ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

吸引必要な利用者がいるのはケアマネが悪い?――痰の吸引検討会レポ1‎

2011年07月27日 01時52分33秒 | 障害者の自立
7月22日、厚生労働省は「第9回介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」を開催した。介護職員などによるたんの吸引の実施を法律上で定め、安全に行うことができるよう研修体制のあり方を考えることを目的としていた、この検討会。

今回は、座長である大島伸一氏(独立行政法人国立長寿医療研究センター総長)の「できればこの会で最終的に決着をつけたい」という言葉から始まった。

その後の議論では、三上裕司委員(日本医師会常任理事)からの危惧、質問に対して、厚生労働省担当者、大島座長、あるいはその他の委員が答えるというやり取りが多くみられた。

「介護福祉士のなかで、いろいろなことをできる人とできない人がいると、利用者も混乱する。実地研修を受けたら、別の資格として、(たんの吸引などを)できるようにしてはどうか」という三上委員からの問いかけに対しては、厚労省担当者が「可能な限りは、介護福祉士の養成課程のなかで実地研修を行う。すでに資格を持っている人などの場合は、(実地研修を終えたら)修了証明書を出して、きちんと管理する」と回答。

「(たんの吸引などが必要となるような)レアケースについては、ケアマネジメントが悪い。医療施設に紹介するか、訪問看護を入れればよい。実態に即していない……」という三上委員の意見に対しては、厚労省担当者は「特定の者を対象とする場合と、不特定多数の者を対象にする場合で分けた。必要に応じて研修を受けてもらう仕組みで、逆に言えば、必要でないものは受けないということ。(実態に即した)合理的な研修になっている」と説明。

島崎謙治委員(政策研究大学院大学教授)も、「(口腔内のみの吸引を認めるという)通知が出ているにもかかわらず、実際は、在宅、特養などでも口腔内以外の吸引も行われているということは、ニーズが少なからずあるということ。(三上委員とは)認識が異なっているところ」と、“実態”の捉え方について意見を述べた。

「特定の者と、特養などの不特定多数の者を対象とする場では、実態が異なる」という三上委員の意見については、内田千恵子委員(日本介護福祉士会副会長)が「私自身の経験から、(吸引を必要とする利用者が)実際にいらっしゃいましたし、障がい者施設にも、たった一人というわけではなくいらっしゃいました。試行事業では確かに対象者は少なかったものの、除外すれば、入所をお断りする事態が起きてしまうかもしれません」と異を示した。また、白江浩委員(全国身体障害者施設協議会副会長)も、「障がい者施設は一時的利用がメインになってくると思う。医療的ケアが必要で、特養で受け入れられず…という人も増えている」と、障がい者施設での介護職などの吸引の実施の必要性に言及した。

「介護福祉士の実地研修の後に認定がない。認定試験はあるのか? 明確にすべき」という三上委員の指摘に対しては、厚労省担当者が「修了証明書を実地研修を行った事業所に発行してもらう。養成課程で研修を受けた場合には、養成機関が発行する」と説明。

三上委員は、「ケアマネジメントの大切さを理解して議論してほしい。ケアマネジメントが適切ではなく、法律を変えるというのが残念だった」と最後まで異論を示したものの、最終的には、下記図のような研修体系ですすめることで、会としては了承。

今後、省令案を作成して、再度議論を行った後、8月中にパブリックコメントを実施し、9月に交付する予定。

ケアマネジメント オンライン -

ソフトバンク、インターネット/メール接続情報システムにOracle製品採用‎

2011年07月27日 01時48分22秒 | 障害者の自立
日本オラクルは7月25日、インメモリ・データグリッド製品「Oracle Coherence」がソフトバンクモバイルのインターネット/メールの接続情報システムに採用が決定したことを発表した。

ソフトバンクモバイルの契約者数は2011年6月末時点で2,600万を超えている。同社は契約者数の伸長、スマートフォンに代表される通信量の増加に対応するため、既存システムと連携しつつ、耐障害性と規模拡張性を実現できるインメモリ技術「Oracle Coherence」を評価し、採用を決定したという。

ソフトバンクモバイルは2012年中に「Oracle Coherence」を基盤としたインターネット/メールの接続情報システムの稼働開始を目指す。

ソフトバンクグループは2008年より、オラクルのデータベースマシン「Oracle Exadata Database Machine」を利用している。


【福島の球児へ】不満、プラスに変えて マラソン・有森裕子さん

2011年07月27日 01時39分19秒 | 障害者の自立
 震災と放射能で苦しい環境の中で迎えた大会だと思いますが、福島大会に参加された皆さんは出来る限りの頑張りを見せてくれていると思います。どんな時も前向きに。それが次なる自分のパワーになります。

