大分市視覚障害者協会長で県点字図書館次長も務める木村幸二さん(60)=同市=は、視覚障害者に対するマイナンバー通知への行政の対応を「後手後手だ」と指摘する。
市内で視覚障害の身体障害者手帳を持っている人は1270人(昨年4月1日現在)。木村さんによると、このうち点字を使っている協会員は約80人いる。
市は12桁の番号を点字訳したシールを希望者に配布しており、市役所本庁の障害福祉課や各支所などで受け付けている。22日までに、7人に対応した。
だがシール配布には、点字表記に誤りがないか確認するため、本人が窓口を訪れる必要がある。木村さんは「市役所までわざわざ行かねばならないのがネック。タクシーやバス、もしくはヘルパーの力を借りて一緒に行くかだが、お金もかかる」とする。
書類に印刷された音声コードを利用して番号を知る方法もあるが、全ての視覚障害者が、スマートフォンや専用機器を使えるわけではない。
「自分の番号を知るには誰かに見てもらわなければならないが、ヘルパーや家族に番号を見せることに抵抗を感じる人もいるかもしれない」と木村さん。
行政には、点字利用者が集まりやすい場所で点字化を受け付けるなど積極的な対応を望んでいる。
※この記事は、1月23日大分合同新聞朝刊19ページに掲載されています。