火星で活動中の探査車「パーシビアランス」が、酸素生成実験とドローンの飛翔(浮上)実験に成功したことが報じられた。
科学・数理音痴の身ながら、改めて火星の大気について勉強して見ると、《大気圧は地球の0.75%にあたる750パスカル(平均)、大気の組成は、二酸化炭素(95%)、窒素(3%)、アルゴン(1.6%)、酸素(0.13%)、一酸化炭素(0.07%)、水(0.03%)、メタンその他の気体は痕跡量とされ、大気の総質量も、地球の5148テラ㌧に比べて火星25テラ㌧(0.5%)》であることが分かった。
その上で今回の実験成果を考えると、ドローンの浮上については、大気圧(密度)は地球の0.75%に過ぎないものの、重力(引力)が地球の3分の1程度しかないために可能であったのだろう。
酸素の生成については「800度の高温で二酸化炭素を分解」と報じられているので、中学校の理科実験で学んだ「水の電気分解による酸素採取」と同様と理解した。生成できた酸素量は5.4gで宇宙飛行士1人が10分間呼吸する量に匹敵すると報じられている。
かって、アーノルド・シュワルツェネッガーが主演した「トータル・リコール」では、人工大気に満たされた火星の居住ドームから脱出して無酸素の火星大気に晒されたシュワちゃんが、太古の文明火星人が建設した酸素生成装置によって瞬時に生き延びる場面を記憶しているが、25テラ㌧もの大気を地球と同様の酸素量(16%)にするためには4テラ㌧の酸素生成が必要となるために、如何に大型施設を作っても火星大気の組成を地球と同レベルにすることは夢物語と思われる。その場合にあっても、窒素75%の地球大気に生きている人間が酸素量は十分とは言え炭酸ガス75%の大気では生きていけるかは疑問に思える。しかしながら、火星における酸素生成については、将来の火星有人探査において地球帰還のための大型ロケット発射の可能性を開くものと大きな期待が寄せられているようである。
かって火星には水が存在したことや生命誕生のカギとされるメタンが確認されていることから、火星人(地球型生命体)がいた可能性は完全には否定されていないと思っている。
では何故に、火星は水が消えた炭酸ガスの荒涼とした星になったのだろうか。ウィキペディアでは、①火星の磁場が不安定であるため太陽風により徐々に浸食された。➁大気の大半を吹き飛ばすほどの大きな天体の衝突があった。③火星の小さい質量のため、宇宙空間に逃げた。という仮説が記載されていた。
人口密集地域に対する緊急事態宣言発令(何度目になるかカウントする気にもなれないが)が秒読み段階の本日であるが、火星探査車の活躍は現実のあれこれを忘れて「太古の宇宙」「火星開発」「火星移住」に思いを導いてくれたものに思える。