7月22日、厚生労働省は「第9回介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」を開催した。介護職員などによるたんの吸引の実施を法律上で定め、安全に行うことができるよう研修体制のあり方を考えることを目的としていた、この検討会。
今回は、座長である大島伸一氏(独立行政法人国立長寿医療研究センター総長)の「できればこの会で最終的に決着をつけたい」という言葉から始まった。
その後の議論では、三上裕司委員(日本医師会常任理事)からの危惧、質問に対して、厚生労働省担当者、大島座長、あるいはその他の委員が答えるというやり取りが多くみられた。
「介護福祉士のなかで、いろいろなことをできる人とできない人がいると、利用者も混乱する。実地研修を受けたら、別の資格として、(たんの吸引などを)できるようにしてはどうか」という三上委員からの問いかけに対しては、厚労省担当者が「可能な限りは、介護福祉士の養成課程のなかで実地研修を行う。すでに資格を持っている人などの場合は、(実地研修を終えたら)修了証明書を出して、きちんと管理する」と回答。
「(たんの吸引などが必要となるような)レアケースについては、ケアマネジメントが悪い。医療施設に紹介するか、訪問看護を入れればよい。実態に即していない……」という三上委員の意見に対しては、厚労省担当者は「特定の者を対象とする場合と、不特定多数の者を対象にする場合で分けた。必要に応じて研修を受けてもらう仕組みで、逆に言えば、必要でないものは受けないということ。(実態に即した)合理的な研修になっている」と説明。
島崎謙治委員(政策研究大学院大学教授)も、「(口腔内のみの吸引を認めるという)通知が出ているにもかかわらず、実際は、在宅、特養などでも口腔内以外の吸引も行われているということは、ニーズが少なからずあるということ。(三上委員とは)認識が異なっているところ」と、“実態”の捉え方について意見を述べた。
「特定の者と、特養などの不特定多数の者を対象とする場では、実態が異なる」という三上委員の意見については、内田千恵子委員(日本介護福祉士会副会長)が「私自身の経験から、(吸引を必要とする利用者が)実際にいらっしゃいましたし、障がい者施設にも、たった一人というわけではなくいらっしゃいました。試行事業では確かに対象者は少なかったものの、除外すれば、入所をお断りする事態が起きてしまうかもしれません」と異を示した。また、白江浩委員(全国身体障害者施設協議会副会長)も、「障がい者施設は一時的利用がメインになってくると思う。医療的ケアが必要で、特養で受け入れられず…という人も増えている」と、障がい者施設での介護職などの吸引の実施の必要性に言及した。
「介護福祉士の実地研修の後に認定がない。認定試験はあるのか? 明確にすべき」という三上委員の指摘に対しては、厚労省担当者が「修了証明書を実地研修を行った事業所に発行してもらう。養成課程で研修を受けた場合には、養成機関が発行する」と説明。
三上委員は、「ケアマネジメントの大切さを理解して議論してほしい。ケアマネジメントが適切ではなく、法律を変えるというのが残念だった」と最後まで異論を示したものの、最終的には、下記図のような研修体系ですすめることで、会としては了承。
今後、省令案を作成して、再度議論を行った後、8月中にパブリックコメントを実施し、9月に交付する予定。
ケアマネジメント オンライン -
今回は、座長である大島伸一氏(独立行政法人国立長寿医療研究センター総長)の「できればこの会で最終的に決着をつけたい」という言葉から始まった。
その後の議論では、三上裕司委員(日本医師会常任理事)からの危惧、質問に対して、厚生労働省担当者、大島座長、あるいはその他の委員が答えるというやり取りが多くみられた。
「介護福祉士のなかで、いろいろなことをできる人とできない人がいると、利用者も混乱する。実地研修を受けたら、別の資格として、(たんの吸引などを)できるようにしてはどうか」という三上委員からの問いかけに対しては、厚労省担当者が「可能な限りは、介護福祉士の養成課程のなかで実地研修を行う。すでに資格を持っている人などの場合は、(実地研修を終えたら)修了証明書を出して、きちんと管理する」と回答。
「(たんの吸引などが必要となるような)レアケースについては、ケアマネジメントが悪い。医療施設に紹介するか、訪問看護を入れればよい。実態に即していない……」という三上委員の意見に対しては、厚労省担当者は「特定の者を対象とする場合と、不特定多数の者を対象にする場合で分けた。必要に応じて研修を受けてもらう仕組みで、逆に言えば、必要でないものは受けないということ。(実態に即した)合理的な研修になっている」と説明。
島崎謙治委員(政策研究大学院大学教授)も、「(口腔内のみの吸引を認めるという)通知が出ているにもかかわらず、実際は、在宅、特養などでも口腔内以外の吸引も行われているということは、ニーズが少なからずあるということ。(三上委員とは)認識が異なっているところ」と、“実態”の捉え方について意見を述べた。
「特定の者と、特養などの不特定多数の者を対象とする場では、実態が異なる」という三上委員の意見については、内田千恵子委員(日本介護福祉士会副会長)が「私自身の経験から、(吸引を必要とする利用者が)実際にいらっしゃいましたし、障がい者施設にも、たった一人というわけではなくいらっしゃいました。試行事業では確かに対象者は少なかったものの、除外すれば、入所をお断りする事態が起きてしまうかもしれません」と異を示した。また、白江浩委員(全国身体障害者施設協議会副会長)も、「障がい者施設は一時的利用がメインになってくると思う。医療的ケアが必要で、特養で受け入れられず…という人も増えている」と、障がい者施設での介護職などの吸引の実施の必要性に言及した。
「介護福祉士の実地研修の後に認定がない。認定試験はあるのか? 明確にすべき」という三上委員の指摘に対しては、厚労省担当者が「修了証明書を実地研修を行った事業所に発行してもらう。養成課程で研修を受けた場合には、養成機関が発行する」と説明。
三上委員は、「ケアマネジメントの大切さを理解して議論してほしい。ケアマネジメントが適切ではなく、法律を変えるというのが残念だった」と最後まで異論を示したものの、最終的には、下記図のような研修体系ですすめることで、会としては了承。
今後、省令案を作成して、再度議論を行った後、8月中にパブリックコメントを実施し、9月に交付する予定。
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