クロオオアブラ蝙蝠の繁殖が札幌で確認されたとの記事を読んだ。
報道によれば、クロオオアブラ蝙蝠は東アジアやロシア極東部に生息し、翼を広げると25cmにも達するもので、群れを成さないことから国内での報告例も15匹に留まっていた。今回の繁殖確認は、昨年9月に動物写真家が撮影した蝙蝠の死骸がクロオオアブラ蝙蝠の幼体と認定されたことによって繁殖が行われていると結論されたものである。これまで韓国の場当たり的外交を「蝙蝠外交」と散々書いたにも関わらず、蝙蝠についてイソップ寓話「卑怯なコウモリ」しか知らないことに気が付いたのでウィキペディアの記事を拾い読みしたが、蝙蝠は大した奴であることが分かった。以下は概ねウィキペディアの引き写し抜粋であるので、さらに興味のある方は詳細に読み込んで頂きたい。蝙蝠目は南極以外の全大陸・全海洋島にも広く分布する唯一の哺乳類とされている。蝙蝠の系統樹を辿ると、恐竜時代の「飛行する脊椎動物」は翼竜と鳥類が占めていたが、恐竜時代の終結に翼竜は絶滅し、鳥類も現生の鳥類に繋がる新鳥類以外は絶滅した。飛行する脊椎動物という生態系に「空き」ができたため、そこに進出する形で哺乳類から進化し登場したたのが蝙蝠類であるらしい。蝙蝠の直系祖先にあたる動物や、蝙蝠が飛行能力を獲得する進化の過程を示す化石は未だに発見されていない。原始蝙蝠の最古の化石はアメリカ合衆国ワイオミング州の約5200万年前の地層から発見された「オニコニクテリス」であるが、既に飛行が可能になっていたとされている。ココウモリ類は超音波を用いた反響定位を行うことが知られているが、化石の耳の構造から反響定位は持っていなかったことが判明しており、蝙蝠はまず飛行能力を得たのちに、反響定位を行う能力を得たらしい。自分には案に相違の感じであるが、蝙蝠は各種病原菌を持っている蚊を食べることから、古来「益獣(日本では蚊食鳥)」とする以上に人類の祖先とさえ崇める地域もあるそうである。一方、蝙蝠は、中国を含め多くの国で食用とされ、アボリジニのブーメランは食糧たる蝙蝠の反響定位を撹乱して捕獲するために発達したもので、中国では蝙蝠自体は云うに及ばず蝙蝠の糞中の「蚊の目玉」をスープにした四川料理(夜明砂のスープ)が珍味として供されるそうであるので、武漢海鮮市場で生きた蝙蝠が売買されても不思議ではない。
日本では、夜盲の鳥が活動できない薄暮以降に蝙蝠が活動することから「強者がいない場所でのみ幅を利かせる弱者」の意で、「鳥無き里の蝙蝠」という諺があり、織田信長が四国の長曾我部勢力を「鳥無き島の蝙蝠」と罵ったことでも有名である。不明を恥じつつ告白すれば、松尾芭蕉の「行く春や 鳥ナキ魚の 目は涙」と云う発句も蝙蝠を読んだ俳句と理解していたが、ナキは「無き」ではなく「啼き」であること、句意は、行く春と芭蕉の出立(奥の細道行)を鳥や魚も悲しんでいるということであるらしい。ともあれ、蝙蝠はゴキブリとともに、恐竜時代から生き残っている「百獣の王」であることを知ったが、写真を見る限り親しくなりたくない形相である。