マイクロソフトが企業市民活動への取り組みを継続している。
経済環境が悪化するなかで、現業に直接関係ない分野への投資は抑制される傾向にある。マイクロソフトはその姿勢を変えようとはしない。
教育分野におけるIT活用支援、ITを活用した地域振興支援、ITスキル習得による就労支援など、今年に入ってからも相次いで新しい施策を発表している。2月には佐賀県と地域活性化協働プログラムにおいて提携。3月には女性の就労支援に向けた新たな3カ年計画を発表した。
その点では同社の活動は評価できるものだと言っていい。
なかでもアクセシビリティ(ハンディキャップを持つ人にとっての情報機器やソフトウエアの使いやさの向上)は、同社の企業市民活動の取り組みの上で、重要な案件の一つだ。
例えば、Windows Vistaにおいては、「画面が読み上げられるのを聞く(ナレータ)」「画面の項目を拡大する(拡大鏡)」「キーボードを使用せずに入力する(スクリーンキーボード)」といったメニューを用意する。障害者にやさしい機能をログオン前から選択できるようにしているのだ。
次世代OS「Windows 7」でも同社は、「アクセシビリティという観点からみて、目玉ともいえる機能が用意されている」と話す。こうした機能は今後も拡充される見込みだ。
Windows 7に搭載されるタッチパネル機能は、新たなインターフェースとして注目されている。だが、アクセシビリティの観点からは、むしろ障害者が使いにくくなるということも考えられる。縦25桁、横80桁で定義されたかつてのシンプルなMS-DOS環境の方が、読み上げなどのアクセシビリティ向け機能は比較的容易に開発できた。それがWindowsによるグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)の採用で、ハードルが高くなった。タッチパネルは、そのハードルをさらに引き上げる可能性がある。
新たなインターフェースに対して、マイクロソフトがアクセシビリティの観点からどんな手を打ってくるのかは気になるところだ。
ところで、マイクロソフトは、広島大学とともに先頃発表したアクセシビリティリーダー育成プログラムに関する会見で、これまで「障害者」としていた表記を「障碍者」に変更することを初めて明らかにした。
アクセシビリティリーダーとは、障害の有無や、身体的特性などに関わらず、情報やサービス、製品の利便性を享受できる環境を実現する役割を果たす人材だ。同制度で提携関係にある広島大学は、すでに学長名で認定証を交付している。
マイクロソフトが表記を統一する「障碍者」は、戦前までは頻繁に使われていたものだ。戦後の当用漢字の告示以降、一般的には使われなくなった。
「害」という文字には、悪い意味での使い方が多く、支障、災いなどの意味もある。これに対して「碍」には、さまたげるといった意味があるものの、害という言葉に比べて、悪い意味での直接的な印象は薄れる。
マイクロソフトの最高技術責任者(CTO)である加治佐俊一氏は、「害は、害虫などに使われる言葉であり、当社以外でも障害者という表記が、相応しくないという議論がある。『がい』とひらがなで表記することも可能だが、正しい意味を伝えていきたいという考えもあり、『害』という文字を『碍』にシフトしていく」とした。
本気になって、アクセシビテリィに取り組むマイクロソフトだからこそ、障害者という言葉を嫌い、「障碍者」にこだわったのだろう。
経済環境が悪化するなかで、現業に直接関係ない分野への投資は抑制される傾向にある。マイクロソフトはその姿勢を変えようとはしない。
教育分野におけるIT活用支援、ITを活用した地域振興支援、ITスキル習得による就労支援など、今年に入ってからも相次いで新しい施策を発表している。2月には佐賀県と地域活性化協働プログラムにおいて提携。3月には女性の就労支援に向けた新たな3カ年計画を発表した。
その点では同社の活動は評価できるものだと言っていい。
なかでもアクセシビリティ(ハンディキャップを持つ人にとっての情報機器やソフトウエアの使いやさの向上)は、同社の企業市民活動の取り組みの上で、重要な案件の一つだ。
例えば、Windows Vistaにおいては、「画面が読み上げられるのを聞く(ナレータ)」「画面の項目を拡大する(拡大鏡)」「キーボードを使用せずに入力する(スクリーンキーボード)」といったメニューを用意する。障害者にやさしい機能をログオン前から選択できるようにしているのだ。
次世代OS「Windows 7」でも同社は、「アクセシビリティという観点からみて、目玉ともいえる機能が用意されている」と話す。こうした機能は今後も拡充される見込みだ。
Windows 7に搭載されるタッチパネル機能は、新たなインターフェースとして注目されている。だが、アクセシビリティの観点からは、むしろ障害者が使いにくくなるということも考えられる。縦25桁、横80桁で定義されたかつてのシンプルなMS-DOS環境の方が、読み上げなどのアクセシビリティ向け機能は比較的容易に開発できた。それがWindowsによるグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)の採用で、ハードルが高くなった。タッチパネルは、そのハードルをさらに引き上げる可能性がある。
新たなインターフェースに対して、マイクロソフトがアクセシビリティの観点からどんな手を打ってくるのかは気になるところだ。
ところで、マイクロソフトは、広島大学とともに先頃発表したアクセシビリティリーダー育成プログラムに関する会見で、これまで「障害者」としていた表記を「障碍者」に変更することを初めて明らかにした。
アクセシビリティリーダーとは、障害の有無や、身体的特性などに関わらず、情報やサービス、製品の利便性を享受できる環境を実現する役割を果たす人材だ。同制度で提携関係にある広島大学は、すでに学長名で認定証を交付している。
マイクロソフトが表記を統一する「障碍者」は、戦前までは頻繁に使われていたものだ。戦後の当用漢字の告示以降、一般的には使われなくなった。
「害」という文字には、悪い意味での使い方が多く、支障、災いなどの意味もある。これに対して「碍」には、さまたげるといった意味があるものの、害という言葉に比べて、悪い意味での直接的な印象は薄れる。
マイクロソフトの最高技術責任者(CTO)である加治佐俊一氏は、「害は、害虫などに使われる言葉であり、当社以外でも障害者という表記が、相応しくないという議論がある。『がい』とひらがなで表記することも可能だが、正しい意味を伝えていきたいという考えもあり、『害』という文字を『碍』にシフトしていく」とした。
本気になって、アクセシビテリィに取り組むマイクロソフトだからこそ、障害者という言葉を嫌い、「障碍者」にこだわったのだろう。