農業の生産現場で障害者が働く「農福連携」の取り組みが進んでいる。佐賀市のNPO法人「佐賀中部障がい者ふくしネット」は、昨年度から桜の苗木や切り花の生産を始めた。ネット理事長の江頭邦子さん(68)は「障害者の収入はまだまだ低く、農業でもお金が得られるようになれば社会参加につながる。農福連携を根付かせたい」と期待を寄せる。
佐賀市の花に指定されている桜の生産は、市からの提案で昨年6月に着手した。今は市内の農地で約1300本の苗木などを栽培し、障害者らが水や肥料を与え、丹精して育てている。今年度は更に数千本を増やす計画という。
桜は「啓翁桜(けいおうざくら)」と呼ばれる早咲きの品種で、切り花は新春の生け花用に人気が高いという。また、今年3月18日に市内で開かれた「さが桜マラソン」では、開花時期を調整して満開となった鉢植えが、大会会場に彩りを添えた。
市障がい福祉課によると、市内の障害者の工賃(賃金)は月平均が1万8000円程度で国・県が定める月3万円の目標を下回っている。市は桜の栽培を後押しするため、8日開会の6月定例市議会に障害者の就労支援事業として439万円を一般会計から支出する補正予算案を提案する。
記者会見で秀島敏行市長は「障害者の賃金アップにつなげる願いを込めた」と説明した。
毎日新聞 2018年6月7日