あす初戦豪雪なんのプレー磨く
県内唯一の車椅子バスケットボールチーム「AOMORI JOPS」が2日、国内最高峰の大会「日本選手権」に初めて臨む。出場予定だった昨年の大会が東日本大震災で中止となり、2年越しの悲願がかなう。冬場は思うようなチーム練習ができなかったが、選手たちは「思い切ってやるだけ。夢の舞台を楽しみたい」と活躍を誓っている。
「プレス、プレス」「ナイスシュート」。4月28日夜、青森市の県身体障害者福祉センター「ねむのき会館」の体育館では、車椅子同士がぶつかる音やタイヤがこすれる音に混じり、JOPSの選手たちの大きな声が響き渡った。最終調整となったこの日は、連係プレーやシュート練習に汗を流した後、試合形式の練習に取り組み、仕上がりを確認した。
日本選手権は全国79チームから地区予選を勝ち抜いた20チームが頂点を目指して戦う。JOPSは昨年10月の東北予選で一昨年に続き2位に入り、全国への切符を手にした。7か月後の大会に向けてチーム力の底上げを目指したが、今冬の豪雪でむつ市や八戸市のメンバーが青森市で行う全体練習に参加できない日もあった。ヘッドコーチの船橋渡さん(39)は「決して満足な練習はできなかった」と打ち明ける。
しかし、選手たちは全体練習の少なさを意に介していないようだ。主将でむつ市在住の立花文之さん(35)は、「それぞれができるところでレベルアップしてきた」と話す。立花さん自身、毎晩自宅でゴムチューブを使った筋力トレーニングを欠かさず、時間を見つけては近場の屋内施設で走り込みを続けてきた。
「シュートできる距離が伸びた」と、冬の成長を感じているのはエース田中大地さん(28)。全体練習がない日も船橋さんと2人、体育館で1対1の練習を繰り返し、プレーに磨きをかけてきた。
28日も、トップスピードのカットインを見せたかと思えば、ディフェンスの厳しいチェックを受けてバランスを崩しながらシュートを決めるなど、調子の良さを感じさせた。「日本代表になるのが目標。選手権は絶好のアピールの舞台」と闘志を燃やす。
初戦の相手は「東京ファイターズB・C」。JOPSの選手らは「間違いなく格上」と声をそろえる。船橋さんによると、相手のガードはスピードがあり、「ディフェンスでマッチアップする田中がどこまで踏ん張れるかが鍵」とみている。
28日は、「けっぱれ じょっぱり魂 JOPS」と書いた横断幕が支援者から贈られた。立花さんは「支えてくれる人への感謝の思いを忘れず、青森のチームもここまでできるんだ、というプレーを全国に示したい」と話していた。
練習で激しくボールを奪い合う「AOMORI JOPS」の選手ら(4月28日、青森市で)
(2012年5月1日 読売新聞)
県内唯一の車椅子バスケットボールチーム「AOMORI JOPS」が2日、国内最高峰の大会「日本選手権」に初めて臨む。出場予定だった昨年の大会が東日本大震災で中止となり、2年越しの悲願がかなう。冬場は思うようなチーム練習ができなかったが、選手たちは「思い切ってやるだけ。夢の舞台を楽しみたい」と活躍を誓っている。
「プレス、プレス」「ナイスシュート」。4月28日夜、青森市の県身体障害者福祉センター「ねむのき会館」の体育館では、車椅子同士がぶつかる音やタイヤがこすれる音に混じり、JOPSの選手たちの大きな声が響き渡った。最終調整となったこの日は、連係プレーやシュート練習に汗を流した後、試合形式の練習に取り組み、仕上がりを確認した。
日本選手権は全国79チームから地区予選を勝ち抜いた20チームが頂点を目指して戦う。JOPSは昨年10月の東北予選で一昨年に続き2位に入り、全国への切符を手にした。7か月後の大会に向けてチーム力の底上げを目指したが、今冬の豪雪でむつ市や八戸市のメンバーが青森市で行う全体練習に参加できない日もあった。ヘッドコーチの船橋渡さん(39)は「決して満足な練習はできなかった」と打ち明ける。
しかし、選手たちは全体練習の少なさを意に介していないようだ。主将でむつ市在住の立花文之さん(35)は、「それぞれができるところでレベルアップしてきた」と話す。立花さん自身、毎晩自宅でゴムチューブを使った筋力トレーニングを欠かさず、時間を見つけては近場の屋内施設で走り込みを続けてきた。
「シュートできる距離が伸びた」と、冬の成長を感じているのはエース田中大地さん(28)。全体練習がない日も船橋さんと2人、体育館で1対1の練習を繰り返し、プレーに磨きをかけてきた。
28日も、トップスピードのカットインを見せたかと思えば、ディフェンスの厳しいチェックを受けてバランスを崩しながらシュートを決めるなど、調子の良さを感じさせた。「日本代表になるのが目標。選手権は絶好のアピールの舞台」と闘志を燃やす。
初戦の相手は「東京ファイターズB・C」。JOPSの選手らは「間違いなく格上」と声をそろえる。船橋さんによると、相手のガードはスピードがあり、「ディフェンスでマッチアップする田中がどこまで踏ん張れるかが鍵」とみている。
28日は、「けっぱれ じょっぱり魂 JOPS」と書いた横断幕が支援者から贈られた。立花さんは「支えてくれる人への感謝の思いを忘れず、青森のチームもここまでできるんだ、というプレーを全国に示したい」と話していた。
練習で激しくボールを奪い合う「AOMORI JOPS」の選手ら(4月28日、青森市で)
(2012年5月1日 読売新聞)