東日本大震災を機に陸前高田市から消えた伝統のツバキ油搾りが障害者就労施設に引き継がれ、復活した。地元の社会福祉法人が運営する「青松館」で、津波で廃業に追い込まれた「石川製油」の石川秀一さん(63)が「亡くなった息子に教える思い」を胸に技術指導す
陸前高田市はツバキ油生産地の北限として知られ、高純度の製品は全国にファンを持つ。地元の女性たちも拾い集めた実を業者に持ち込み、搾りを依頼するのが慣習だった。
しかし、安価な食用油に押されて唯一の製造元となっていた石川製油の自宅兼工場は津波で流失。石川さんは難を逃れたが、大事な跡取り息子(当時37歳)が消防団員として活動中に亡くなった。「後継者を失い、何の立ち上がる意味がある」
一方、51人が通ってクリーニングや印刷などの仕事を請け負っていた青松館も設備が破損し、受注元も被災して工賃収入が約7分の1に激減した。
失意の両者とツバキ油を請い望む人たち。「地域が全体で協力し合えるのなら」。活路を開くため腕を貸してほしいという青松館の強い願いを受け、石川さんは再起した。
毎日新聞 2012年05月01日 地方版
陸前高田市はツバキ油生産地の北限として知られ、高純度の製品は全国にファンを持つ。地元の女性たちも拾い集めた実を業者に持ち込み、搾りを依頼するのが慣習だった。
しかし、安価な食用油に押されて唯一の製造元となっていた石川製油の自宅兼工場は津波で流失。石川さんは難を逃れたが、大事な跡取り息子(当時37歳)が消防団員として活動中に亡くなった。「後継者を失い、何の立ち上がる意味がある」
一方、51人が通ってクリーニングや印刷などの仕事を請け負っていた青松館も設備が破損し、受注元も被災して工賃収入が約7分の1に激減した。
失意の両者とツバキ油を請い望む人たち。「地域が全体で協力し合えるのなら」。活路を開くため腕を貸してほしいという青松館の強い願いを受け、石川さんは再起した。
毎日新聞 2012年05月01日 地方版