消費増税関連法案が大型連休明けから衆院特別委員会で審議され、与野党の本格的な論戦がスタートする。消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%へ引き上げるのが柱だが、低所得者の負担緩和策など課題は山積している。主な争点を探った。
制度設計は難航必至-低所得者向け現金給付
所得の低い層ほど負担が重くなる消費税の逆進性を和らげるため、政府は消費税率を8%に引き上げる2014年4月から、低所得者向け現金支給制度「簡素な給付措置」を実施する。ただ、支給対象者や金額といった制度の具体化はこれから。給付規模を抑えたい政府に対し、民主党の増税慎重派は手厚い給付を求める。消費増税関連法案の審議と並行して進められる意見集約は難航が避けられない。
消費税を導入した1989年と税率を5%に引き上げた97年、政府は「臨時福祉給付金」を支給した。いずれも、セットで行われた所得税減税の恩恵を受けられない住民税非課税の低所得者のうち、高齢者や重度の障害者らに限り、原則1万円を1度だけ配る激変緩和措置だった。支給総額はともに1000億円に満たなかった。
15年10月に税率が2桁に乗る今回の増税に当たり、政府・民主党は恒久的な低所得者対策を打つ必要があると判断した。第一生命経済研究所の試算では、年収250万円未満の夫婦と子供2人世帯の場合、税率8%で年間4万6600円、10%で7万6255円の負担増となる。
民主党の増税慎重派は対策費として「せめて総額1兆円は必要だ」と、大盤振る舞いを催促するが、財政再建を掲げる政府としては最小限にとどめたいところ。4月半ばに政府がまとめた簡素な給付の基本方針には、「(基礎的財政収支の改善目標を掲げた)財政運営戦略と整合的なものとなるよう財源を確保する」と明記し、規模拡大に一定の歯止めをかけた。
政府は対象者について、過去の給付制度を参考に住民税非課税世帯から絞り込む方針だが、党内には異論が少なくない。金額も「1万円では足りない」「ワーキングプアには上積みするべきだ」などの声が上がっている。
平成24年5月4日-世界日報
制度設計は難航必至-低所得者向け現金給付
所得の低い層ほど負担が重くなる消費税の逆進性を和らげるため、政府は消費税率を8%に引き上げる2014年4月から、低所得者向け現金支給制度「簡素な給付措置」を実施する。ただ、支給対象者や金額といった制度の具体化はこれから。給付規模を抑えたい政府に対し、民主党の増税慎重派は手厚い給付を求める。消費増税関連法案の審議と並行して進められる意見集約は難航が避けられない。
消費税を導入した1989年と税率を5%に引き上げた97年、政府は「臨時福祉給付金」を支給した。いずれも、セットで行われた所得税減税の恩恵を受けられない住民税非課税の低所得者のうち、高齢者や重度の障害者らに限り、原則1万円を1度だけ配る激変緩和措置だった。支給総額はともに1000億円に満たなかった。
15年10月に税率が2桁に乗る今回の増税に当たり、政府・民主党は恒久的な低所得者対策を打つ必要があると判断した。第一生命経済研究所の試算では、年収250万円未満の夫婦と子供2人世帯の場合、税率8%で年間4万6600円、10%で7万6255円の負担増となる。
民主党の増税慎重派は対策費として「せめて総額1兆円は必要だ」と、大盤振る舞いを催促するが、財政再建を掲げる政府としては最小限にとどめたいところ。4月半ばに政府がまとめた簡素な給付の基本方針には、「(基礎的財政収支の改善目標を掲げた)財政運営戦略と整合的なものとなるよう財源を確保する」と明記し、規模拡大に一定の歯止めをかけた。
政府は対象者について、過去の給付制度を参考に住民税非課税世帯から絞り込む方針だが、党内には異論が少なくない。金額も「1万円では足りない」「ワーキングプアには上積みするべきだ」などの声が上がっている。
平成24年5月4日-世界日報