盲導犬を傷つけないで―。視覚障害者の市民団体「ロービジョン友の会アリス」(越谷市)など県内の8団体が16日、JR武蔵野線南越谷駅の広場でチラシを配布した。
県内で7月、盲導犬「オスカー」が傷つけられた事件を受け、盲導犬や視覚障害者への理解を深めてもらおうと行われ、約30人が「盲導犬は視覚障害者にとって大切なパートナーです」と呼び掛けた。
盲導犬は視覚障害者を誘導するため、繁華街や公共交通機関などで、適切な行動が取れるように訓練を受けている。それでも突然声を掛けられたり、触られたりすると、注意がそがれ、予測不能な動きが起こりかねないという。
同会の阿保裕子代表は、盲導犬や視覚障害者に対する社会の理解が十分でない現状を危惧している。
阿保代表は「目が不自由になると、引きこもりになってしまう人が多い。やっと外に出られるようになっても、心ない人によるいたずらが恐怖心を与えてしまう。盲導犬は目の不自由な人の体の一部。安心して日常生活が送れるよう、多くの人に理解してほしい」と話す。
自身も視覚障害者の「虹の会」(草加市)の宮田新一代表は、これまで白いつえを3回折られたり、点字ブロック上の自転車に衝突したことが度々あるという。
盲導犬オスカーが刺された事件については「痛いのは犬も一緒。それでもほえないのはユーザーとの信頼関係が成り立っているから」と指摘。その上で、「私たちは外に一歩踏み出せるようになるまで約1年かかる。真っ暗の中を歩くことがどれほど不自由で怖いか、少しだけ考える瞬間を持ってほしい」と話していた。
市民団体が盲導犬や視覚障害者への理解を呼び掛けるチラシを配布した=16日午後、JR武蔵野線南越谷駅前
2014年9月17日(水) 埼玉新聞