患者さんへの手術の説明で、全身麻酔をして意識がなくなったあと、目が覚めないままになることはないのか?
全身麻酔を受ける患者さんの不安の中で、おそらく最も大きい不安はこれではないでしょうか?
完全にドラマの影響かもしれませんが、昔、渡辺淳一の小説「麻酔」がドラマ化され話題を呼びました。子宮筋腫のための全身麻酔の術後、目が覚めない状況が持続する、というようなないようだったと思います。検索すると麻酔のミス、と記載がありましたが、当時ドラマを見ていた自分としては、麻酔科もしれないけど具体的な原因は不明だったような気がします。小説を読んで確認してみないと。
もし全身麻酔のあと、目が覚めないことがあるとすると、これはやはり脳梗塞を発症した可能性がもっとも考えられます。心臓手術で脳梗塞を起こす可能性は、1~3%くらいでしょうか。その患者さんや手術内容によってそのリスクは変わりますが、心臓手術は、全身麻酔手術の中でも脳梗塞の発症頻度が高い手術といえます。というのも
① 心臓を一度止めて、拍動流がなくなり人工心肺からの送血による層流の血流になること
② 動脈硬化が進行した患者さんを手術することが多いこと
③ 脳に血流を送る血管の上流の血管を遮断したり吻合したりの操作が多い
④ 人工心肺からの送血や心停止、開心操作で血流に空気が混入する可能性があること
などがあります。
これら脳梗塞の要因になるリスクを少しでも低くするためにあらゆる工夫や努力が行われています。
しかしながら基本的に、麻酔薬のせいだけで目が覚めないことはまずありません。
麻酔のトラブルとして、もし目が覚めないとすると、気道のトラブルの可能性があります。人工呼吸器で呼吸させるはずが気道確保が適切にされておらず、十分な酸素供給、呼吸がされず、低酸素脳症となってしまう可能性などがありえます。現在のモニターがたくさん装着された状態で行う手術では非常に起こりにくいといえます。昔起こったものとしては、手術室の配管が酸素と窒素が間違って建設されており、酸素と思ってつないだものが酸素が供給されていなかった、などということもニュースで見たことがあります。あり得ないような話が実際に起こることもありますが、確かにゼロとはいえません。
しかしながら、通常は、麻酔薬が時間で代謝されて体内から消失すると必ずその効果が消失して覚醒することになりますのでご安心ください、と、通常は説明しています。
実際に脳梗塞などの脳のダメージがあったと認定されるようなことがない患者さんで、目が覚めないということは、ここ20年以上担当していて見たことはありません。
全身麻酔を受ける患者さんの不安の中で、おそらく最も大きい不安はこれではないでしょうか?
完全にドラマの影響かもしれませんが、昔、渡辺淳一の小説「麻酔」がドラマ化され話題を呼びました。子宮筋腫のための全身麻酔の術後、目が覚めない状況が持続する、というようなないようだったと思います。検索すると麻酔のミス、と記載がありましたが、当時ドラマを見ていた自分としては、麻酔科もしれないけど具体的な原因は不明だったような気がします。小説を読んで確認してみないと。
もし全身麻酔のあと、目が覚めないことがあるとすると、これはやはり脳梗塞を発症した可能性がもっとも考えられます。心臓手術で脳梗塞を起こす可能性は、1~3%くらいでしょうか。その患者さんや手術内容によってそのリスクは変わりますが、心臓手術は、全身麻酔手術の中でも脳梗塞の発症頻度が高い手術といえます。というのも
① 心臓を一度止めて、拍動流がなくなり人工心肺からの送血による層流の血流になること
② 動脈硬化が進行した患者さんを手術することが多いこと
③ 脳に血流を送る血管の上流の血管を遮断したり吻合したりの操作が多い
④ 人工心肺からの送血や心停止、開心操作で血流に空気が混入する可能性があること
などがあります。
これら脳梗塞の要因になるリスクを少しでも低くするためにあらゆる工夫や努力が行われています。
しかしながら基本的に、麻酔薬のせいだけで目が覚めないことはまずありません。
