県議会は25日、手話に対する県民の理解を深めて普及させる「県手話言語条例」案を全会一致で可決した。100人以上のろう者や手話通訳者らが本会議場の傍聴席で採決を見守り、「条例制定を機に福祉だけの世界ではなく、幅広い県民や事業者の間に手話への理解が広がってほしい」と歓迎した。
条例は鳥取県に次ぎ都道府県で2例目となり、来年4月1日施行。自民党、公明党、県政会の3会派が議員提案し、各会派からの質疑の後に採決が行われた。
本会議後、県聴覚障害者連盟の河原雅浩理事長(53)=二宮町=は県議会に感謝した上で「手話で自由に社会参加できる社会を実現するための土台ができた。さらなる運動を進めていきたい」と述べた。
同連盟は5月に5万4千人を超す署名を添え、県議会に条例制定を求める陳情を提出。十分な意思疎通ができずに受ける誤解や地域や職場での孤立に関し、「社会の手話に対する理解不足が大きな要因となっている」と訴えていた。
河原理事長は「最終的には日本全国どこでも県条例の条件で生活できるようになってほしい。他県にも条例が広がり、国が手話言語法を制定する流れにも結びついてほしい」と条例制定の波及効果にも期待した。
条例は手話が意思疎通に欠かせない言語であるとの認識に立ち、聴覚障害者が手話を使って社会参加しやすい環境づくりを進める目的で制定。県に手話の普及に関する施策を総合的に進めるための「手話推進計画」を策定し実施することなどを義務付けている。
県は2015年度に推進計画策定に着手し、16年度予算から計画を反映させていく見通しという。
条例制定を歓迎する県聴覚障害者連盟のメンバーと県議ら=県議会
2014.12.26 【神奈川新聞】