海外では信仰や政治的理由などによって、女性の中絶が禁止されている国や地域があります。バースコントロールについては、これまでにも命への倫理観や女性の人権などをめぐり、さまざまな議論が交わされてきましたが、近年、遺伝医学の研究が進んだことにより、胎児の障害や染色体異常を調べる出生前診断が導入されるようになりました。中絶について、今の女性たちはどう思っているのでしょうか。ウートピ世論アンケートでは、84%が「中絶という選択肢はあり」と回答しました。
【アンケート】場合によっては「中絶する」という選択肢はある?
※サンプル数:1,555人(1月4日現在)
※ウートピ世論調査結果より

<アンケート結果>
「ある」・・・・・84%
「ない」・・・・・16%
※回答はわかりやすいよう一部表記を変更しています/すべてのコメントはウートピ世論をチェック
せん。
中絶が「あり」とする理由とは?
中絶を「あり」とした意見には、望まない妊娠や虐待、経済的不安が理由にあがりました。
・強姦、虐待であっても中絶が認められないなら、私なら死にたくなる
・産む自信がない、育てる自信がないのに、世間体や親同士の言い争いで、無駄に産んで虐待、施設に預けたり、養子にだすぐらいなら産むべきではない
・5人目ができた時にまず考えたのが養っていけるか不安でした。産めばどうにかなるという安易な考えはやめたほうがおい。子どもを育てるには大変なお金がかかります
・4人もこどもがいるのでもう育てられません。大学まで学費等無料なら産みます。
先のことを真剣に考えると、子どもを産んでも育てていけるか自信がないという意見が目立ちます。
・日本の子育ては お金が掛かる
という意見のように、教育の機会が親の経済力で左右されてしまう不平等な社会の仕組みも問題なのかもしれません。
妊娠中に子どもの障害が判明したら?
おなかの中の子どもに障害あることが分かったらどうするか、という議論も盛んに行われました。
・自分の子が障がいをもって生まれたことでいじめにあったり社会的差別にあったら可哀想だから
・自分に障害児を育てる自信がない人は、産まない選択もありだと思う
・本当に命を大切にするなら、「障害者は産まない」。なぜなら、障害者1人を養うのに、数名~十数名が支えなくてはいけないから。 その支えを、健全者1名を産むのにつぎ込めば、もっと多くの命を産める。[命はお金に換えられない]と言うのは、ただの綺麗ごと。事実、世の中お金の問題で、産めるはずの命がどれだけ産まれなかったと思っている?
・本来障がいがあれば産まれたとしても大きくなるまで生きていけず、淘汰されるのが自然であったはず。医療は神の所業ではないのだから、そもそもひとり立ちできない人間を無理に生きながらえさせることの方が、不自然で、人間社会のエゴであると気づくべき。人間もまた動物であるということです。
11月18日には茨城県教育委員が、障害のある子どもの出産について「茨城県では減らしていける方向になったらいい」と発言。社会から大きな批判を浴び、その後、謝罪、辞職するという事件が起こりました。障害のある子どもを生むか生まないかという議論そのものが、障害者本人や家族を傷つけるものである一方、ウートピには当事者家族から、
・障害のある弟のせいで苦しむ母を見てきたから。高校生になっても大便は漏らすし、わけのわからないことを叫んだりしている。母もストレスでヒステリック、離婚寸前。もし事前にわかるならこんな事は起こしちゃいけない。親の介護と弟の介護が私ひとりに勤まるのでしょうか
という意見も寄せられていました。
関連記事:妊娠中に子どもが障害児だとわかったら? 6割以上が「産まない」と回答
中絶への反対意見は?
中絶という選択肢を「ない」とした意見では、子どもの命は子どものものであり、生きる権利を親が奪うことはできない、とする声があがりました。
・産まないという選択肢は取れないと思う。お腹に宿ってしまった以上
・子どもの命は親のものじゃない。胎児だって同じ。生きる権利がある
・自分を選んで来てくれたから。中絶した後の後悔を思うと、一生自分を責めてしまう
中絶をめぐって、ウートピ世論では他にも「どんな理由でも罪」「産むのが正義、堕ろすのは人殺し、というのはあまりにも乱暴すぎる思考だと思う」「立派な医療行為です」など、さまざまな意見が交差しています。医療の発達に伴いバースコントロールが可能となった今、中絶の選択肢を考えることは避けて通れないものとなっていると言えそうです。
2016/01/04 ウートピ