神戸市職員の有志が1口200円を給料から天引きして積み立てる「あじさい基金」は、8年前に始まりました。阪神大震災以降、NGOやNPOの役割が評価され、社会をつくりあげていくのは市民だという意識を行政も理解し、その活動を支えていこうというのが設立のきっかけです。
積立金は、市民団体を支援するNPO法人「しみん基金・こうべ」(神戸市中央区)に定期的に寄付されてきました。先週、あじさい基金の代表世話人を務める長田区役所職員の觜本郁(はしもとかおる)さんから、しみん基金理事長の黒田裕子さんに31万円が渡されました。これで寄付の総額は100万6000円となり、ようやく100万円の大台に。
觜本さんは、あじさい基金をつくる前年、市職員から希望者を募るNPO体験研修に参加し、その研修先が黒田さんのやっている「阪神高齢者・障害者支援ネットワーク」だったのです。その時、震災をきっかけに社員の募金で運営するソニー生命の「ボランティア有志の会」が黒田さんの活動を支援していることを知りました。
ならば、神戸市の職員も市民として一人一人がそういう活動をできないかと、觜本さんは研修後の発表で、あじさい基金を提案しました。1万6000人いる職員の1%が参加するだけでも、160人×200円×12カ月=38万4000円が1年間に集まる、ともくろんだのですが、現実はそうはうまくいきません。
職場や知人に呼びかけ、30人ぐらいでスタートし、ずっとその前後にとどまっているのです。コーヒー1杯よりも安く、金額の問題ではなさそうです。「協働と参画」と言われても、市民活動との間に見えない壁が役所にあるのでしょうか。立場が違えば、考えも異なります。それを建設的な意見と受け止めるかどうかが、市民という相手を理解できるかどうかの分かれ目になるでしょう。
でも、継続は力なり。あじさい基金に寄せられた善意が市民団体の活動の一端を支えてきたのです。額は小さくても、生きたお金として大きな力になっています。
しみん基金は毎年、外部の寄付・募金をもとに、公益を目的とした市民団体・個人の活動に助成金を支給しています。今年度は、東日本大震災の被災者を支援するボランティア活動へ助成する特定枠をつくりました。従来の一般枠に49団体、特定枠に16団体から助成の応募があり、ヒアリングを経て、9団体ずつが残りました。
最終審査は公開され、今回は、31日(月)午後1時~5時、神戸市中央区吾妻通4の市生涯学習支援センター(コミスタこうべ)で。各団体のプレゼンテーション、質疑、どの審査員がどの団体に票を投じるのかもガラス張りです。市民活動への支援を決める瞬間を見ることができます。ちなみに私も審査員の一人です。入場無料。ぜひ見学にお越しください。【神戸支局長・二木一夫】
〔神戸版〕毎日新聞 2011年10月24日 地方版
積立金は、市民団体を支援するNPO法人「しみん基金・こうべ」(神戸市中央区)に定期的に寄付されてきました。先週、あじさい基金の代表世話人を務める長田区役所職員の觜本郁(はしもとかおる)さんから、しみん基金理事長の黒田裕子さんに31万円が渡されました。これで寄付の総額は100万6000円となり、ようやく100万円の大台に。
觜本さんは、あじさい基金をつくる前年、市職員から希望者を募るNPO体験研修に参加し、その研修先が黒田さんのやっている「阪神高齢者・障害者支援ネットワーク」だったのです。その時、震災をきっかけに社員の募金で運営するソニー生命の「ボランティア有志の会」が黒田さんの活動を支援していることを知りました。
ならば、神戸市の職員も市民として一人一人がそういう活動をできないかと、觜本さんは研修後の発表で、あじさい基金を提案しました。1万6000人いる職員の1%が参加するだけでも、160人×200円×12カ月=38万4000円が1年間に集まる、ともくろんだのですが、現実はそうはうまくいきません。
職場や知人に呼びかけ、30人ぐらいでスタートし、ずっとその前後にとどまっているのです。コーヒー1杯よりも安く、金額の問題ではなさそうです。「協働と参画」と言われても、市民活動との間に見えない壁が役所にあるのでしょうか。立場が違えば、考えも異なります。それを建設的な意見と受け止めるかどうかが、市民という相手を理解できるかどうかの分かれ目になるでしょう。
でも、継続は力なり。あじさい基金に寄せられた善意が市民団体の活動の一端を支えてきたのです。額は小さくても、生きたお金として大きな力になっています。
しみん基金は毎年、外部の寄付・募金をもとに、公益を目的とした市民団体・個人の活動に助成金を支給しています。今年度は、東日本大震災の被災者を支援するボランティア活動へ助成する特定枠をつくりました。従来の一般枠に49団体、特定枠に16団体から助成の応募があり、ヒアリングを経て、9団体ずつが残りました。
最終審査は公開され、今回は、31日(月)午後1時~5時、神戸市中央区吾妻通4の市生涯学習支援センター(コミスタこうべ)で。各団体のプレゼンテーション、質疑、どの審査員がどの団体に票を投じるのかもガラス張りです。市民活動への支援を決める瞬間を見ることができます。ちなみに私も審査員の一人です。入場無料。ぜひ見学にお越しください。【神戸支局長・二木一夫】
〔神戸版〕毎日新聞 2011年10月24日 地方版