麻酔のトラブルとして、もし目が覚めないとすると、気道のトラブルの可能性があります。人工呼吸器で呼吸させるはずが気道確保が適切にされておらず、十分な酸素供給、呼吸がされず、低酸素脳症となってしまう可能性などがありえます。現在のモニターがたくさん装着された状態で行う手術では非常に起こりにくいといえます。昔起こったものとしては、手術室の配管が酸素と窒素が間違って建設されており、酸素と思ってつないだものが酸素が供給されていなかった、などということもニュースで見たことがあります。あり得ないような話が実際に起こることもありますが、確かにゼロとはいえません。
しかしながら、通常は、麻酔薬が時間で代謝されて体内から消失すると必ずその効果が消失して覚醒することになりますのでご安心ください、と、通常は説明しています。
実際に脳梗塞などの脳のダメージがあったと認定されるようなことがない患者さんで、目が覚めないということは、ここ20年以上担当していて見たことはありません。
70歳女性4〜5年前に大動脈解離の手術済。
2020.6.23 動脈硬化が思ってたより進んでいたと言われた母が、入院を前倒しすると言われたまま、そのまま予定通りに入院し、手術。
その後、心臓に血栓があり(?)キレイにしましたと、24日朝事後報告がありました。
その後26日までほぼ目を開ける事をせず、7/2現在も目だけ開く。
その他の反応はできない状況です。
一生このままなのだろうか…心配です。
検索しているうちに、このページに辿り向きました。
ご意見いただけると幸いです。
先日、身近な人が亡くなりました。60代の男性です。
息が苦しいと訴えて受診したところ、肺に水が溜まっており、酸素の数値も悪いとのこと。
入院して治療を行うことになりました。
水は少しずつ抜けていきましたが、酸素量は上がらず人工呼吸器をつけることになりました。
呼吸器をつけ、2日目あたりでそろそろ呼吸器も抜けるだろうと医師から説明がありました。
麻酔の投与をやめましたが、瞼を開くだけで意識の回復はありませんでした。
夜になり、また麻酔を投与し、翌朝同じように投与をやめましたが、意識は戻りません。
そのうち40度近い熱を出し、あれよあれよという間に血圧も下がり旅立ってしまいました。
入院して10日ほどでした。
内臓や脳には意識が戻らないような異常はなく、
死因は悪性症候群との医師の見解でした。
素人としては、内臓や脳に問題がないのに
なぜ意識が戻らないのか不思議でなりません。
担当医師に任せきりでしたが、
何か手が打てなかったものかと、悔いております。
他の医師の方の見解を伺って、少しでも納得できたらと思うのですが…
宜しくお願いします。
今回の患者さんに関しては、もともと人工呼吸器が必要な重症であったことは間違いないと思います。感染症が否定されたのであれば、悪性症候群の可能性はあると思います。人工呼吸管理中は通常、苦痛を和らげるために鎮静剤や麻酔薬を使用するので、これらの薬剤が原因で悪性症候群を起こしたとも考えられます。疑った時点でのダントロレン投与が推奨されますが、投与しても自分の少ない経験では残念ながら救命できるとは言えないと思います。確定診断には、昔の知識ですが、筋生検が必要です。今回の場合は、病理解剖で診断できるかどうかだと思います。組織を診断できる施設に送って調べてもらうという方法もあると思います。
あまり詳しくなくて申し訳ありません。
最近の知見についても、自分でも勉強してみようと思います。
担当医がお若い先生でしたので、経験のある先生であれば何とか救えたのかもしれない…などとも考えてしまいましたが、コメントを拝読して、悪性高熱・悪性症候群の診断・治療がかなり難しいものであることがよく分かりました。
この病気で亡くなる人は少ないのでしょうね…
人工呼吸器についてというよりも、悪性症候群についても調べるべきでした。
専門外でありますのに、ご丁寧に回答くださってとても嬉しかったです。