自衛隊機に対する韓国軍の対処要領が明らかとなった。
2018年12月、海上自衛隊の哨戒機に対して韓国駆逐艦が火器管制レーダを照射した事件によって、一時的に軍事協定の一環であるGSOMIAの破棄を韓国が通告する事態にまで日韓関係は冷却したことがあった。
今回明らかとなった韓国軍の対処要領はレーダ照射事件の2か月後(2019年2月)に策定されたもので、自衛隊機が2回の警告に応じない場合は火器管制レーダを照射する手続きを定めているとされるが、策定の経緯は不明なものの文明社会では禁じ手とされる事後法・遡及法を厭わない韓国社会から推測すると、駆逐艦の行為追認を企図していることは想像に難くない。
さらに憂うべきは、韓国軍の対処要領が自衛隊機だけに適用されるとなっている点である。
火器管制レーダの照射は偶発的な武力衝突を招く可能性を秘めているために冷戦下の米ソ両国ですら慎んでいた行為であり、現在でも先進国間では絶対に起きないものである。しかしながら、時折に中国海軍が米軍機や台湾機に対して照射する事態が起きていることから、中韓のような民度の低いテンション民族国家には通用しない不文律であるように思う。
では、何故に韓国は自衛隊機にのみ無法を許すという規定を策定したのであろうかを考えると、自衛隊機が軽武装若しくは武装していないことと、日本政府から「遺憾」以外の報復が無いという2点であろうと推測する。
自衛隊機の武装に関しては、スクランブルの空自機は短射程の空対空ミサイルと機関砲のみであり、海自機に至っては対潜発音弾くらいしか搭載していないと思われる。更に、軍事的には敵に秘匿すべきこれらの武装についても国会論戦で公となっているために、韓国軍にしてみれば「報復の心配なく遣りたい放題できる」状態である。
今回明らかとなったのは、保守系与党の申源湜議員(元韓国軍合同参謀本部次長)の質問に軍が答える形であるが、議員は2020年4月に議員に当選していることから、軍の高官であった時点では策定されずに、文大統領の反日の意を受けて策定されたものと推測できる。
民主国家のシビリアンコントロールは、軍は国防基本方針には忠実であるものの遷ろう政権の恣意的な運用から距離を置くことで正常に機能するが、韓国では、軍は政権の意のままに運用され、恰も政権(大統領)の私兵の観を呈しているので、シビリアンコントロールが機能しない独裁国家と呼んでも過言ではないように思える。