20〜60代の聴覚障害者が集まる「福岡ろう劇団博多」が、20日に早良市民センター(早良区百道)で開く9回目の自主公演「手話劇 飴(あめ)買いものがたり」の稽古(けいこ)に励んでいる。劇団の鈴木玲雄代表(28)は「聴覚障害の人たちに勇気を与えられる公演にしたい」と話している。【末永麻裕】
劇団は1992年に福岡市在住の演劇好きな聴覚障害者と県手話の会のメンバーで設立された。当時は字幕付きのテレビや手話の認知度が低く、聴覚障害者が楽しめる娯楽が少なかったことから自ら立ち上がった。現在は13人が所属し、北九州市などからも参加している。ろう学校からの依頼や自主公演など年間2、3回の公演をこなす。
「飴買いものがたり」は中央区の「安国寺」に伝わる話をもとにした手話劇で、老夫婦が営む飴屋に夜な夜な飴を買いに訪れる美しい女性の物語。劇団設立時に上演し、22年ぶりの再演だが、台本が残っていなかったため当時演じた劇団OBらが記憶をたどり、手話で台本を書き起こした。
客席から手話がよく見えるように正面を向いて演技の動きを大きくしたり、健常者にも楽しめるよう字幕を映し出したり工夫を凝らした舞台。衣装やセットなども劇団員が分担した手作りだ。老婦を演じる占野美智子さん(68)は「健常者にも舞台を楽しんでもらい、聴覚障害者とコミュニケーションが取れる手段である手話が広がってほしい」と期待する。
公演は午後2時、午後6時。入場料大人1000円、小中高生500円(当日は共に500円増)。劇団事務局電話・ファクス092・963・4458。
20日の本番を前に稽古に励む鈴木代表(中央)と劇団員ら
毎日新聞 2014年09月10日 〔福岡都市圏版〕