9月は「障害者雇用支援月間」。徳島労働局によると、2013年度のハローワークを通じた障害者の就職件数は474件で、4年連続で過去最高を更新した。障害者雇用を義務付けた障害者雇用促進法の法定雇用率が同年度から引き上げられたことが、追い風になったとみられる。ただ、法定雇用率を達成している県内企業は約半数にとどまっている現状もあり、障害者が就職できる業種や職種を増やすことが課題だ。
就職件数の内訳は、身体障害者が前年度比6・8%増の173件、知的障害者が同1・4%増の150件、精神障害者が同42・7%増の137件、発達障害者などが同22・2%減の14件。
一方、同労働局によると、13年6月1日時点で法定雇用率を達成している企業の割合は、53・3%。13年度から雇用が義務付けられた従業員50人以上から56人未満の企業では、29・7%にとどまっているという。担当者は「リーマン・ショックで中小企業を取り巻く環境が厳しくなったことが背景にある」と分析、「障害者が働ける業種や職種を開拓する必要がある」とする。
同労働局などは25日、障害者の就職を支援するため、徳島市のホテルクレメント徳島で「ふれあい就職面接会」を開く。午前10時半からの第1部では、企業の採用担当者向けのセミナーを開催。午後1時半からの第2部は、障害者と企業との合同面接会がある。いずれも参加無料で、事前申し込みは不要。問い合わせは県内のハローワークや同局職業安定部(088・611・5387)。
障害者雇用を巡っては、県内で新たな動きも出てきている。大塚製薬の子会社「はーとふる川内」(徳島市、西野直樹社長)は7月、阿波市に障害者が働く農場「まごころファーム『コスモス』」を開設した。
同社は、障害者を雇用すれば、親会社の雇用として算定される「特例子会社」。身体、知的、精神障害者計24人が、印刷や発送業務に従事する。
農場開設は、「園芸療法」としての側面に着目したため。園芸療法は、植物と触れ合うことで生活にリズム感が生まれ、気分転換やストレスの解消につながるとされる。同社は、障害者が将来、地域の就農人口減少を補うことも想定する。
農場は約1ヘクタールで、ハウス2棟で土を使わない養液栽培でトマトを栽培する。車いすでも移動しやすいよう、苗を植える間隔を広くするなど工夫。2年後には年間80トンの収穫を目指しており、グループ会社を通じて市場に販売する予定だ。
農場で働く知的障害のある10代男性は「一生懸命頑張って、おいしいトマトを作りたい」と笑顔を見せ、西野社長は「特別支援学校の就業体験の場としても活用できれば」と話す。