◆4日、倉吉で勉強会
社会性やコミュニケーションなどに困難を抱える発達障害。学校と医療機関の連携など教育現場では支援の取り組みが進むが、働く場ではまだまだだ。このため、学校を卒業し、社会に出ると人間関係や仕事につまずく人も多い。発達障害と就労について理解を深めてもらおうと、鳥取労働局などは4日に、倉吉市でセミナーを予定している。
◇「障害受容」ポイント <本人と周囲>
米子市の30代女性は高校を卒業後、推薦で地元に就職した。しかし、人間関係につまずき、すぐに退職。その後も運送会社や建設会社などの事務職を転々とした。どこの職場でも人間関係に苦しんだ女性は鬱(うつ)の症状が現れ通院。病院で「発達障害」と診断された。
2009年6月、病院からの紹介で障害者就業・生活支援センター「しゅーと」(米子市道笑町2丁目)を訪れた。中島哲朗所長(55)によると、この女性は「丁寧に説明すれば能力を発揮できるが、話の意図をくみ取るのが苦手だった」という。このため、簡単な説明では仕事内容を理解できず、会社からは「さぼっている」とみられることも多くあった。
女性は、センターの支援を受けて企業での実習などを重ね、食品会社に就職。まとめ役として活躍するまでになった。中島所長は「この女性の場合、本人も周囲も『発達障害』だと認識し、受け入れたからこそうまくいった」と話す。
女性は、医師から「発達障害」だと診断された時、「ずっと、何かみんなとは違うと感じていたのですっきりした」と納得したという。だが、実際には「発達障害」を受け入れられない人も多く、「周りがおかしい」と思い、引きこもる人もいる。中島所長は、「本人も周囲の人も障害だと認識し、受け入れる『障害受容』ができていないのが現状だ」と話す。
◇企業の理解は不十分 <診断件数増>
県教委によると、アスペルガー症候群や注意欠陥・多動性障害(ADHD)など発達障害と診断された児童生徒数は、小学校で1012人、中学校で319人、高校で137人(2010年9月1日現在)。診断件数は年々増える傾向にあるという。
教育現場、就労先と途切れない支援が必要だが、鳥取労働局職業対策課の平岡富士男課長(57)は「事業所側の理解は十分とは言えない。関係機関の連携もこれからだ」と話す。
このため、鳥取労働局と鳥取障害者職業センター(鳥取市)は4日午後1時半から、倉吉未来中心(倉吉市)で発達障害と就労について考えるセミナーを開催。発達障害者の就労に関する制度の説明やシンポジウムがある。
また、印刷・製本などを手がける「リベルタス興産」(山口県宇部市)の有田信二郎社長が「発達障害者の就労を促進するために」と題して講演する。同社は発達障害の4人を雇用。有田社長は「一人一人の得意、不得意など特徴を理解すれば、仕事に生かせる」と話す。セミナーの問い合わせは鳥取労働局職業対策課(0857・29・1708)へ。
朝日新聞
社会性やコミュニケーションなどに困難を抱える発達障害。学校と医療機関の連携など教育現場では支援の取り組みが進むが、働く場ではまだまだだ。このため、学校を卒業し、社会に出ると人間関係や仕事につまずく人も多い。発達障害と就労について理解を深めてもらおうと、鳥取労働局などは4日に、倉吉市でセミナーを予定している。
◇「障害受容」ポイント <本人と周囲>
米子市の30代女性は高校を卒業後、推薦で地元に就職した。しかし、人間関係につまずき、すぐに退職。その後も運送会社や建設会社などの事務職を転々とした。どこの職場でも人間関係に苦しんだ女性は鬱(うつ)の症状が現れ通院。病院で「発達障害」と診断された。
2009年6月、病院からの紹介で障害者就業・生活支援センター「しゅーと」(米子市道笑町2丁目)を訪れた。中島哲朗所長(55)によると、この女性は「丁寧に説明すれば能力を発揮できるが、話の意図をくみ取るのが苦手だった」という。このため、簡単な説明では仕事内容を理解できず、会社からは「さぼっている」とみられることも多くあった。
女性は、センターの支援を受けて企業での実習などを重ね、食品会社に就職。まとめ役として活躍するまでになった。中島所長は「この女性の場合、本人も周囲も『発達障害』だと認識し、受け入れたからこそうまくいった」と話す。
女性は、医師から「発達障害」だと診断された時、「ずっと、何かみんなとは違うと感じていたのですっきりした」と納得したという。だが、実際には「発達障害」を受け入れられない人も多く、「周りがおかしい」と思い、引きこもる人もいる。中島所長は、「本人も周囲の人も障害だと認識し、受け入れる『障害受容』ができていないのが現状だ」と話す。
◇企業の理解は不十分 <診断件数増>
県教委によると、アスペルガー症候群や注意欠陥・多動性障害(ADHD)など発達障害と診断された児童生徒数は、小学校で1012人、中学校で319人、高校で137人(2010年9月1日現在)。診断件数は年々増える傾向にあるという。
教育現場、就労先と途切れない支援が必要だが、鳥取労働局職業対策課の平岡富士男課長(57)は「事業所側の理解は十分とは言えない。関係機関の連携もこれからだ」と話す。
このため、鳥取労働局と鳥取障害者職業センター(鳥取市)は4日午後1時半から、倉吉未来中心(倉吉市)で発達障害と就労について考えるセミナーを開催。発達障害者の就労に関する制度の説明やシンポジウムがある。
また、印刷・製本などを手がける「リベルタス興産」(山口県宇部市)の有田信二郎社長が「発達障害者の就労を促進するために」と題して講演する。同社は発達障害の4人を雇用。有田社長は「一人一人の得意、不得意など特徴を理解すれば、仕事に生かせる」と話す。セミナーの問い合わせは鳥取労働局職業対策課(0857・29・1708)へ。
朝日新聞