 元々、高校野球は好きでした。「スカーン」というホームランより、ピンチの時にみんなが集まるような緊張感がいい。そういう時って、いいプレーも出来るんですよね。父の母校が甲子園に良く出る岡山南。よく応援に行きました。

 それと、今年は選抜高校野球で開会式の選手宣誓に聞きほれましたね。「生かされている命に感謝し、全身全霊で正々堂々とプレーすることを誓います」。野山慎介主将が岡山の創志学園だったこともあり、最高な気分でした。

 恐らく皆さんも、彼と同じような気持ちで福島大会を戦ってこられたのではないでしょうか。不満をプラスに変える。すべてが昨年までとは違うはず。でも、それは逆に、今までにないエネルギーを生みだしたのではありませんか。

 私が理事長をしているスペシャルオリンピックスの夏季世界大会が6月、アテネで開かれました。福島から出た陸上の選手は「練習不足で不安」と言っていましたが、見事に金メダルをとった。周りに感謝しながら、自分の出来ることを精いっぱい頑張って。

 残り2日間。すべてのことを受け入れ、それを力に変えてください。「第93回大会は記録に残る以上に、記憶に残る大会」。そうなることを願っています。

    ◇

 ありもり ゆうこ 岡山県出身。日体大卒。五輪の女子マラソンで92年バルセロナで銀、96年アトランタは銅と連続メダルを獲得。知的障害者のスポーツ祭典・スペシャルオリンピックスの日本理事長。44歳。



朝日新聞 -

“地デジ未対応 早く相談を”

2011年07月27日 01時30分38秒 | 障害者の自立
片山総務大臣は、閣議のあとの記者会見で、地上テレビ放送が岩手・宮城・福島の3つの県を除きデジタル放送に完全に移行したことを受けて、まだデジタル放送に対応していない世帯は、できるだけ早く総務省の窓口に相談するよう呼びかけました。デジタル放送に関する相談に応じる「総務省地デジコールセンター」の電話番号は、0570-07ー0101で、24時間受け付けています。

地上テレビ放送は、東日本大震災で特に大きな被害を受けた岩手・宮城・福島の3つの県を除く44の都道府県で、24日にアナログ放送が終了し、デジタル放送に完全に移行しました。これについて片山総務大臣は、記者会見で「総務省の窓口には、まだまだ相談が寄せられている。これに対し、戸別訪問をしたり簡易チューナーを暫定的に貸し出したりしており、しばらくはこうした対応を続けたい。まだデジタル放送に対応していない方は、できるだけ早く総務省の窓口に相談してほしい」と呼びかけました。また、片山大臣は、視覚障害者の人たちが、デジタル化に伴いFMラジオでテレビの音声が聴けなくなったと訴えていることについて、「テレビの音声はテレビの受信機用というのが前提であり、まずはラジオの番組を一層、充実してほしい。また、テレビのデジタル放送の音声を聴けるラジオの開発ができないか、メーカーに伝えたい」と述べました。

NHK -

「うら若き難病女子、ご危篤となる」という軽いタッチで描く難病ホントの話

2011年07月27日 01時22分32秒 | 障害者の自立
日本の復興や日本人の将来を考えていく時にどんな本を読むべきか。大阪府知事特別顧問で、前東京都杉並区立和田中学校校長の藤原和博氏に、夏休みの間に中学生から大人にまで幅広く読んでもらいたいという本を5冊選んでもらった。藤原氏は今年だけでも既に70冊以上の本を読んだというほどの読書家でもある。復興ニッポンでは、毎週1冊ずつ紹介していく。

 この本のことを最初に紹介してくれたのは、和田中(東京都杉並区立和田中学校のことです)の改革に絶大な貢献をしてくれた、現在はタイ在住の浦崎雅代さんだ。

 私のホームページ「よのなかnet」の「よのなかフォーラム」掲示板の常連なのだが、ある日、いきなり「ここまで笑える難病ヒストリーは、かつてよのなかにありえなかったと思うので」と投稿してきた。

 なんと著者自身は、この本の図書館での分類は「難病エンターテイメント」という分野にしてくれと要望しているというのだ。

 難病エンターテイメント?

