もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

納涼-岡田三郎助

2022年08月22日 | 美術

 お盆が過ぎ、やや炎暑も遠ざかりつつあるがコロナ禍もあって巣籠り継続を余儀なくされています。

 本日は、スライドショーに格好の岡田三郎助の作品です。
 岡田 三郎助(1869(明治2)年-1939(昭和14)年)は、女性像を得意として日本的な感覚の洋画に秀作を残しているとされ、第1回文化勲章を受章するとともに東京美術学校(現:東京藝術大学)教授として、多くの画家に影響を与えたと紹介されています。
 岡田の作品は国内の多くの美術館が所蔵していますが、佐賀県生まれということもあって佐賀県立美術館が、麗しい女性像が多いことからポーラ美術館が充実しているように思います。
 能書きは慧眼の諸氏にお願いするとして、暑熱防止のお気に入り作品をご紹介。

  
あやめの衣--ポーラ美術館            水辺の裸婦-ひろしま美術館            裸婦-佐賀県立美術館   

  
裸婦--ポーラ美術館        裸婦-水辺に立てる--ポーラ美術館           河口湖(富士)--ポーラ美術館 


パルチザンを学ぶ

2022年08月21日 | 軍事

 ウクライナのパルチザンがクリミヤ奪還のための攻撃を行ったことが報じられた。

 クリミヤ回復の軍事行動が、ウクライナ軍ではなくパルチザンとされているのかを知るために、パルチザンについて勉強した。
 侵略者に対する抵抗については、レジスタンス、パルチザン等の言葉が使用されるが、厳密な区別(線引き)は困難であるように思える。一般的には、レジスタンスが市民主体の自発的・散発的な抵抗破壊工作であるのに対して、パルチザンは組織化された非正規軍と区別されているが、過去のパルチザンの興隆を眺めれば、少人数のゲリラ活動が賛同者を得てレジスタンスと呼ばれる運動に達し、さらに各レジスタンス細胞の糾合・組織化によって肥大化してパルチザンと呼ばれる規模に発展するケースが殆どであるように思える。そのために、抵抗運動の全てをレジスタンスとして、強力な組織・活動のみパルチザンと称する意見もあるようである。
 対独戦で有名な、チトーが率いたユーゴスラビア・パルチザンは、終戦前には男女合わせて80万人にも上り、4個軍と52個師団を編成して正規軍の戦闘に参加し、終戦直前の1945年の3月には全てのパルチザンがユーゴスラビア正規軍として再編されていることを思えば、パルチザンと正規軍の線引きも危ういものになる。このことは、ベトコンの成長過程と北ベトナムの関与を眺めても明らかであるように思える。
 結論的には、レジスタンス、パルチザンは正規軍の補完能力や国家の関与・認知度の大小による呼称に過ぎないのではないだろうかと考える。
 従って、小火器程度の武装にとどまるレジスタンスに対して、パルチザンは正規軍と同程度の重武装で、戦闘指揮を含めて正規軍との共同作戦が行えるとされている。

 では、何故にクリミヤ反攻作戦をパルチザンが行っているのかを考えれば、西側諸国の武器支援が「ウクライナ軍はロシア領を攻撃しない」という前提でなされていることであろうと思っている。ゼレンスキー大統領にすれば、正規軍の装備は近代化し・軍需品も充実し・何より国民の継戦意思も堅い今が、失地回復の好機で今を逃せばクリミヤ奪還は不可能となるのは明らかであり、西側支援国との約束を守るためには、正規軍でないパルチザンという隠れ蓑を纏ったものであろう。
 クリミヤに対する攻撃につぃて、今のところロシアも偶発的な爆発事故としている。クリミアを自国領とするロシアにとって、攻撃が正規軍によるものであるか否かを問わずにウクライナ側からの自国領攻撃がなされたと認めることは、事変のさらなる拡大と悪化に繋がることを懸念しているのであろう。
 しかしながら、西側諸国の支援も鈍化の兆しを見せている現在、ウクライナ事変は新たな局面に変化しつつあるように思う。


