発達障害、早期発見・支援狙い
子どもの発達障害の早期の発見や支援を狙いに、県は5歳児健診の実施、普及への取り組みを強化する。幼稚園や保育所で集団生活を始める子どもが多いことから、発達障害と気付きやすい時期とされるが、今のところ県内で健診を実施している市町村はない。県は来年度、取り組みに意欲的な市町村を対象にモデル事業を実施し、健診用の問診票の作成や発達障害と診断された後の支援体制の構築などを目指す。
幼児の健診は、母子保健法で定められた3歳児健診の後、小学校入学前健診まで約3年間実施されない。発達障害は3歳児健診では見つかりにくく、入学前健診で初めて診断されることも多いという。その後、十分な支援を受けられないまま入学時期を迎え、入学後に問題を指摘されることもある。
このため、5歳児健診は、発達障害と診断された後、就学まで1年以上あることから、専門職による指導を受けたり、特別支援学級に入るかどうか検討したりするなどの十分な時間の確保につながると期待される。
これまでに行方市が5歳児全員を対象に健康相談を実施しているほか、笠間市が希望者を対象にした相談を受け付けているが、5歳児健診と位置付けて実施している市町村はない。
県は「幼児教育と学校教育を結ぶ中間点での健診として意義がある」とし、来年度、市町村での普及に向けたモデル事業を繰り広げる。既に健診実施に積極的な古河、取手など3市の担当者を含めたワーキングチームを設けて準備を進めている。
モデル事業は、健診内容の統一をはじめ、保健師や臨床心理士などの人材確保策、発見後の相談支援体制などについて検討する。
県子ども家庭課は「早期に発見できれば、より早く一人一人に寄り添った支援が可能になる。多くの市町村で無理なく実施できる体制づくりに努めたい」と説明している。
2016年1月8日 茨城新聞