1月27日、オーストラリア・シドニーのオリンピックパークで、電動車椅子サッカーの第1回アジア太平洋オセアニア選手権(APOカップ)の4日間の日程が終了した。
当初参加予定だった国が欠場し、日本対オーストラリアの2カ国から2チームずつ4チームでの総当たり戦となった。
選手を追って現地入りした映画監督・中村和彦氏は、日本選手団に帯同して試合に立ち会い、現地からの状況をブログで伝えている。
「日本からは、チーム・ジャパンとチーム・ニッポンが出場。チームジャパンは自力に勝る実質的な日本代表。チームニッポンは経験は少ないものの将来有望な選手たちを中心とした構成。どちらのチームも、日本を代表しオーストラリアに乗り込んできたという意味でまったく同等だ。」(中村監督のブログより)
中村監督は、選手のプレーの様子を伝えるほか、中盤まで日本代表の電動車椅子の転倒が続いたことで、会場の床の状態や、ボール、オーストラリアチームのマシンの性能分析、期間中の対策の様子、そして、最終日には転倒がなかったチームの動きを伝えている。また、遠征を支えるスタッフ、ヘルパーや家族の力、そして何よりも応えようとする選手自身の大変さがあったことを感じたようだ。
電動車椅子サッカーの国際大会は、本番であると同時に、さらに大きな大会で勝つための貴重な実験、研究の場となっていることがわかる。
優勝がチームジャパン、チームニッポンが3位と、日本にとって嬉しい結果となって、大会は閉幕した。選手団は27日、28日の両日で帰国する。
現地の様子は、この記事の下に紹介する関係者のサイトに詳しいので、ぜひご覧いただきたい。
映画制作、進行中
中村和彦監督は、2006年に知的障害のワールドカップサッカー・ドイツ大会出場を描いた映画「プライド・イン・ブルー」、その後2010年にはデフリンピック・サッカー女子日本代表の「アイ・コンタクト」を発表した。
このたび初の日本代表・女性ストライカーとなった、永岡真理選手を中心に、競技やチームの仲間を取材した映画制作に取り組んでいる。完成までは、あと3年はかかるという。
「映画を撮ることは、選手との距離を近くしながら、観察していくことになります。」
それは、時間がかかるが、大会報道では知ることができないことばかりになるだろう。日常生活にも触れる取材で、どのような映画になるのかは、じつはまだ監督自身もわからない。中村監督の映画作りには台本がない。より深く伝え真実に迫ろうとするうえで、自然であり、基本の姿勢と思われた。
また、中村監督は、自身の好きなもの、気になるもの、愛するものを取材の対象にしている。
「障害者サッカーシリーズにしようとしたわけじゃないんです。そうなっていますけどね。」監督は言う。サッカー好きだったり、手話や眼力でのサインプレーをする女性選手の新鮮な魅力にひかれ、偶然の関心が監督を取材に導いてきた。別のいい方をすれば、取材対象のファン?
ちなみに、監督は普段は日本代表などのDVD編集の仕事をしている。映画活動の経費は今のところ自前である。取材対象との時間や撮影の機会を大事にした計画を立てていかなくてはならない。
「取材対象に嫌われたら大変です(笑)」とのことで、全くそのとおりだ。勇気のいる、真剣勝負で、映画の出来ばえにもつながると想像する。監督の取材や映画の完成に注目していこう。
※この記事は、出発を前にした中村和彦監督のお話と、以下のAPOカップ関係者の更新するサイトを参考にしています。
サッカー狂映画監督 中村和彦のブログ
http://blog.goo.ne.jp/kazuhiko-nakamura
日本電動車椅子サッカー協会 HP
http://www.web-jpfa.jp/
電動車椅子サッカー応援ページ(フェイスブックページ)
https://www.facebook.com/JPFA2011
横浜クラッカーズ 公式HP
http://yokohamacrackers.iinaa.net/
(写真;中村和彦監督より 大会2日目)
パラフォト-2013年01月27日