【遠軽】オホーツク管内唯一の児童養護施設「北光学園」(町生田原伊吹、児童50人)などを運営する社会福祉法人北光福祉会(星屋泰賢理事長)は今年、創立60周年を迎えた。障害者の自立支援事業も手がけ、地域の福祉に貢献してきた。14日には町福祉センターで創立60周年記念式典を開き、関係者約250人が節目を祝う。
北光福祉会は、養護施設事業を志し、道の紹介で札幌から現在の町生田原に移住した湯浅文治さん(1907~75年)と妻の操さん(10~2000年)が52年に開設した北光学園が始まり。当初は戦争孤児の入所が多かったが、現在は虐待や養育拒否などで親と暮らせない子供が多い。54年に社会福祉法人北光学園が誕生し、72年に現法人名に。
「親と暮らせない子供や障害のある人のために必要な事業に取り組み、現在の形に行き着いた」。湯浅さんの長男正邦さん(75)=北光学園施設長=の妻で、同福祉会常務理事の民子さん(70)は振り返る。
北光学園で受け入れていた軽度の知的障害児ら向けに69年に障害児入所施設「ひまわり学園」(町生田原安国、児童50人)を開設。さらに、ひまわり学園を退所する障害児らのため、78年に障害者支援施設「向陽園」(同、入所者50人)をつくった。その後も障害者が地域で暮らせるよう、91年に障害者グループホーム事業、03年に障害者デイサービス事業を展開。08年には障害者の就労の場として、パン店サン・コロネ(町大通南2)を開いた。
現在は職員約200人が、子供や障害児(者)合わせて400人以上をさまざまな形で支援している。北光学園やひまわり学園では虐待を受けた経験のある児童も増え、対応は複雑化している。同福祉会は「職員を育てていくことが重要だが、なり手そのものも減っている」と課題を挙げる。
60周年を機に北光福祉会は法人全体としての基本理念や基本方針を定めるほか、これまでの歴史も本などにまとめる方針だ。今後の運営について、民子さんは「社会の風潮に流されることなく、社会的な立場が弱い児童や利用者を守り抜いていく」と話している。
(12/05 16:00) 北海道新聞