第92回日本生理学会大会が第120回日本解剖学会総会・全国学術集会との合同学会として、今日から23日(月)までの3日間、神戸国際会議場・展示場を会場として開催されます。基礎医学の両学会が合同で開催する学会は、2011年にも計画されていましたが、震災のため誌上開催となりましたので、実際に1つの会場に一堂に会するのは初めて?でしょうか。今年は宇宙飛行士の古川さんもシンポジストとして講演しますので、宇宙生理学関係のシンポジウムが3つもあります。
発酵乳製品の一種であるカマンベールチーズを摂取することで、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβの脳内沈着が抑制されるという研究結果がPLoS ONEに掲載されたそうです(財経新聞)。高齢者の増加に伴い、認知症が大きな社会問題となっているのは言うまでもありません。これまでに、チーズ等の発酵乳製品を摂取することで認知機能の低下が予防されるという疫学的な報告はあったそうです、その詳細なメカニズムは明らかでなかったそうです。今回の研究では、市販のカマンベールチーズの脂肪成分を除いた被験食を調製し、アルツハイマー病自然発症モデルマウスに3カ月間被験食を与える実験を行い、アルツハイマー病の原因物質アミロイドβの量が有意に低下していることが分かったというもの。また、カマンベールチーズなど白カビで発行させた製品が、脳内でアミロイドβの除去や免疫機構を担っているミクログリアという細胞を最も強く促進することが判明したとも。さらに、この発酵によって生じる成分をガスクロマトグラフィー質量分析計により分析したところ、オレイン酸アミドおよびデヒドロエルゴステロールを有効成分として同定することに成功したそうです。
昨日、豊橋創造大学・豊橋創造大学大学院の学位授与式が挙行されました。当研究室所属の大学院生も無事に修了し、学位記「修士(健康科学)」が授与されました。学生や大学院生時代は、大学の保護、別の言い方をすると教員の指導の下に全ての事が行われます。つまり、ある意味責任がないと言えるかもしれません。しかし、卒業あるいは修了すると、これからは本人が行ったことは本人が責任を負うことになります。また、ある先生の話で、私も共感したことは、大学や大学院での生活では、学生・大学院生は教員に魔法をかけられているのです。その魔法は、やる気を生んだり、将来に対する夢を見せたりしています。しかし、その魔法は学位を授与されると解かれてしまいます。これからが勝負です。現実をしっかりと見つめ、情報を収集して分析し、その上で自分で判断して最良の言動をすることが求められます。頑張ってほしいものです。
パリのエッフェル塔で行われている1階部分の改修工事の一環で、垂直軸部分に風力発電のタービン2基が設置されたそうです(AFPBB NEWS)。タービン2基は高さ7メートル、幅3メートルで、地上127メートルの2階に設置。年間発電量は1万キロワット時で、1階のギフトショップの電力需要に十分対応できる水準だそうです。エッフェル塔の環境への配慮は風力発電にとどまらず、今回の改修工事で強い日差しを避けられる形に窓の位置を調整。この結果、夏場に太陽光の熱が25%カットされ、エアコンの電力使用量を抑制できると見込まれているそうです。また、1階の照明に電力使用効率の高いLEDライトを全面採用。ソーラーパネルも設置し、水洗トイレ用には雨水回収システムを導入。環境への配慮ということですね。
尿のなかにあるエネルギーを解放して発電するトイレが開発されたそうです(AFPBB NEWS)。この発電トイレは、University of the West of Englandの学生と職員らに使用してもらうことを目的に試作品がキャンパス内に設置されているそうです。安定した電力源となることが確認できれば、難民キャンプなどの施設で、電気と照明をコンスタントに提供できるようになるのではと期待されるようです。装置1台を製作・設置して「永続的な」電力源を提供するためにかかる費用は、最終的に600ポンド(約11万円)前後になる可能性があるとも。
AIDS(エイズ、後天性免疫不全症候群)を引き起こすHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の数グループの株のうち、これまで起源が判明していなかった2つのグループが、カメルーン南西部のゴリラに由来することが明らかになったそうです(AFPBB NEWS)。これでAIDSの流行の主要な原因となっている4グループのHIV株について、すべて起源が判明したことになるそうです。HIVの中で最も広まっているのはHIV-1グループMで、4000万人以上に及んでいる世界のHIV感染の中で最も多いそうです。一方、今回ゴリラ由来であることが分かったグループPへの感染がこれまでに確認されているのは世界でわずか2人、グループOはアフリカ中部・西部で約10万人が確認されているそうです。
