先日「世界価値観調査」の結果が公表されたが、同調査について良く知らなかったので、ネット情報を頼りに俄か勉強を試みた。
「世界価値観調査」は1981年に始まった欧州価値観調査が発展したもので、世界の異なる国の人々の社会文化的、道徳的、宗教的、政治的価値観を調査するため、社会科学者によって行われている国際プロジェクトで、対象国も当初の22ヵ国から約80か国にまで拡大しているらしい。
調査は、1981年、1990年、1995年、2000年、2005年、2010年、2019年と計7回(波)実施されたとされており、実行委員会の詳細は良く分からなかったが、日本は1990年(第2波)から電通総研が調査を行い分析には東大(第6波)や同志社大(第7波)が参加しているようである。
調査方法は、18歳以上の一般個人1,000人程度を対象にした面接による詳細なアンケート方式で、質問は政治観、経済観、労働観、教育観、宗教観、家族観等に関する250項目にも及ぶとされている。
調査は、約5年間隔で質問票・調査方法を揃えて実行されるとされているが、各国で独自の質問が追加されたりカスタマイズされたりして必ずしも同じではないようである。また、実施年が各国によりずれるために一つの調査を「波」と称しているので、調査結果を「傾向・トレンド」と捉えているらしいのが、リアルタイムの世評を知るための一般的な世論調査とは一線を画しているように感じた。
「世界価値観調査」は、国境・政治形態・人種・宗教を敷衍した価値観を横並びに示すもので、社会科学者にとって興味・意義を持つ以上に、為政者にとっても統治方法や政策決定、就中、国家の将来を計るうえで有効な調査であるように思える。
余談であろうが、もし自分がアンケート回答者に選定された場合を考えると、自分の浅薄な知識と経験では多岐にわたる項目のいくつかには答えに窮するのは確実に思えるし、ウエブサイトに公開されている調査結果についても、自分の理解を超えるものに思えて、閲覧・勉強を止めてしまった。
次回は、新聞報道された範囲と内容に関して考えることとした。