入管法改正案が衆院を通過して、審議の山場を越えた感じである。
メキシコ側のアメリカ国境まで到達したホンジュラス発の難民集団「キャラバン」は、厚いトランプ式阻止に遭ってティファナで立ち往生している。ティファナからは大量の難民による違法行為や環境汚染等による住民の抗議行動も伝えられ、ここにきてメキシコ政府も出身国への強制送還を始めざるを得なくなった。思うにメキシコ政府は、トランプ政権と雖も大量の難民を見ると気が変わるだろうとの甘い観測の下にメキシコへの越境と通過を黙認していたのであろうが、アメリカの強硬姿勢は変わることは無く、世に云う”ババを引かされた”結果になってしまった。ドイツ入国を目指していたシリア難民も、ドイツの受け入れ制限と通過国の治安・住環境の悪化からEUの規定にも拘わらず通過国が国境を閉鎖した過去がある。日本に戻れば、野党は入管法改正を移民法と呼び、強硬に反対している。反対の趣旨は、入国・就労審査の困難、定住資格認定の困難、外国人労働者の処遇、日本人労働者の就労機会の減少に要約できると思う。日本も旧民主党政権下で難民受け入れに積極的であるべきとして資格審査の緩和と難民認定前の就労を認めたが、政権交代で資格審査の厳格化と就労が禁止された途端、申請者の8割が帰国してしまったことから、彼らが難民条約に定義する難民ではなく就労目当ての移民(経済難民)であったことが明らかにされた経緯を持っている。そのことから、立民を始めとする野党は外国人労働者の受け入れ数が不十分としての反対かと思っていたが、日本人労働者の就労機会の減少まで持ち出してくると、ヨーロッパ各国で政権維持に無視できない勢力まで伸張した極右政党の主張に似通ってくる。ドイツと対比すれば、安倍政権は移民受け入れに寛容な中道左派のメルケル政権に通じ、立民は移民排斥を主張する極右政党になぞらえられると見れば、日本式リベラリズムを標榜する枝野氏の心底は「日本ファースト」であり、改憲を含む諸改革を阻止する超保守・極右に近い存在と定義すべきではないだろうか。
予算委員会等の質疑を見て、自分が最も解り難いの質問者の立ち位置である。限られた持ち時間の中で複数の質問を行う傍らTV視聴者向けのパフォーマンスに走る姿(山尾議員を想定)からは、本当の論点が見えにくい。裁判員裁判では、検察・弁護双方が裁判で争う事柄を確定する公判前整理手続という制度がある。予算委員会、とりわけ議題が限定された集中審議の場では、与野党で審議前手続きを行なって論点を整理・公表して議論に当たることが必要ではないだろうか。そうすれば、対案を準備する能力がない野党も対案に近い主張を明確にすることができるのではないだろうか。今回の集中審議を見て、野党の杞憂と政府の準備不足は理解できたが、それ以上に急務である労働力不足解消に有効な対案を野党が持っていないことも良く分かった。
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