もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

中国コロナ以後を学ぶ

2020年05月09日 | コロナ

 中国コロナ禍以後の展望についての観測・考察・憶測が盛んである。

 国際関係にあっては多くの有識者が、脱中国と脱グローバリゼーションの動きが加速するだろうと予測している。脱中国については、今回のコロナ禍で世界的に工業生産が停滞した原因は、各国の感染拡大のための企業閉鎖ではなく、中国からの部品の供給が止まったことが大きいとされる。日本でも国内生産品と銘打っていた製品も、構成部品の多くに中国製品が使用されていることが判明した。工業生産の組み立てに不可欠の「ネジ」について調べてみると、過去20年間で国内出荷額は25%減少・輸入額420%増加(日本ねじ協会資料)となっており、高い精度と品質を要求される特殊ネジを除く一般ネジの多くが輸入品(中国製品)であることが窺い知れる。日本が誇る先端技術製品も、コアな部分の在庫はあるもののネジが無いので組み立てられないと云う現実があるのではないだろうか。安価で豊富な労働力を持つことから、中国は世界の工場と呼ばれているが各国の下請け(下支え)企業の側面もあるように感じられる。現在のところ今回のコロナ禍は自然発生したものであろうとされているが、若し意図的に下請け廃止がなされた場合は今回と同様な事態が予想される。然らば「ネジを国産品に切り替えれば」と考えるが、先の資料によると事業所数50%減、従業員数30%減となっており、列国に比し第3次産業が突出している経済構造を併せ考えると国産化は容易ではないように思える。脱グローバリゼーションについては、各国が事実上国境を閉ざしたこと、グローバリゼーションの前提にある国際機関(今回はWHO)の中立性が失われたことで一挙に加速した感がある。欧州内の紛争を無くして加盟国の共存共栄を図り、グローバリゼーションの先駆とされたEUが瓦解状態に陥り、中国の一帯一路構想も本家が「中国ファースト」の姿勢を露わにしたことで、各国の不信感を招いている。然らば起死回生にと中国が繰り出した医療・マスク外交に対しても、債務付けにされている途上国は別にして尻尾を振って飛びついたイタリア以外は拒絶・冷淡であるように感じられる。究極は、在シカゴ中国領事館がウイスコンシン州議会議長に「中国のウイルス感染拡大に対する取り組みを称賛する決議案を、州議会に提案して欲しい」との働きかけに、議長が「親愛なる領事閣下、クソくらえ」と回答したと報じられていることであろうか。

 脱中国と脱グローバリゼーションに対する愚行を書き連ねたが、日本でもメディアに踊らされた感があるインスタ映えやグルメ志向なども抑制の方向に動くのではないだろうか。むしろ是正して欲しいと云うのが実感であるが、それらが究極の不要・不急の要素であると悟った人も少なくないのではと思う。アメリカの高名な歴史学者が、中国ウィルスは「真実を暴くウィルス」と表現されているが、含蓄ある言葉であると思う。