教室で農場で緊張ほぐす 高校生 初日8人
発達障害などにより対人関係の構築が困難な高校生を対象とした県教委のコミュニケーションスキル講座が8日、森町の旧周智高校(閉校)で始まった。支援の様子を取材した。(古屋祐治)
この日は、1グループ目の8人が出席した。生徒たちは緊張からか、うつむき加減だ。はじめに社会生活でのコミュニケーション方法などを学ぶ約50分の講座が始まった。講師の鈴木大介さん(33)は、県内の専門学校などでコミュニケーションスキルを向上させる支援活動などを行っている。
「コミュニケーションって何だと思う?」
鈴木さんが笑顔で生徒たちに話しかける。生徒たちは「言葉のキャッチボール」「絆を深めていくこと」と、小さいながらもしっかりとした口調で答える。根気よく話しかけることで少しずつ生徒たちに笑顔が見え始めた。
鈴木さんは「コミュニケーションと聞いてどんな印象を持つか紙に書いてみて」と紙を配布した。すぐに書きだす生徒もいれば、なかなか筆の進まない生徒もいる。そんな中、女子生徒の1人は、印象を言葉ではなく、絵で描いた。女の子が小さい子どもに手をさしのべる様子の絵だった。鈴木さんらが絵に感心すると、女子生徒は照れたように笑った。
■
次に、生徒たちは農業実習に入った。この日は講師の女性と生徒たちで学校近くのビニールハウスを見学し、「これからジャガイモや大根などを育てていきます」と説明を受けた。「作物を育てるのに必要なものは?」と、講師が尋ねると、生徒からは「愛情!」「体力!」「情熱!」と次々と声が上がった。緊張はすっかりとけた様子だ。この後、生徒たちは教室に戻り、今後の説明などを受けた後、帰宅した。
鈴木さんは、「生徒たちはコミュニケーションで失敗した経験があったりして、取りたくてもできない。本当はコミュニケーションを欲している」と指摘する。そのうえで、「こちらが受け入れて歩み寄ることが大事。今後、限られた時間の中で、苦手な部分、得意な部分を言葉で伝えられるようにしたい」と話した。
■
参加する18人のうち、県東部の生徒は1人もいない。県教委は「森町までの距離が問題」と推察する。
また、県内の医療関係者には「個人への支援が必要な生徒たちを集団で支援するのは問題に即していないのでは」と指摘する人もいる。
県教委は「改善すべきところが出てくれば、講師たちと話し合っていきたい」としている。
(2011年10月9日 読売新聞)
発達障害などにより対人関係の構築が困難な高校生を対象とした県教委のコミュニケーションスキル講座が8日、森町の旧周智高校(閉校)で始まった。支援の様子を取材した。(古屋祐治)
この日は、1グループ目の8人が出席した。生徒たちは緊張からか、うつむき加減だ。はじめに社会生活でのコミュニケーション方法などを学ぶ約50分の講座が始まった。講師の鈴木大介さん(33)は、県内の専門学校などでコミュニケーションスキルを向上させる支援活動などを行っている。
「コミュニケーションって何だと思う?」
鈴木さんが笑顔で生徒たちに話しかける。生徒たちは「言葉のキャッチボール」「絆を深めていくこと」と、小さいながらもしっかりとした口調で答える。根気よく話しかけることで少しずつ生徒たちに笑顔が見え始めた。
鈴木さんは「コミュニケーションと聞いてどんな印象を持つか紙に書いてみて」と紙を配布した。すぐに書きだす生徒もいれば、なかなか筆の進まない生徒もいる。そんな中、女子生徒の1人は、印象を言葉ではなく、絵で描いた。女の子が小さい子どもに手をさしのべる様子の絵だった。鈴木さんらが絵に感心すると、女子生徒は照れたように笑った。
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次に、生徒たちは農業実習に入った。この日は講師の女性と生徒たちで学校近くのビニールハウスを見学し、「これからジャガイモや大根などを育てていきます」と説明を受けた。「作物を育てるのに必要なものは?」と、講師が尋ねると、生徒からは「愛情!」「体力!」「情熱!」と次々と声が上がった。緊張はすっかりとけた様子だ。この後、生徒たちは教室に戻り、今後の説明などを受けた後、帰宅した。
鈴木さんは、「生徒たちはコミュニケーションで失敗した経験があったりして、取りたくてもできない。本当はコミュニケーションを欲している」と指摘する。そのうえで、「こちらが受け入れて歩み寄ることが大事。今後、限られた時間の中で、苦手な部分、得意な部分を言葉で伝えられるようにしたい」と話した。
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参加する18人のうち、県東部の生徒は1人もいない。県教委は「森町までの距離が問題」と推察する。
また、県内の医療関係者には「個人への支援が必要な生徒たちを集団で支援するのは問題に即していないのでは」と指摘する人もいる。
県教委は「改善すべきところが出てくれば、講師たちと話し合っていきたい」としている。
(2011年10月9日 読売新聞)