国民一人一人に割り当てられた12桁の番号(マイナンバー)を記した「通知カード」をめぐり、視覚障害者が「自分の番号が読めない」と困惑している。国が作った通知カードには、氏名や番号などが点字表記されていないためだ。県内では多くの自治体が希望者に点字シールを作成する準備をしているが、視覚障害者は「必要な人には点字にして配布するべきだった」と指摘する。
通知カードを同封して各世帯に郵送された封筒には、マイナンバーの書類であることを示す点字が施されている。しかし、通知カード自体に点字はない。スマートフォンなどで読み取って音声で番号を確認できる「音声コード」は印刷されているが、コードがどこにあるか示す点字もない。
こうした事態に国は、通知カードを一斉送付する前に国民一人一人に点字が必要かどうかの確認ができず、全ての通知カードに点字を入れれば多額の費用が生じると説明。このため「希望者に点字シールを配布するなどの対応を市町村に要請している」としている。
県内18市町村ではこれまでに、大分、中津、佐伯、津久見の4市が、希望者に点字シールを作って手渡した。別府、日田など12市町は、まだ問い合わせはないが、点字シールを作る態勢を整えたり、どういう対応が良いか検討している。
一方、杵築市は「点字のプリンターがないため対応できない」、姫島村は「点字利用者がいない」とした。
マイナンバーは今月から運用が始まり、身体障害者手帳の交付申請などの手続きでも必要になった。ある市の担当者は「今後、実際に番号を利用する機会が出てくれば、問い合わせが増えるのでは」とみる。
県によると、希望者に順次配布されるプラスチック製の「個人番号カード」は、氏名は点字表記が可能だが、番号の点字化には対応していない。このため、各自治体では通知カードと同様に点字シールを配るなどの対応を検討している。
※この記事は、1月23日大分合同新聞朝刊19ページに掲載されています。