JR中央線の高架化事業に伴い、駅の改良が進む国立市の国立駅一階に、車いす利用者らが使いやすいよう工夫した多機能トイレが完成した。「市しょうがいしゃ団体等協議会」とJR東日本の担当者が話し合いを重ね、実現した。
新しくなる国立駅について二〇〇六年六月、協議会が市に要望したことがきっかけで、JR側も交えた三者の話し合いが始まった。「エレベーターにストレッチャーが乗るようにしてほしい」という要望を受け、市も一部費用を負担し、通常より大きい十八人乗りが既にできている。
新しいトイレは、主に三つの工夫が施された。まず、多機能トイレ内は、便座の取り付け部分の壁のみ十センチ前に出すことで、出っ張っていない部分の壁に取り付けられた可動式の手すりが奥に引っ込む形となり、脇で介助する人の邪魔にならないようにした。便座の高さも通常より低い四十一センチにしたほか、壁に取り付けたもう片方の手すりやボタンの位置にも協議会の意見を取り入れた。
また、多機能トイレの利用者を示す六種類のマークのうち、車いす利用者のマークが目立つようにした。さらに、おむつ交換台を多機能トイレだけでなく、男女それぞれのトイレにも設けた。
協議会のメンバーら約二十人が十日、設計や工事を担当したJR東日本東京工事事務所の社員らの案内で現地を見学した。真新しい設備を見ながら、メンバーから「トイレの中で車いすを回しやすい」といった声が上がった。協議会代表の山田かよ子さん(57)は「要望を聞いてもらって、ありがとうございました」と笑顔で話した。
久保素弥子駅長は「みなさんに安心してもらえる駅になれば」と話している。新しいトイレは、国立駅南北改札口を統合する新改札口の使用が始まる十三日から利用できる。
便座の取り付け部分の壁が前に出て、可動式の手すり(左)が引っ込むなど工夫したトイレ=いずれもJR国立駅で
東京新聞-2013年1月11日