 当事者以外がこんな言葉を口にしたら、それこそ人権系の団体やマスコミから何を言われるか分からない。

 でも、私は、恐いもの見たさもあって、早速アマゾンで注文することにした。

 浦崎さんは「日笑」というハンドルネームで出没する。実は、私はこの書評を書くにあたって初めて浦崎さんのブログに当ってみたのだが、これまでずっと「にっしょう」さんだと勘違いしていたことを告白しなければなるまい。ホントは「ひえみ」さんだったんですね(笑)、スイマセン。

 日笑さんは杉並区のある病院の緩和ケア病棟でスピリチュアルケア・ワーカーとして働いていた人で、現在は、タイのマヒドン大学宗教学部で(タイ語で)教えながら瞑想やスピリチュアルケアについての実践と研究をしている。こう書くとなんとなく宗教っぽい怪しげな感じがするのだが、信用できる人物なのだ。

 だから、速攻で本を読むことにした。 

 日笑さんが掲示板に投稿した書評。

 ビルマ難民を研究していた女子学生の大野さん。タイに留学したものの、フィールドワーク中に原因不明の病を発症。日本に帰国。でも病名すらわからず、身体は思うように動かずの日々。世界にほとんど症例がない難病とわかり、そこから彼女のサバイバルが始まる…そんなストーリーです。

 闘病記で「泣かせたい」著者はいっぱいいるかと思いますが、大野さんは、「笑わせ、楽しませたい」と言い切ります。とにかくいろんなことを考えさせてくれる本です。これ、中学生が読んだら、どういう感想を持つのかなあ
 私は一瞬、かつて介護関連サービスの会社をつくった盟友、ハンディネットワークインターナショナル春山満さんをイメージしてしまう。20代の時に筋ジストロフィーを発症して首から下が動かない浪花のど根性社長だ。介護機器で数々の特許を取り、三洋電機やオリックスをパートナーに、動かない体でベンチャー企業を育て上げた。『どないしましょ、この寿命』や『僕にできないこと。僕にしかできないこと。』の著書もある。

 同時に、乙武洋匡君の『五体不満足』もイメージの中に飛来した。こちらは教育改革の盟友なのだが、私が杉並区に引き入れるお手伝いをして、その後小学校で3年間(うち2年間は担任として)先生として勤めた経験が『だいじょうぶ3組』(講談社)に生きている。

 でも、どうも、この本は違うらしいのだ。

 著者紹介には、上智大学外国語学部卒で、在学中にビルマ(ミャンマー)の難民問題と出逢い、民主化や人権問題への関心からNGO(非政府団体)活動に没頭。大学院に進学した2008年、自己免疫疾患系の難病を発症する。現在も都内某所で生存中、とある。

 でも、その実態は、彼女自身が「はじめに」に記述する次のような言葉を読んでしまったほうが、理解が早いだろう。

 この、『困ってるひと』というタイトルに、「なんだそりゃ」とお思いになる方も多いだろう、そして、「あなた誰」と。

 わたしは、この先行き不安、金融不安、就職難、絆崩壊、出版不況、鬱の風が吹き荒れ、そのうえ未曾有の大災害におそわれた昨今のキビシー日本砂漠で、ある日突然わけのわからない、日本ではほとんど症例のない、稀な難病にかかった大学院生女子、現在二十六歳。(中略)

 この原稿を打ち込むキーボードをたたいている今も、一日ステロイドを二十ミリグラム服用し、免疫抑制剤、解熱鎮痛剤、病態や副作用を抑える薬、安定剤、内服薬だけで諸々三十錠前後。目薬や塗り薬、湿布、特殊なテープ、何十種類もの薬によって、室内での安静状態で、なんとか最低限の行動を維持している。それでも症状は抑えきれず、二十四時間途切れることなく、熱、倦怠感、痛み、挙げればきりのないさまざまな全身の症状、苦痛が続く
おしりの一部が病巣で決壊したことを、おしり女子、流出す。と書きえる凄み
 少し本文中から引用する。

