県は、二〇一四年度に県内市町村が把握した障害者への虐待についての調査結果を公表した。障害者が家族などの養護者や障害者福祉施設職員らから虐待を受けたという相談や通報は、前年度に比べ二十八件増の二百十四件で、このうち市町村が虐待と認定したのは十八件増の八十六件だった。
家族ら養護者による虐待についての相談・通報は十三件増の百六十五件、認定は十二件増の七十七件。施設従業員による虐待の相談・通報は十五件増の四十九件、認定は六件増の九件だった。
相談・通報や認定件数の増加について県障害者支援課の担当者は「(一二年十月に施行された)障害者虐待防止法で定められた発見者による通報の義務が普及してきたのではないか」と分析している。
養護者から受けた虐待では、身体的虐待が六十二件と最多で以下、心理的虐待二十一件、経済的虐待十一件、介護・世話の放棄十件、性的虐待三件だった。複数の虐待が重複するケースもあった。男女別では女性が57・5%を占めた。障害の種別(重複あり)では知的障害が五十人、精神障害者が十七人、身体障害者十六人だった。
一方、施設従業員からの虐待では、性的虐待が四件で最も多く、心理的虐待三件、身体的虐待二件と続いた。虐待を受けたのは女性七人、男性二人で知的障害者八人、身体障害者一人だった。
県は市町村の担当職員や施設の管理者・従業員向けに虐待防止を啓発するための研修を年一回実施。一四年度の受講者数は五百三十人だった。ただ、受講は任意のため、県は対象者数は把握していないとしている。
2016年1月27日 東京新聞