もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

眷属・九族を学ぶ

2022年08月17日 | 歴史

 産経新聞で面白い?記事を見た。

 記事は、中国でコロナ隔離強制に抵抗する市民に対して警官?が「命令に従わなければ処罰し、3代に亘って影響するぞ」と恫喝する動画が拡散していると云う内容である。
 日本でも罪人等を出した一族は、世間を憚って生きることを余儀なくされることは知られており、何かにつけて身元調べが一般的であった一昔前には縁組が破談したり就職に支障があったりしたが、個人情報尊重の機運が高まって徐々に改善しているのではないかと思っている。しかしながら、中国では未だに影響が広範囲に及ぶ連座制が健在であるらしく思える。
 中国の演義を読むと、反乱者や国事犯に対しては、本人はもとより係累の全てを皆殺しにする「族滅」がしばしば登場するし、鎌倉殿の13人でも族滅に類する出来事が描かれているらしい。
 「族滅」の範囲はどこまで及ぶのかははっきりとは分からないが、「眷属」や「九族」との言葉があることから相当の広範囲に及ぶものであろうと推測される。ちなみに、
 眷属とは、侍者、従者、随伴者、取り巻きの者を指すサンスクリット語を語源とする仏教用語であるらしいが、狭義には「血筋の繋がっている者・一族・身内・親族と従者・家来・配下」と解説されている。
 一方の九族とは、「同姓直系の者だけを数え、高祖父、曽祖父、祖父、父、自分、子、孫、曽孫、玄孫の9代」を指すとする説の他に、「傍系をも含んで父族4代、母族3代、妻族2代」とする説もあるらしい。
 このことを念頭に、件の中国人警官の恫喝を眺めると、影響の範囲は「父族4代」となり、一代25年とすれば今後100年間は何らかの影響を受ける計算となる。

 何かやれば100年間不利益を科せられことが制度として存在するのか、不文律ながら司法部内の規定・慣習によるものか、はたまた単なる脅しであるのか知りようもないが、新聞記事では脅された反抗者が「自分たちは最後の世代(注:子供がいない)であるから、どうぞ」と開き直っているとされているので、恫喝について思い当たるべき事実が広く知られているようにも思える。
 韓国でも、一旦「親日」のラベルを張られると、本人の将来は勿論のこと末代まで不利益を被るとされるが、ブログで太平楽を書いても、妻子の肩身にまでは影響しないだろう日本の現状は、有難いものに思える。


ファドに思う

2022年08月16日 | 芸能

 半月間、テレビ・新聞・ネット情報から遠ざかっていた。

 高々半月であったので今浦島になることもなかったが、それでも広島カープは2位から5位と順位を下げ、改造岸田政権が船出していた。
 15日間の後半は、持ち込んだ本を読み尽くしたために数独パズルと音楽のみとなったが、アマリア・ロドリゲスの数曲に癒された思いがする。
 アマリア・ロドリゲスを知ったのは、北方健三先生の作中で、主人公が訪れるバーのBGMが木曜日は彼女のファドが流される設定となっていたことからである。昨日彼女の足跡をWikipediaでたどると、ポルトガルの国民的歌姫で、日本になぞらえるとポルトガル国民からは美空ひばりさんと八代亜紀さんを併せた以上の支持を得た存在であったとされていた。さらに《1999年に79歳で死去した際、ポルトガルは3日間の喪に服し、2001年にはリスボンのサンタ・エングラシア教会に移送され、エンリケ航海王子、ヴァスコ・ダ・ガマらとともに、国民的英雄10人の一人として眠っている。》と結ばれ、まさに国葬に匹敵する栄誉に彩られているようである。
 国葬と云えば、レゲエの先駆者であるジャマイカのボブ・マーリーは国葬でおくられ、世界的FIドライバーのアイルトン・セナが事故死した際にはブラジルは3日間の服喪期間を設けたとされている。
 安倍晋三氏の国葬問題に関しては、15日間で沈静化したであろうと思っていたが、溜まった新聞を読み返すと、相も変わらずに怪しげな市民団体が「国葬費用の支弁停止訴訟」を起こしたり、一部識者は旧世界基督教統一神霊協会との関係性等から国葬に対して懐疑的な主張を繰り返しているようである。
 歴史・全世界を眺めても、政治・軍事的に類稀な実績を挙げて英雄と評価される人の多くも倫理的には完全無欠の聖人君子でないことも多いし、国葬の栄に浴した著名人を眺めても高い倫理感で人生を全うされたのはマザー・テレサだけであろうとするのは暴論であろうか。

 「世の中に 蚊ほどうるさき ものは無しブンブ(文武)ブンブと 夜も寝られず」との狂歌は有名であるが、「心得ぬ 鈴虫ほどうるさき ものは無し リンリ(倫理)リンリと 世情を騒がす」
 アマリア・ロドリゲスのファドから導かれた狂歌。どうでしょうか?