聴覚障害者のため、話し言葉を素早く文字にして伝える要約筆記サークル「萌(もえ)」(水戸市)が今年、設立30周年を迎えた。同種サークルでは県内最古の歴史を持つという「萌」。会員は「要約筆記と聴覚障害者への理解を広げていきたい」と活動に打ち込んでいる。
同サークルは1984年8月、東京で要約筆記の活動を見学した県内在住の聴覚障害者が支援者らに「県内でも活動を広めてほしい」と要望し、支援者らが結成した。現会員22人は毎月、第1水曜日の午前▽第2水曜日の夜▽第3水曜日の午前と午後の計4回の定例勉強会を開き、要約筆記を学んでいる。
勉強会では、録音された講演を聞きながらパソコンに打ち込んだり、書き込んだりして、話し手の意図を正確に伝える訓練を積んでいる。泉岡由紀子会長は「ただ短くまとめるだけでは伝わらない。話し手の意図を理解し、分かりやすい言葉に置き換える技術が必要」と解説する。
サークルには聴覚障害者自身も参加。聴覚障害のある団体職員の女性会員=水戸市=は「自分が参加することで、要約筆記の水準を上げたい」。泉岡会長も「当事者ならではの視点で助言をもらえる」と交流の大切さを指摘した上で、聴覚障害者や要約筆記初心者の参加を呼び掛けている。
問い合わせは水戸市社会福祉協議会ボランティアセンター(電話029・309・1011、ファクス309・1139)。
毎日新聞 2014年09月24日 地方版