韓国のシビリアンコントロール

2022年08月20日 | 韓国

 自衛隊機に対する韓国軍の対処要領が明らかとなった。

 2018年12月、海上自衛隊の哨戒機に対して韓国駆逐艦が火器管制レーダを照射した事件によって、一時的に軍事協定の一環であるGSOMIAの破棄を韓国が通告する事態にまで日韓関係は冷却したことがあった。
 今回明らかとなった韓国軍の対処要領はレーダ照射事件の2か月後(2019年2月)に策定されたもので、自衛隊機が2回の警告に応じない場合は火器管制レーダを照射する手続きを定めているとされるが、策定の経緯は不明なものの文明社会では禁じ手とされる事後法・遡及法を厭わない韓国社会から推測すると、駆逐艦の行為追認を企図していることは想像に難くない。
 さらに憂うべきは、韓国軍の対処要領が自衛隊機だけに適用されるとなっている点である。
 火器管制レーダの照射は偶発的な武力衝突を招く可能性を秘めているために冷戦下の米ソ両国ですら慎んでいた行為であり、現在でも先進国間では絶対に起きないものである。しかしながら、時折に中国海軍が米軍機や台湾機に対して照射する事態が起きていることから、中韓のような民度の低いテンション民族国家には通用しない不文律であるように思う。
 では、何故に韓国は自衛隊機にのみ無法を許すという規定を策定したのであろうかを考えると、自衛隊機が軽武装若しくは武装していないことと、日本政府から「遺憾」以外の報復が無いという2点であろうと推測する。
 自衛隊機の武装に関しては、スクランブルの空自機は短射程の空対空ミサイルと機関砲のみであり、海自機に至っては対潜発音弾くらいしか搭載していないと思われる。更に、軍事的には敵に秘匿すべきこれらの武装についても国会論戦で公となっているために、韓国軍にしてみれば「報復の心配なく遣りたい放題できる」状態である。

 今回明らかとなったのは、保守系与党の申源湜議員(元韓国軍合同参謀本部次長)の質問に軍が答える形であるが、議員は2020年4月に議員に当選していることから、軍の高官であった時点では策定されずに、文大統領の反日の意を受けて策定されたものと推測できる。
 民主国家のシビリアンコントロールは、軍は国防基本方針には忠実であるものの遷ろう政権の恣意的な運用から距離を置くことで正常に機能するが、韓国では、軍は政権の意のままに運用され、恰も政権(大統領)の私兵の観を呈しているので、シビリアンコントロールが機能しない独裁国家と呼んでも過言ではないように思える。


