ソウル中央地裁は21日に、慰安婦第2次訴訟に対して「主権免除」の原則から請求棄却の判断を示した。
1月の第1次訴訟においては、同じソウル中央地裁の別の裁判官が「反人道的犯罪行為」については主権免除の原則は適用できないとして日本政府に賠償を命じたが、日本政府は裁判自体に応じていなかったために控訴せず当該判決は確定していた。今回の判断は、国際法の主権免除を適用したことや日韓合意の正当性を考慮したもので健全な司法判断であるように見えるが、果してどうだろうか。
そもそも主権免除が適用されるのは国家の犯罪であり、慰安婦制度が「日本の国家施策で創設・運用された」制度でない以上、主権免除自体が問われるものでは無いと考える。近年、勇気ある元慰安婦によって、慰安婦となった経緯は「貧困家族を救うための身売り」であり、女衒の甘言に乗せられた一面はあるものの自由意志であったことや、強制についても韓国支援団体の使嗾であったことが明るみに出されている。
さらに、今回の判決では「主権免除の適用除外は、外交上の衝突が不可避になる」との理由が述べられているが、”外交上の衝突懸念”は司法の独立という法治国家の原則・理念からは逸脱したもので、司法判断というより行政府(政権)に過度に忖度した行政判断であると思う。また、1月の判決では「訴訟費用支弁のために韓国内の日本政府資産差し押さえ」が確定していたが、同地裁は内部文書の形で「日本政府に対する賠償命令は変更しないものの、資産差し押さえは凍結する」とし、今回の判決でも「(差し押さえは)現代文明国家の威信に関わるもので、強行すれば我が国の司法の信頼を損なう」とされており、日本政府資産差し押さえという司法の暴走によって苦境に立たされた文政権に救済の手を差し伸べている。
与党幹部の不正疑惑解明に熱心な検事総長を罷免、高官・高位者の不正については一般人の不正とは別の司法機関で捜査・解明するという司法の二重基準を導入、そして今回のソウル地裁判断。強きを援けるために法を駆使する韓国司法は、文明国家の威信を損なう以上に韓国国民にとっても信頼に値する存在であるのだろうか。一握りの王侯貴族が文盲の国民を圧政下に置いたとされる韓国王朝史は現在もなを存続しているように思える。
吉田証言~朝日新聞~クワラスミ報告との一連で、朝鮮人慰安婦の存在が国家犯罪であるというとフェイクは、もはや独り歩きしている感が強い。しかしながら、慰安婦の世界記憶遺産登録に端を発したユネスコ改革で、係争案件については当事国の合意が得られるまで登録は棚上げされることとなったので、慰安婦のフェイクが登録されることは無くなったように思えるが、登録手続き改革に賛成・援助したのが、スターリン粛清とシベリア流刑の登録をを恐れるロシアと、天安門事件さらには香港ウイグルまで登録の危機に怯える中国であったのは何とも皮肉な話である。