白杖を高く上げると、日本では「助けて」の意思表示(世界非共通)。「誰も知りませんよね」と苦笑する加藤さんも、使う前は知らなかったという。
ブラジルと日本を比較して気付いたことについてIsao氏は「ブラジル人は障害者に対して、声をかけるなどして自分のできる範囲内で助けようとする人が多いこと」「公共交通機関が無料になること」と意見を述べた。
ブラジルの改善すべき1つの点についてIsao氏は「点字ブロックが適切に設置されていない」と話す。点字ブロックは2種類ある。移動の方向を示す『誘導ブロック(線状ブロック)』と、格子状の点が突起となっていて、注意喚起・警告を促す「警告ブロック(点状ブロック)。「サンパウロ市に設置されている誘導ブロックを歩いたところ、壁にぶつかったり、車道に出たりと、どういうわけか危険な方へと誘導されました」と苦笑した。
◆今後の予定
視野障害者の認知度を上げたいと願うIsao氏は、視野障害者にサンバ・カーニバルの参加を提案したいという。その理由について「バテリアとして練習すれば、カーニバルの参加資格を取得できる。また、バテリアには人数の上限が設けられていないため、人数が増えても規則的には問題ない」と話す。
視野障害者と打楽器奏者の相性についてIsao氏は「非常に良いと思う。スティックを使わない打楽器に関しては特に、視覚障害者の方が有利だと思います。なぜなら僕らは、物を認識する際に、目ではなく手で認識する機会が多い。例えば、僕ならかばんの中にしまった鍵を取り出す時は必ず手で物色しています。日常生活の中で、手の感覚を鍛えられているんです。スティックだって手で握りますしね」と説明した。
実際にバテリアとしてサンバ・チームで活動しているIsao氏は、「自分で参加してみて、初めてこの可能性に気が付いた。また他のサンバチームでは、車いすや義手を使うバテリアもいた。サンバは障害者にとって新しい活躍の場となると思う」と語気を強めた。
Isao Cato(本名は加藤勲)。現在はリオのサンバチーム「Monobloco」をはじめ、打楽器のみのチーム「IYA BATA」でも活動。ドラムとパーカッションのレッスンもしている。問い合わせは(メールisaocato@gmail.com)もしくはFacebook IsaoCatoまで。
白杖を高く上げると、日本では「助けて」の意思表示(世界非共通)。「誰も知りませんよね」と苦笑する加藤さんも、使う前は知らなかったという。
2016年1月19日 サンパウロ新聞