 「どんな感じなの?」とよく訊かれるのだが、特殊な病態が多すぎてイマイチうまく伝えられない。おしりや腕がとけて流出するという事態を、一言で説明するのはかなり難しい
 お財布の中の運転免許証やTSUTAYAの会員証に、障害者手帳が加わっても、わたしはわたしである。寅さんが好きで、ビルマが好きで、思い込みの激しい、妄想過多な、わたし
 破裂したおしりのあとには、脂肪組織が流れ出した痕、まるで洞窟のように巨大な空洞ができあがった。おしり洞窟。おしり女子は、ついに、人類から有袋類へと、超絶的な変身をとげた。ビルマ女子→難病女子→おしり女子→有袋類。人生とは、確実に妙ちきりんなものである
 病室に戻ってベッドに入り、天井を見つめながら。わたしは、もう少し生きたいかもしれない、と思った。この気持ち。この感覚。もう一回くらい、キスしても、いいかもしれない
 これで読者も、この本のトーン&マナーについて分かっていただけたと思う。


 彼女のことはポプラ社のウェブマガジン「ポプラビーチ」で連載中から評判で、ツイッターにはこんな声、声、声が溢れた。

 「難病物で笑えるものは、これが初ではないか」「これはお涙頂戴の話じゃないぞ。人の生とは何か、とお前に問いかける話だぞ」「新しい古典でしょうもはや」「壮絶、絶句、涙。潔さ、優しさ、切なさ、面白さ。理不尽…」「読んでいて涙が止まりませんでした。悲しいから、というのではなく、人間の尊さに突き動かされる思いです」…。

 朝日新聞の書評でも、中島岳志さん(北海道大学公共政策大学院准教授・南アジア地域研究、政治思想史)が取り上げた。

 そこで著者の前に立ちはだかったのが、日本の複雑怪奇な社会保障制度だ。それはまるで「モンスター」。ただでさえフラフラなのに、山のような書類を提出しなければならない。しかも、難病を抱える患者にとっては余りにも過酷な制度で、「大我慢大会」を強いられる。病院は「診療報酬」の問題で、ベッド稼働率を上げなければならない。長期入院は敬遠される。

 著者は、次第に友人たちに頼るようになっていった。「何でもするよ」と言ってくれる友人に、買い物や手続きの代行などを頼んだ。次第にそれは「当たり前」になっていき、友人たちは疲弊していった。

 著者は、そんな事実を友人から突き付けられる。そして、思った。これは自分が研究してきた難民への援助の矛盾にぴったり当てはまるのではないか、と
 最後も、他者の書評で締めよう。

 作家の星野智幸さんは

 想像を絶する難病者の日常なのに、ここに書かれているのはあなたや私の姿だ。この現代の「神曲」に、私はいくども救われ続ける
と絶賛した。なんと、ダンテの「神曲」の現代日本版だ、と。

 たしかに、ここまでの悲惨を、しかも明るいタッチで描かれると、真夏の日差しの中であっても、その潔さに、ある種の清涼感のようなものを感じてしまう。

 東北で起こった地獄絵のような惨状の中ででも、カメラに笑いかけてくれるお年寄りがいることを、私たちは知っている。あれほどの悲惨を体験してもなおかつ、ギリギリのところで、微笑むのだ。破壊された我が家や失った家族の記憶に後ろ髪を引かれながらも、なおかつ。

 あのお婆ちゃんたちの力強さにも、通じるのかもしれない。

・復興と未来を考える時に読んでほしい本(1) 意外に知らない「津波」の正体~夏休みに学び直すには最適な入門書

藤原和博(ふじはら かずひろ)

東京学芸大学客員教授/大阪府知事特別顧問/杉並区立和田中学校・前校長/元リクルート社フェロー

1955年東京生まれ。78年東京大学経済学部卒業後、リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任後、93年よりヨーロッパ駐在、96年同社フェローとなる。 2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務める。2008年、橋下大阪府知事の特別顧問に。

著書は『人生の教科書[よのなかのルール]』『人生の教科書[人間関係]』(ちくま文庫)など人生の教科書シリーズ、『リクルートという奇跡』、ビジネスマンの問題解決に必須の情報編集力を解説した『つなげる力』(ともに文春文庫)など多数。近著は戦略的に成熟社会を生きる必要性を説いた『35歳の教科書』(幻冬舎)や、活きのいい組織に共通する10の秘密を描いた『不可能を可能にするビジネスの教科書』(筑摩書房)。さらに家族論として長く父親、母親から評価の高い『父親になるということ』(日経ビジネス人文庫)がある。

日本の技術と職人芸の結晶であるブランドを超えた腕時計「japan」(左竜頭、文字盤漆塗り)を諏訪の時計師とファクトリーアウトレット方式でオリジナル開発。ネットを使えば個人新聞社や個人放送局だけでなく個人マニュファクチャラー(生産者)も可能になることを証明した。

