別府市内竈の「太陽の家」が今年、創立50周年を迎える。創設者の中村裕(ゆたか)博士(故人)が唱えた「保護より機会を」の理念の下、全国に先駆けて障害者の就労の場づくりを進め、自立を支援してきた。8日のシンポジウムを皮切りに、さまざまな記念事業を実施する。
太陽の家は1965年10月5日、障害者の働く場として15人の身体障害者と職員でスタート。当時は義肢装具や竹工芸などの下請けが中心だった。
現在はオムロン、ソニー、ホンダ、三菱商事など大手企業と共同出資会社を設立し、制御機器部品や自動車などの電装部品の組み立てなどさまざまな業務に携わる。愛知県や京都府内にある会社も含め、約1100人の身体、知的、精神障害者と約800人の健常者が働いている。
太陽の家の早田愛一郎事務局長は「中村博士の精神を引き継ぎながら、これからも障害のある人たちを支え、自立を応援していきたい」と話している。
8日のシンポジウムは、太陽の家コミュニティーセンターで午後2時から開催。太陽の家の中村太郎理事長が50年のあゆみを講演する。シンポジウムでは「太陽の家の使命とこれからの障がい者支援のあり方」をテーマに、三菱商事常任監査役ら関係者や障害者支援に詳しい6人のパネリストが意見を交わす。
10月にはOBや施設にゆかりのある人が集まり、「ホームカミングデー」を開く。50周年事業として、日本オリンピック委員会(JOC)が取り組むトップアスリートの就職支援事業に協力している。五輪・パラリンピックを目指す選手3人を職員として採用しており、2020年の東京大会まで支援する。
このほかの主な記念事業は次の通り。
▽7月18日午後5時 記念納涼大会(太陽の家駐車場)▽10月4日 ホームカミングデー(記念式典、コンサート、タイムカプセル開封式など)▽来年2月 記念誌刊行▽来年3月まで ペットボトルのキャップを使ったアート制作
※この記事は、7月4日大分合同新聞朝刊21ページに掲載されています。