犬を通じて心身のケアを行う「国際セラピードッグ協会」(本部東京都中央区)が二十七、二十八の両日、東日本大震災被災地の福島県相馬市で昨年末に保護した二匹の犬と、同市の高齢者施設と仮設住宅を訪れる。この二匹は、患者や障害者らとの交流を通じて癒やし効果が期待されるセラピードッグとして訓練中で、実習犬として半年ぶりの里帰りとなる。 (丹治早智子)
協会代表はブルースシンガー大木トオルさん。三十五年前から捨て犬や殺処分寸前の犬を保護、セラピードッグに育てている。二〇〇二年に協会を発足、各地の高齢者施設や病院を巡回している。
昨年五月から宮城県や福島県で、犬と一緒に被災者を訪問する。「頑張れ」とは言わない。数時間、犬と過ごした被災者は別れ際、「また来てね」と笑顔を見せるという。
「これから心配なのは家族を失った高齢者の孤独死や自死。犬たちとの出会いが、彼らの命をつなぎとめる」と大木さんはいう。
動物も被災者だ。福島県には、津波や原発事故で住民が避難している地区には、多くの放浪犬や、震災後に生まれ野犬化した子犬が存在。県動物救護本部が保護している犬だけで今月二十三日現在、百三十匹以上いる。
昨年末から今年三月にかけて、相馬市で大木さんらが保護した被災犬は十匹。人間との信頼関係を築きながら車いすの人に合わせて歩くなど、四十五のカリキュラムをこなす二年間の訓練に取り組んでいる。今回、参加する二匹は、メスの「きずな」とオスの「日の丸」。すでに活躍中の別のセラピードッグ六匹とともに現地へ行く。
「捨て犬も被災犬も人の心の痛みをとても理解している。一人前になったら、仮設住宅のお年寄りや、認知症やがんに苦しむ人たちの役に立つはず」
そう話す大木さんは今、被災犬を保護してセラピードッグに育成する「日本被災犬終身保護センター」の犬舎建設を計画。今夏の完成を目指し、支援を募っている。問い合わせは同協会=電03(5537)2815=へ。
セラピードッグ実習犬「きずな」(左)、「日の丸」と大木トオルさん=東京・銀座で
2012年5月26日 13時55分(東京新聞)
協会代表はブルースシンガー大木トオルさん。三十五年前から捨て犬や殺処分寸前の犬を保護、セラピードッグに育てている。二〇〇二年に協会を発足、各地の高齢者施設や病院を巡回している。
昨年五月から宮城県や福島県で、犬と一緒に被災者を訪問する。「頑張れ」とは言わない。数時間、犬と過ごした被災者は別れ際、「また来てね」と笑顔を見せるという。
「これから心配なのは家族を失った高齢者の孤独死や自死。犬たちとの出会いが、彼らの命をつなぎとめる」と大木さんはいう。
動物も被災者だ。福島県には、津波や原発事故で住民が避難している地区には、多くの放浪犬や、震災後に生まれ野犬化した子犬が存在。県動物救護本部が保護している犬だけで今月二十三日現在、百三十匹以上いる。
昨年末から今年三月にかけて、相馬市で大木さんらが保護した被災犬は十匹。人間との信頼関係を築きながら車いすの人に合わせて歩くなど、四十五のカリキュラムをこなす二年間の訓練に取り組んでいる。今回、参加する二匹は、メスの「きずな」とオスの「日の丸」。すでに活躍中の別のセラピードッグ六匹とともに現地へ行く。
「捨て犬も被災犬も人の心の痛みをとても理解している。一人前になったら、仮設住宅のお年寄りや、認知症やがんに苦しむ人たちの役に立つはず」
そう話す大木さんは今、被災犬を保護してセラピードッグに育成する「日本被災犬終身保護センター」の犬舎建設を計画。今夏の完成を目指し、支援を募っている。問い合わせは同協会=電03(5537)2815=へ。
セラピードッグ実習犬「きずな」(左)、「日の丸」と大木トオルさん=東京・銀座で
2012年5月26日 13時55分(東京新聞)