視覚障害者が指で触れて読み取れる立体地図を、3Dプリンターを使って安価に作る技術を国土地理院(茨城県つくば市)が開発した。障害者支援を研究する専門家と使いやすく改良したうえで、地図データを一般に提供して普及を目指す。
国土地理院は、都市部は2500分の1、それ以外は2万5千分の1の地図で道路の中心線などを電子データ化している。これを3Dプリンターに入力して、線の幅などを指定すれば、樹脂の板の上に道路が立体的に盛り上がった地図が作れる。
これまで、特殊な紙と機械を使って試作してきたが、3Dプリンターが急速に普及。インターネットで地図が必要な場所のデータを利用者に提供して、手軽に作れる環境が整った。国土地理院が開発に使った3Dプリンターは6万円台で、15センチ四方の1枚を作る材料費も150円程度だ。
今後、地図に盛り込む情報量や点字の略記法など、使いやすさを研究してデータ公開の準備を進める。
開発に協力する新潟大の渡辺哲也准教授(福祉工学)は「標高データを生かして坂道や高台などを立体的に表現すれば、視覚障害者の津波防災などの学習にも使えるのではないか」と話す。
2014年9月24日17時53分 朝日新聞