県が障害者雇用促進のために設置するカフェ「Cotti菜(こっちな)」が24日、県総合文化センター(津市一身田上津部田)内の男女共同参画センター「フレンテみえ」にオープンする。従業員となる障害者が接客などを通して今後の就職に向けた職業訓練を積むとともに、企業関係者や市民には働く姿を見てもらい、障害者雇用に対する理解を深めてもらう狙いがある。
カフェは、障害者が働く野菜農場「わか菜の杜(もり)」などを手掛け、障害者雇用の促進に取り組んでいる社会福祉法人「朋友」(鈴鹿市)が運営する。県は施設整備などを行い、今後は交流イベントや企業向けの障害者雇用説明会などを開催する予定だが、店の経営には介入せず、追加の資金投入もしない方針という。
今回の店舗設置の背景には、障害者雇用の伸び悩みがある。県内民間企業の障害者雇用率(6月1日現在)は昨年比で0・19ポイント改善し1・79%となったが、法定雇用率(2・0%)は下回る。社会的理解が深まらず、企業が先入観から雇用に高い障壁があると誤解し、不安感を抱いていることも要因という。カフェ責任者の豊田悦子さん(50)は「多分野で障害者が活躍している現状を知り、企業も雇用を前向きに検討してほしい」と願う。
カフェでは、精神障害者ら8人が調理や盛り付け、接客などを担当する。女性従業員(18)は「緊張するが、レベルアップしたい。勉強して、今後の仕事にもつなげたい」と意欲を見せる。
朋友は飲食業に初挑戦だが、飲食店などを展開する岐阜県岐南町の企業が、メニュー開発などの運営支援をする。この企業でもこれまで障害者雇用は進んでいなかったといい、担当者は「支援を通じて障害者雇用のハードルは高くないと分かった。働きぶりを見て、うちでも雇いたいと思っている」。
今後について、豊田さんは「多くの障害者がここで経験を積んで自信を付け、新しい職場に向かってほしい。従業員はどんどん入れ代わった方がいい」と話している。
カフェのメニューは、定食(900円)やカレー(800円)、サラダバー(400円)など。24日は午前10時半からオープニングセレモニーがあり、午後3時まで営業する。
毎日新聞 2014年12月24 〔三重版〕