今回の障害者基本法改正は、政府の国連障害者権利条約(06年採択)の批准に向けた、国内法整備の第一弾と位置づけられる。障害の定義を見直すなど重要な転換が図られた意味は大きい。ただし、障害者と家族がメンバーの過半数を占め、改正法について議論してきた政府の「障がい者制度改革推進会議」の素案とはまだ開きがあるなど課題も指摘されている。
改正法で推進会議側が最も懸念するのは、障害者が「どこで誰と生活するか」などの選択の自由について「可能な限り」と制約する文言が入った点だ。「障害が重度の場合、医療設備が必要など選択が保障されない場合がある」のが理由で、内閣府が各省庁と調整し文案を作る中で盛り込まれた。「限定付きの基本法は他にない。男女平等などの基本法で『可能な限りの平等実現』はあり得ない」(福島瑞穂参院議員)と批判する声は強い。
推進会議を1年半傍聴してきた、重度障害を抱える長女の母親で埼玉県在住の新井たかねさんは「残念な部分も多いので、私たちも(議論に)参加し働きかけ続けたい」と言う。長女は障害者自立支援法違憲訴訟の元原告。裁判での国との和解では当事者の意見を尊重するとされた。それを受けた推進会議は毎回ネット中継され、「参加意識」を感じる障害者や家族は多い。基本法に基づき福祉サービスなど関係法令を見直すことになるが、その過程で障害者の「参加意識」をしぼませないことも求められる。
毎日新聞 2011年7月29日 東京夕刊
改正法で推進会議側が最も懸念するのは、障害者が「どこで誰と生活するか」などの選択の自由について「可能な限り」と制約する文言が入った点だ。「障害が重度の場合、医療設備が必要など選択が保障されない場合がある」のが理由で、内閣府が各省庁と調整し文案を作る中で盛り込まれた。「限定付きの基本法は他にない。男女平等などの基本法で『可能な限りの平等実現』はあり得ない」(福島瑞穂参院議員)と批判する声は強い。
推進会議を1年半傍聴してきた、重度障害を抱える長女の母親で埼玉県在住の新井たかねさんは「残念な部分も多いので、私たちも(議論に)参加し働きかけ続けたい」と言う。長女は障害者自立支援法違憲訴訟の元原告。裁判での国との和解では当事者の意見を尊重するとされた。それを受けた推進会議は毎回ネット中継され、「参加意識」を感じる障害者や家族は多い。基本法に基づき福祉サービスなど関係法令を見直すことになるが、その過程で障害者の「参加意識」をしぼませないことも求められる。
毎日新聞 2011年7月29日 東京夕刊