世界的な景気後退で、製造業からの請負作業などが激減している障害者授産施設や作業所が、苦境を乗り切るためさまざまな工夫に取り組んでいる。競技会の優勝者らの顔をモデルにした似顔絵木製トロフィーの製作や、格安のみたらし団子、自家栽培の落花生を使ったせんべいづくりへの挑戦など、新たな収入源で活路を見いだそうと奮闘している。
精神障害者ら約20人が働く授産施設「フェア・ワークス下野」(三重県四日市市)では、昨年まで行っていた自動車部品を梱包(こんぽう)する段ボール箱の部品製作や、ゴム製品の切り取り作業などの仕事が激減。今年1月の収入は昨年11月の10分の1の、約2万円にまで減ったという。
このためスタッフらが、手軽に始められる事業としてワンボックスカーを使った「みたらし団子」の移動販売を発案した。1本50円で昨年12月から事業を開始したものの、当初1カ月間は4000本余りにとどまり、目標の月1万1000本の半分以下の苦しいスタートとなった。しかし苦境を知った住民らが、販売用車両の駐車場を提供するなど口コミで協力の輪が広がり、2月には8000本以上売れたという。
同施設の村上剛規理事長(38)は「入所者みんなが、やりがいをもって働いてくれるのは、大変うれしい。障害者の働く現場は低収入でつらい思いをしているケースもあるので、もっと多くの人が目を向けてもらえれば」と話す。
一方、これまで収入の2割を占めていた自動車部品関連の仕事がほとんど無くなったという授産施設「高田みづほ園」(大分県豊後高田市)。ここでは、以前から栽培していた落花生を使ったせんべいの製品化に向けて試作するなど準備を進めている。
また広島県三原市の授産施設「もりの輝舎」では、市民グループと連携してアイデア商品を企画。スポーツ大会などの優勝者の似顔絵をかたどった木製トロフィーを昨秋から、インターネット販売するなどして収入の確保を図っている。
市民グループの担当者が写真などで作成したイラストをもとに、施設通所者らが高さ約40センチの木製トロフィーを加工する事業。1体1万2000円だが、プロ野球、ヤクルトスワローズで昨年、盗塁王に輝いた福地寿樹選手の親族から「盗塁王の記念に」と注文が入るなど、月平均5、6体の注文があるという。
グループのメンバーでイラストを担当している広島県廿日市市の福本英伸さん(52)は「今の状態では施設で働く人の自立はおぼつかないが、ほかのアーティストとの連携なども図り、さらに収益性のあるものにして、施設の人たちが働く喜びをより感じれるようにしていきたい」と、事業の将来に期待をかけている。
不況で障害者の働く場所ピンチ
全国社会就労センター協議会(東京都千代田区)では、今年1月から2月にかけて、加盟する全国の会員(障害者授産施設、作業所)1543カ所を対象に不況による影響に関する緊急調査(回答率41.0%)を実施した。
それによると、「工賃が減った」、「今後工賃を減らす予定」など、約66%が「不況による目立った影響がある」と回答している。影響を受けている施設などの作業内容別では、部品加工など自動車関連が144カ所と最も多く、次いでリサイクル関連51カ所、段ボール加工関連20カ所となっている。
トヨタなど自動車メーカーからの部品加工の仕事が激減した愛知県内の障害福祉サービス事業所の管理責任者は「何とか仕事を回してください、と周囲にお願いして回っているのが現状です」と窮状を訴えている。
精神障害者ら約20人が働く授産施設「フェア・ワークス下野」(三重県四日市市)では、昨年まで行っていた自動車部品を梱包(こんぽう)する段ボール箱の部品製作や、ゴム製品の切り取り作業などの仕事が激減。今年1月の収入は昨年11月の10分の1の、約2万円にまで減ったという。
このためスタッフらが、手軽に始められる事業としてワンボックスカーを使った「みたらし団子」の移動販売を発案した。1本50円で昨年12月から事業を開始したものの、当初1カ月間は4000本余りにとどまり、目標の月1万1000本の半分以下の苦しいスタートとなった。しかし苦境を知った住民らが、販売用車両の駐車場を提供するなど口コミで協力の輪が広がり、2月には8000本以上売れたという。
同施設の村上剛規理事長(38)は「入所者みんなが、やりがいをもって働いてくれるのは、大変うれしい。障害者の働く現場は低収入でつらい思いをしているケースもあるので、もっと多くの人が目を向けてもらえれば」と話す。
一方、これまで収入の2割を占めていた自動車部品関連の仕事がほとんど無くなったという授産施設「高田みづほ園」(大分県豊後高田市)。ここでは、以前から栽培していた落花生を使ったせんべいの製品化に向けて試作するなど準備を進めている。
また広島県三原市の授産施設「もりの輝舎」では、市民グループと連携してアイデア商品を企画。スポーツ大会などの優勝者の似顔絵をかたどった木製トロフィーを昨秋から、インターネット販売するなどして収入の確保を図っている。
市民グループの担当者が写真などで作成したイラストをもとに、施設通所者らが高さ約40センチの木製トロフィーを加工する事業。1体1万2000円だが、プロ野球、ヤクルトスワローズで昨年、盗塁王に輝いた福地寿樹選手の親族から「盗塁王の記念に」と注文が入るなど、月平均5、6体の注文があるという。
グループのメンバーでイラストを担当している広島県廿日市市の福本英伸さん(52)は「今の状態では施設で働く人の自立はおぼつかないが、ほかのアーティストとの連携なども図り、さらに収益性のあるものにして、施設の人たちが働く喜びをより感じれるようにしていきたい」と、事業の将来に期待をかけている。
不況で障害者の働く場所ピンチ
全国社会就労センター協議会(東京都千代田区)では、今年1月から2月にかけて、加盟する全国の会員(障害者授産施設、作業所)1543カ所を対象に不況による影響に関する緊急調査(回答率41.0%)を実施した。
それによると、「工賃が減った」、「今後工賃を減らす予定」など、約66%が「不況による目立った影響がある」と回答している。影響を受けている施設などの作業内容別では、部品加工など自動車関連が144カ所と最も多く、次いでリサイクル関連51カ所、段ボール加工関連20カ所となっている。
トヨタなど自動車メーカーからの部品加工の仕事が激減した愛知県内の障害福祉サービス事業所の管理責任者は「何とか仕事を回してください、と周囲にお願いして回っているのが現状です」と窮状を訴えている。