

 無条件の愛が信じられなくなるくらい 試されます。

 子供が苦しむのを 見るのが辛くて、 心は何度も打ち砕かれるでしょう。

 自分の子供に 憎しみを感じるかもしれません。

 愛情と憎しみの間には、

 恐怖, 混乱, 憤り, 驚き, 幸福, 罪悪感などがあるものです。

 どの親も、 BPDの原因になることを 自分がしたのか、

 それを防ぐために 何ができたのか、 と考えます。

 親は 子供の未来を信じています。

 自分の残りの人生を、 子供の手助けに費やすのだろうか? 

 子供を愛すれば愛するほど、 彼らが巣立っていく日を 待ち望んでいるのです。

・ 配偶者と分かち合うこと

 BPDの子供のために 結婚生活が破壊されかねません。

 でも逆に 強固になる可能性もあります。

 二人が同じ方向を向いて、 お互いを理解し合うことが重要です。

・ 最善を尽くす

 よくある過ちは、 子供をBPDということで責めたり、

 尚早な変化を期待することです。

 でもBPDには 生物学的基盤があることを忘れないでください。

 子供に失敗から学ばせることと、 保護してあげることの間の 細い道のりを、

 歩んでいかなければなりません。
 

あなたの子供が ボーダーラインだったら

2013年05月14日 22時31分17秒 | 「境界性パーソナリティ障害=BPD」より
 
○ 子供にも境界性パーソナリティ障害はあり得るか

 子供をBPDと診断できるかは、 絶え間のない論争です。

 診断できないと考える専門家は、

 子供の人格は変動しやすいため、

 BPDの定義である  「行動が広範囲に及ぶ, 持続的, 変化しにくい」

 という点を指摘します。

 これに反対する臨床医は、 人格の発達に関連した 感情的・行動的な問題は、

 早期において明らかに存在し、 「固執性」 「広汎性」 を説明できるといいます。

 DSM-Ⅳ-TRでは、 18才以下に BPDの診断をつける際の 指針があります。

・ BPDの特徴が 少なくとも1年間持続している

・ 正常な発達段階, 物質依存の影響, うつや摂食障害などの、

  一時的な状態としては説明できない

 それでも、 BPDと診断されると 偏見の対象になるため、

 専門家の多くは 診断をつけたがりません。

○ 養子と境界性パーソナリティ障害の発生率

 養子の子供たちは、 ボーダーラインの特徴を 部分的に示しています。

 以下のような理由が考えられます。

・ 早期の分離と喪失

 人生の早い段階で、 養育者から引き離される経験は、

 子供の基本的な信頼感の発達を 妨げる可能性があります。

・ アイデンティティの問題

 養子の子供の多くは、 拒絶されるのではないかという 不安と闘うことになります。

 それは 自己不全感へと繋がっていきます。

・ 遺伝的気質

 望まれない妊娠のため 養子縁組されることがよくあります。

 こうしたことは、 衝動的で捨て鉢な傾向の人たちの間で よく見られ、

 子供も遺伝的に 似た気質を持つかもしれません。

・ 気質的な不釣り合い

 生みの親より 育ての親とは、

 気質や価値観を 調和できる可能性が少なくなるでしょう。

 それは 子供の自信や自尊心を 失わせるかもしれません。
 

住まい探し “裏事情” (3)

2013年05月12日 21時30分23秒 | Weblog
 
(前の記事からの続き)

 入居時に 礼金や敷金を取らない 物件も増えていますが、

 逆に退去するときに、 クリーニング代や修繕費などを取られたり、

 中には法外な料金を 要求する業者もいるとか。

 入居者が火災保険に加入することも 義務化されたりしています。

 また、 保証人を立てずに、 入居者を保証会社に加入させる ケースも増えています。

 入居者が滞納して 保証人も払えない場合、 保証会社に支払ってもらうのです。

 オーナーはリスクがなくなりますが、

 入居者は保証会社に 保険料 (掛け捨て) を支払わなければなりません。

 入居時の初期費用に、 鍵の交換費などが 含まれることも少なくないです。

 部屋のクリーニングや 火災保険なども含め、

 それらはオーナーの義務ではないか と思うのですが、

 今はオーナーのほうが強くなり、

 それを払うのが嫌なら 他の物件を当たってくれという 話になるのだそうです。

 不動産屋も オーナーに頭が上がらない 立場になっています。

 オーナーに対する 不動産屋の処遇や条件がよくないと、

 オーナーは 別の不動産屋に鞍替えできるので、 オーナーは天狗になっているとか。

 無論 オーナーによって色々な人がおり (特に昔の人は)、

 入居者に配慮してくれる人など 様々らしいです。

 契約時に、 入居者に対する審査も 厳しくなっているようです。

 入居者の支払い能力を調べるため、

 入居者の勤務先に電話して 在籍を確認するオーナーもいるといいます。

 そんな事情から、 「在籍会社」 なるものも 登場しているとのこと。

 例えば上京したばかりで 就職も決まっておらず、

 住所を定めなければならない 人のために、

 形だけ その会社に在籍しているということにし、

 審査が通って 入居が決まったら、 幾らかの謝礼を受け取るというものです。

 嘘をついているには違いありませんが。

 まあ そんなこんなのことを、 今回知った次第です。