世界価値観調査を学ぶ-2

2022年08月19日 | 社会・政治問題

 第7回世界価値観調査結果のうち、新聞に取り上げられた「戦争になった場合、あなたは国のために戦いますか?」という設問の回答結果に関する私見である。

 新聞に掲載された国はG7、中露、韓国、北欧の15か国であるが、「戦う」と答えた人は全ての国で37.3%(イタリア)~90%(中国)であるのに対し日本は13.2%と極めて低率である。また「戦わない」と答えた人は日本では48.6%と高い比率を示し、残余の38.1%は「わからない」と答えている。日本での「戦わない」人48.6%が突出しているかと云えば、42%が「戦う」と答えたカナダでは、残りの58%もの人が「戦わない」とキッパリと答え「わからない」と答えた人は見当たらない。15か国での「わからない」比率を見ると前述のカナダを筆頭に軒並み10%以下であり、日本の38.1%という数字は驚異的であるように思える。
 何故に日本で「わからない層」が突出しているのだろうかと考えてみたが、「わからない」の真意は「考えたこともない」ではないだろうかと思うが何故日本人は考えずにいられたのだろうか。
 おそらく「戦争は民間居住地域を離れた場所(関が原)で正規軍同士が行うもので、非戦闘員は埒外でいられだろう」、「戦闘は米軍・自衛隊が当たれば十分で、非戦闘員(市民)が武器を持つことは悪である」、そして究極は「平和憲法を持つ国を侵略する国は無いから対日戦争は起きない」であり「市民の生活を保障してくれるなら為政者は日本人で無くても良い」であろうと思う。
 さらには「税金を払っているのだから、国家(自衛隊)は万民の安全を保障してくれる」という儚い願望に縋っている人もいるかもしれない。
 これらの人々は、いま中国が武力侵攻して幾許かの戦闘の後に香港型の一国二制度を提示してきた場合は、容易に同調する危険性をすら内包しているかもしれないとも危惧している。
 また、「わからない層」には「武器も扱えないのにどう戦えば良いのかわからない」という存在も考えられるが、ロシアのウクライナ侵攻前に本ブログで「日本でも民兵養成を考慮すべき」と書いた節には、時期尚早・市民が武器操法に習熟する必要は無いという冷ややかな反響を得たが、今回の価値観調査結果を見る限り「荒唐無稽の暴論」では無かったと思っている。
 今、西欧・北欧を中心に徴兵制復活の動きが顕著で、既にフランスでは夏休みを利用した選抜的(応召は任意)徴兵で10万人近い高校生が団体行動の基礎や救急法を習得したとされ、将来的には対象者全員の短期の強制徴兵に踏み切るといわれているが、真意は「戦わない層」を減らす以上に10%の「わからない層」に国防とは何かを考えさせる機会を与えることではないかと推測している。

 電通総研によると、日本は第7回(波)調査を2019年9月に実施したが、その後に起きた武漢コロナパンデミックによる価値観変化を探る意味合いもあって、独自に2020年11月に2019年と同じ質問票、同じサンプル抽出方法で再調査したとしている。いずれもウクライナ事変が起きていない時期であるので、国防に関する現在の比率・分布は聊か異なっているだろうとは思うが、コロナ禍・ウクライナ・経済不安・難民等によって引き起こされる過度の排他的かつ偏狭なナショナリズムが蔓延する前に、この価値観調査を政策に反映させる必要があると考える。


世界価値観調査を学ぶ-1

2022年08月18日 | 社会・政治問題

 先日「世界価値観調査」の結果が公表されたが、同調査について良く知らなかったので、ネット情報を頼りに俄か勉強を試みた。

 「世界価値観調査」は1981年に始まった欧州価値観調査が発展したもので、世界の異なる国の人々の社会文化的、道徳的、宗教的、政治的価値観を調査するため、社会科学者によって行われている国際プロジェクトで、対象国も当初の22ヵ国から約80か国にまで拡大しているらしい。
調査は、1981年、1990年、1995年、2000年、2005年、2010年、2019年と計7回(波)実施されたとされており、実行委員会の詳細は良く分からなかったが、日本は1990年(第2波)から電通総研が調査を行い分析には東大(第6波)や同志社大(第7波)が参加しているようである。
 調査方法は、18歳以上の一般個人1,000人程度を対象にした面接による詳細なアンケート方式で、質問は政治観、経済観、労働観、教育観、宗教観、家族観等に関する250項目にも及ぶとされている。
 調査は、約5年間隔で質問票・調査方法を揃えて実行されるとされているが、各国で独自の質問が追加されたりカスタマイズされたりして必ずしも同じではないようである。また、実施年が各国によりずれるために一つの調査を「波」と称しているので、調査結果を「傾向・トレンド」と捉えているらしいのが、リアルタイムの世評を知るための一般的な世論調査とは一線を画しているように感じた。

 「世界価値観調査」は、国境・政治形態・人種・宗教を敷衍した価値観を横並びに示すもので、社会科学者にとって興味・意義を持つ以上に、為政者にとっても統治方法や政策決定、就中、国家の将来を計るうえで有効な調査であるように思える。
 余談であろうが、もし自分がアンケート回答者に選定された場合を考えると、自分の浅薄な知識と経験では多岐にわたる項目のいくつかには答えに窮するのは確実に思えるし、ウエブサイトに公開されている調査結果についても、自分の理解を超えるものに思えて、閲覧・勉強を止めてしまった。

 次回は、新聞報道された範囲と内容に関して考えることとした。