攻めまくりの番組「障害者情報バラエティ・バリバラ」(Eテレ)。
統合失調症の青年を主人公としたドラマ「悪夢」でも相変わらず攻めまくっていました。
この番組を見ると障害者に対する思い込みが180度ひっくり返ってしまいます。
ごめんなさい、正直に言います。
障害を持っている方は表(外出という意味でなく)に出るのが苦手で、引っ込み思案で、内にこもっているという先入観を抱いていました。
よく考えてみれば、障害者健常者関係なく、積極的な人消極的な人、人目を気にする人気にしない人は、等しくいるわけです。~だから~、という思い込みはとんでもない。反省しきりです。
自分の身の周りに障害者はいなく、接する機会はほとんどありません。
だから、というわけでもないでしょうが、自分を振り返ると、街で目にするとき接するとき、「かわいそう」という感情があったのは確かです。
かつて駅のホームで杖をついた視覚障害の方が迷っているとき、声をかけ、目的地まで同乗していったことがありました。その帰り道も、家に帰ってからも、夜寝るときも、ああ今日オレっていいことしたな、の高揚した気持ちに包まれていました。その気持ちはしばらく続き、その後も鮮明に思い出せるほど、強い記憶として残っています。
いいことした。この自己納得感、ってなんだろう。
健常者でも道に迷うことはある。そんな時、どんなに困っている風でもおそらく声をかけるまではしないと思う。
あきらかに視覚障害だったから、その時は声を欠けた。この違いはなんだろう。やはり、「かわいそうだから」なんだろうか。
これはよく言う「偽善」ってやつなんでしょうか。
ずっと前に、「ここが変だよ健常者:健常者のNG」を特集していた。
健常者が良かれと思う行動が、障害者自身にとっては、それほど嬉しくない、という事例を(バラエティーだから面白おかしく)紹介していた。
親切心で車椅子を駅まで押していったが、着いたそこは階段しかない入口。
本当はエレベータのある入口に行きたかったが、「いいからいいから」と強引に車椅子を押されて「ここじゃないんです」と言い出せなかった。
やってあげようという気持ちが強すぎると、相手を思いやれなくなってしまうという、レベル1「ありがた迷惑型」。
多目的トイレの場所を尋ねたら、車椅子を押して案内してくれたはいいが、中にまで入ってきて、次なる介助(パンツを脱がして便座に座らせるとか)を頼まれるのをじっと待たれて困った。
障害があるとなにもできないと思い込んでしまう、レベル2「思い込み型」。
電車を待つ視覚障害者を車内に案内し、優先席に座っている人を強引にどかせて座らせようとする。
オレは弱者の味方だと悦に浸る、レベル3「勧善懲悪型」
他にも、視覚障害は、机の上のものを教えてもらう時、手をとって「これ」と運ばれるとホントは困るという。
いきなりそのモノに手を持っていかれると、机の大きさや距離感、他になにがあるのかなどが分からなくて逆にとまどうらしい。
口の動きを読む聴覚障害の人は、例えば、「りんごをください」だったら、「り」「ん」「ご」「を」「く」「だ」「さ」「い」のように、単語をひとつひとつ区切られると余計分からなくなるらしい。
区切るならば「りんごを」「ください」がありがたいと。
日頃障害者の方と接する人にとっては当たり前のことなのかもしれないが、自分にとってはけっこうショックな健常者NGだった。
番組内でも言及してたけど、
視覚障害の人を前にして、コトバで「手をあげて」「そのまま前へ」「もう少し右」「左」なんて教えている健常者の姿を見たら、おいおい手を持って示してやれよ、冷たいな、と見てしまうのではないだろうか。
実はそうではなかったのだ。
知らないってことはホントおそろしい。知るための努力なんてしてこなかったし、知ってもらうPRの機会にも接してこなかった。自分は助ける立場だ、という無思考で勝手な思い込みによる行動で、「いいことした」感に浸っていたことが恥ずかしい。
番組では最後に障害者の方々が一様に語っていた。
親切はありがたい。好意はうれしい。
でも、その場で断ったり、注文をつけたりすると、車椅子とか障害者に対する印象が悪くなってしまう。
自分が断ったあと、手助けを必要としている障害者とその人が出会うかもしれない。
その時、ヘルプをしてもらえなくなる。だから、健気な障害者を映じるときもある。
この問題は、健常者と障害者という図式に限った話ではないかもしれない。
健常者同士、大人と子供、男と女、日本人と外国人。人と人すべてに共通することなのかもしれない。
欠けているのは、コミュニケーション。と、番組では言っていた。
「なにが必要ですか」「手伝うことありますか」「大丈夫です」「ここまでで結構です」「あとはひとりでできます」
お互いに、相手を思いやる気持ちが強ければ強いほど、そんな簡単なコトバさえも、忘れてしまう。
ホント簡単なんだけど、簡単なことほど、難しいのが現実だから、なかなかうまくいかないんだよな。
2014年12月12日18:06 AdverTimes(アドタイ)