豊橋市で活動する市聴覚障害者協会と豊橋手話通訳学習者の会が、災害時に健常者と意思疎通できるよう、避難所絵カードとコミュニケーション支援ボードを作った。昨年12月に学校、市民館、老人センターなど市内175の避難所に配布した。県内では先進的な取り組みで、独自に災害への備えを進めている。
◆絵カードと支援ボード配布
避難所絵カード |
避難所絵カードは「持病はありますか」「仮設トイレができました」など避難所の運営者が聴覚障害者に聞いたり伝えたりしたいことを記載。コミュニケーション支援ボードは「代わりに電話してほしい」など聴覚障害者自身が要望を伝えるために使う。ふり仮名や英訳も付け、外国人でも分かりやすいよう心掛けた。
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コミュニケーション支援ボード |
両会は東日本大震災を機に合同で被災地を視察し、勉強会を重ねた。一次避難所に指定された学区ごとの市民館七十カ所に避難予定の聴覚障害者と手話通訳学習者の人数をまとめた一覧表も七年ぶりに更新。聴覚障害者がいる避難所はうち三十四カ所で、七カ所には支援者がいないことが分かり、横浜市の取り組みなどを参考に絵カードを作った。
市内には八百八十人の聴覚障害者がいるが、把握できているのは協会に所属する百二十人だけ。若者を中心に組織離れが進んでいる。協会に入っていない人たちにも広めていくことが課題だ。
市聴覚障害者協会の浅倉基雄さん(72)は「被災地の視察で早く進めなければと思った。音声だけでは情報が届かない。絵カードを活用してほしい」と要望。手話通訳学習者の会の平松靖一郎会長(52)は「県内では、聴覚障害者自身が積極的に関わることで支援の環境が早く整った珍しい例。他の自治体の団体の手伝いもしていきたい」と話した。
両会は「聴覚障害者自主防災ガイドブック」も発行し、無料配布している。(問)豊橋市総合福祉センター(あいトピア)ボランティアセンター=0532(52)1111
コミュニケーション支援ボードを手に会話する平松靖一郎会長(左)と浅倉基雄さん=豊橋市前畑町の市総合福祉センターで
2016年1月21日 中日新聞