高校時代はバスケット部だったが、弱くてもっぱら強い女子バスケ部の相手をさせられた。いまはテニスに一所懸命。3児の父で3人の出産に立ち会い、うち末娘を自分でとり上げた貴重な経験を持つ。

詳しくは「よのなかnet」http://www.yononaka.net に。


 彼女のことはポプラ社のウェブマガジン「ポプラビーチ」で連載中から評判で、ツイッターにはこんな声、声、声が溢れた。

 「難病物で笑えるものは、これが初ではないか」「これはお涙頂戴の話じゃないぞ。人の生とは何か、とお前に問いかける話だぞ」「新しい古典でしょうもはや」「壮絶、絶句、涙。潔さ、優しさ、切なさ、面白さ。理不尽…」「読んでいて涙が止まりませんでした。悲しいから、というのではなく、人間の尊さに突き動かされる思いです」…。

 朝日新聞の書評でも、中島岳志さん(北海道大学公共政策大学院准教授・南アジア地域研究、政治思想史)が取り上げた。

 そこで著者の前に立ちはだかったのが、日本の複雑怪奇な社会保障制度だ。それはまるで「モンスター」。ただでさえフラフラなのに、山のような書類を提出しなければならない。しかも、難病を抱える患者にとっては余りにも過酷な制度で、「大我慢大会」を強いられる。病院は「診療報酬」の問題で、ベッド稼働率を上げなければならない。長期入院は敬遠される。

 著者は、次第に友人たちに頼るようになっていった。「何でもするよ」と言ってくれる友人に、買い物や手続きの代行などを頼んだ。次第にそれは「当たり前」になっていき、友人たちは疲弊していった。

 著者は、そんな事実を友人から突き付けられる。そして、思った。これは自分が研究してきた難民への援助の矛盾にぴったり当てはまるのではないか、と
 最後も、他者の書評で締めよう。

 作家の星野智幸さんは

 想像を絶する難病者の日常なのに、ここに書かれているのはあなたや私の姿だ。この現代の「神曲」に、私はいくども救われ続ける
と絶賛した。なんと、ダンテの「神曲」の現代日本版だ、と。

 たしかに、ここまでの悲惨を、しかも明るいタッチで描かれると、真夏の日差しの中であっても、その潔さに、ある種の清涼感のようなものを感じてしまう。

 東北で起こった地獄絵のような惨状の中ででも、カメラに笑いかけてくれるお年寄りがいることを、私たちは知っている。あれほどの悲惨を体験してもなおかつ、ギリギリのところで、微笑むのだ。破壊された我が家や失った家族の記憶に後ろ髪を引かれながらも、なおかつ。

 あのお婆ちゃんたちの力強さにも、通じるのかもしれない。

・復興と未来を考える時に読んでほしい本(1) 意外に知らない「津波」の正体~夏休みに学び直すには最適な入門書

藤原和博(ふじはら かずひろ)

東京学芸大学客員教授/大阪府知事特別顧問/杉並区立和田中学校・前校長/元リクルート社フェロー

1955年東京生まれ。78年東京大学経済学部卒業後、リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任後、93年よりヨーロッパ駐在、96年同社フェローとなる。 2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務める。2008年、橋下大阪府知事の特別顧問に。

著書は『人生の教科書[よのなかのルール]』『人生の教科書[人間関係]』(ちくま文庫)など人生の教科書シリーズ、『リクルートという奇跡』、ビジネスマンの問題解決に必須の情報編集力を解説した『つなげる力』(ともに文春文庫)など多数。近著は戦略的に成熟社会を生きる必要性を説いた『35歳の教科書』(幻冬舎)や、活きのいい組織に共通する10の秘密を描いた『不可能を可能にするビジネスの教科書』(筑摩書房)。さらに家族論として長く父親、母親から評価の高い『父親になるということ』(日経ビジネス人文庫)がある。

日本の技術と職人芸の結晶であるブランドを超えた腕時計「japan」(左竜頭、文字盤漆塗り)を諏訪の時計師とファクトリーアウトレット方式でオリジナル開発。ネットを使えば個人新聞社や個人放送局だけでなく個人マニュファクチャラー(生産者)も可能になることを証明した。

高校時代はバスケット部だったが、弱くてもっぱら強い女子バスケ部の相手をさせられた。いまはテニスに一所懸命。3児の父で3人の出産に立ち会い、うち末娘を自分でとり上げた貴重な経験を持つ。

詳しくは「よのなかnet」http://www.yononaka.net に。