コーヒーを1日に3杯~5杯飲むことで、重度の心臓病を引き起こす恐れがある動脈血栓リスクが減少する可能性があるとの研究論文がHeartに掲載されたそうです(AFPBB NEWS)。今回の研究で、健康診断を定期的に受診している平均年齢41歳の韓国人男性と女性2万5100人分のデータを分析。研究対象グループに心血管疾患を抱える人はいなかったそうですが、冠動脈カルシウムのレベルでは7人に1人が検出下限値以上だったそうです。これは、冠状動脈性心臓病やアテローム性動脈硬化症の初期徴候とされ、アテローム性動脈硬化症は、プラークと呼ばれるろう様の化合物が動脈壁の内側に蓄積し、血流を制限して危険な血栓形成を潜在的に誘発するとされています。分析の結果、コーヒーの1日の摂取量が1杯未満または6杯以上のグループで、冠動脈カルシウムのレベルが最も高いことを確認。冠動脈カルシウムが最も低かったのは、1日摂取量が3~5杯のグループだったというのです。ちなみに、コーヒーカップの大きさについては不明のようです。
人や動物にある「まつげ」。まつげのある理由、考えたことがなかったですが、このことに関するニュース(AFPBB NEWS)を紹介します。これまでの仮説には、目の中に入りそうなものを捉えて集める機能があるとした説や、猫の頬にあるひげのような働きをするセンサーとして、風で運ばれる砂粒などの危険を目に知らせているとした説、そして表情を豊かにしてコミュニケーションや性的魅力のための目の影響力を高めるためにあると示唆する説などがあったそうです。Journal of the Royal Society Interfaceに発表された論文によると、空気中に浮遊する微粒子、細菌、ウイルス、ダニなどから目を保護するために、まつげは目の周囲の気流の向きを変えているのだというのです。また別の働きとして、眼球表面の保護膜が乾燥することを防ぐ効果も。まつげの長さは22種の哺乳類すべてで、目の幅の約3分の1であるそうです。これは、視界をさえぎることなく、目に当たる気流を最小限に抑えるために最適化された長さになっているそうです。ほこりの多い乾燥した環境に対処するため、まつげが多層状になっているキリンなどの動物種の場合にも、この規則は当てはまっていたとも。したがって、まつげが少ない人ほど、いわゆるドライアイに起因する目の感染症にかかるリスクが高くなるとの医学的所見の裏付けとなるそうです。また、アレルギーのある子どもは、そうでない子どもに比べ、まつげが約10%長く濃いことが判明しているそうです。これは、まぶたにある特殊な細胞が刺激物に反応し、目を保護する毛の成長を促す「プロスタグランジン」と呼ばれる化合物を放出するためだというのです。
世界で10億人を超える若者が、大音量の音楽を聞くことによって難聴になる恐れに直面していると、世界保健機関(World Health Organization、WHO)が警鐘を鳴らしたそうです(AFPBB NEWS)。WHOが先月27日に発表した試算によると、中・高所得国の12~35歳のおよそ半数が、聴覚を損なう恐れのある音量で携帯音楽プレーヤーやスマートフォンを利用していたそうです。また、40%がコンサート会場やナイトクラブで危険なレベルの大音量にさらされていたとも。WHOでは、85dBを超える音量では8時間、100dB超なら15分で、耳の機能を損傷する危険があると指摘。難聴にならないためには、携帯音楽プレーヤーの音量を下げ、利用時間を1日1時間までに減らすべきだと勧めているそうです。愛好家にとっては、耳が痛い話ですね。
生体工学を用いて製作した人工義手「バイオニック・ハンド」(筋電義手)で思考制御型のものが開発したそうです(AFPBB NEWS)。Lancetに発表された論文によれば、生体移植とほぼ同様な機能を回復しつつ、拒否反応の危険がないそうです。オーストリア人の患者3人は自動車事故または登山事故により、脊椎から上肢へとつながる神経「腕神経叢」に損傷を受け、2011年4月~14年5月の間に革新的なロボット義手手術を受けたそうです。手術前は、手が神経信号から不可逆的に切り離された状態だったが、手術後には3人とも「事故以来、初めてボールを拾う、水差しから水を注ぐ、鍵を使う、ナイフで食べ物を切る、両手でボタンをはずすといった日常のさまざまな動作を完全にこなすことができた」というもの。今回の研究の主成果は、神経信号によって、筋肉内の電気的刺激に反応するセンサーを付けた義手への刺激を可能にしたことだそうです。