考える障害者【ホーキング青山著、墨字】
普段は電動車いすで活動している身体障害者芸人の著者が、障害者への「偽善」と「建前」を痛烈に笑い、矛盾と盲点を鋭くつく。芸歴20年以上の著者が世の中に訴えたかったこと、それは「世間の障害者の捉え方ってなんかヘンじゃない?」。片方は、ヘレン・ケラーや山下清らのように、心は奇麗だとか、何らかの天才性を持っているといった捉え方。そしてもう片方は、表立って口にする人は少ないが、本音のベースでは確実にあるであろう「厄介者」という捉え方だ。しかし、障害者といっても同じ人間。この両極端しかいないというのは、あまりにもおかしいとつづる。また「『健常者と障害者の相互理解』と言いながら、いつも『健常者が障害者を理解すべき』という先方任せな思考に不満がある」とも語る。「24時間テレビ」「バリバラ」「乙武氏」「パラリンピック」「やまゆり園事件」などをテーマに、本音で書き尽くした障害者論。189ページ。税別720円。新潮社(03・3266・5111)。
2018年6月3日 毎日新聞