今回は「ある閉ざされた雪の山荘で」です。
人気作家・東野圭吾が1992年に発表した同名ベストセラー小説を、「禁じられた遊び」の重岡大毅主演で映画化したサスペンスミステリー。
オーディション参加者の中で1人だけ別の劇団に所属する久我和幸を重岡が熱演し、中条あやみ、岡山天音、西野七瀬、堀田真由、戸塚純貴、森川葵、間宮祥太朗が同じ劇団に所属する個性豊かな役者たちを演じる。監督は「荒川アンダーザブリッジ THE MOVIE」の飯塚健。
主演:重岡大毅
共演:中条あやみ、岡山天音、西野七瀬、堀田真由、戸塚純貴、森川葵、間宮祥太朗
<ストーリー>
劇団に所属する7人の役者のもとに、新作舞台の主演の座を争う最終オーディションへの招待状が届く。オーディションは4日間の合宿で行われ、参加者たちは「大雪で閉ざされた山荘」という架空のシチュエーションで起こる連続殺人事件のシナリオを演じることに。しかし出口のない密室で1人また1人と参加者が消えていき、彼らは互いに疑心暗鬼に陥っていく。
見終わってからの感想は、一言で言うと・・・しょうもな!
まるで、舞台での下手クソな三文芝居を見せられているような感じ。
そして、時間が経つにつれて、だんだん腹が立ってきた。
「ウソだろ」というわけである。
結論から言うと、評価は実に久しぶりですが「E」にします。
原作は読んでいないけど、もし原作通りなら東野圭吾はクソだし、原作を改変したのであれば監督がクソです。
ということで、ここからはネタバレ全開でいきます。(でないと、いったい何に腹を立てているのかわからないと思うので)
まず、サスペンスミステリーとありますが、実は殺人事件は一切起こりません。
そもそも「オーディション」という設定もウソで、これは本多(間宮祥太朗)が、交通事故で下半身不随となった麻倉(森川葵)と組んで、わざわざこのような舞台を作り出したのです。
(以下、箇条書き)
・麻倉が下半身不随となったのは、あるオーディションに落ちたことで「役者をやめる」と言って実家に帰ってしまったのを、同じ劇団の元村(西野七瀬)・笠原(堀田真由)・雨宮(戸塚純貴)の3名が激励に行ったところ、もともと役をもらうためには人を蹴落とすことも厭わない笠原がつい余計なことを言って麻倉と口論になり、けんか別れしてしまいます。
・その帰りに、雨宮から「あんな言い方はないだろう、後で謝っとけよ」と言われた笠原が、麻倉に電話する際、なぜか「今、雨宮が事故に遭った」とウソをつきます。
・それで動揺した麻倉は、呆然としているところを車(軽トラ?)に轢かれてしまいます。
・その事故のせいで下半身不随となった麻倉は、3人を恨むようにになり、やがて殺意を抱き、それをびっしりとノートに書き綴ります。
・それを見た本多が「よしわかった、オレがお前に代わって復讐してやる」と持ち掛け、劇団員に脚本家の名前を使ってニセの手紙を出し、都会から離れたところにある別荘に集めます。
・そして、オーディションと称して、「建物内で事件が発生するので犯人を捜せ」と皆に伝えます。
・そこには隠しカメラを仕掛け、麻倉がマジックミラーのある隠し部屋に潜んで、復讐する様子が見られるようになっています。
・ところが、実は本多は元村・笠原・雨宮には事前に事情を話しており、麻倉に対してウソの復讐劇を演じることにしていました。
・そして、本多の計画通り笠原・元村・雨宮の順で建物からいなくなるのですが、あらかじめ示し合わせていることなので、殺しが行われているかのような演技が行われ、他の団員である中西(中条あやみ)と田所(岡山天音)は、このことを知らないので、もしかして実際に殺人が行われているかのように恐怖を感じてしまいます。
・ところが、劇団員ではない久我(重岡大毅)が、まじめに犯人捜しをしていたため、雨宮がいなくなった晩に中西・田所と同じ部屋で夜を過ごすことでアリバイを確保し、その時一緒でなかった本多が怪しいということで、4日目の朝「犯人はあなただ」と名指しします。
・しかも、久我は元村がいなくなったその前の晩には本多と一緒に部屋にいたことから、元村の件については本多が犯人であることはありえず、「誰か共犯者がいるはず」ということで、2階に潜んでいた麻倉に「出てこい」と言い、本多と雨宮の仕組んだお芝居であることを指摘します。
・ところが、久我はさらに「皆さんも出てきてください」と言ったところ、殺されたはずの3人が出てきて、実は生きていたことが判明します。
・そして、3人は麻倉に「すまなかった」と謝ります。
・それを見た麻倉が「だましたのね」と半狂乱になり、ナイフを取り出して自ら命を絶とうとしたところ、本多がそれを阻止して「一緒に生きよう」と言います。
・それを聞いた麻倉は「そうね、できる役は限られているかも知れないけど、私も頑張るわ」と思い直します。
・そしてエンディングでは、車いすに乗った麻倉とともに、別荘に集まった全員が舞台で芝居をしているシーンが流れ、終わった後のカーテンコールのところで終わり。
う~ん、書いていても「何じゃ、このシナリオは」と思うほど、わけのわからないストーリーです。
要は、劇団員の心無いウソのせいで交通事故に遭った麻倉と、これに同情した本多が復讐を持ちかけて別荘でのオーディション芝居を仕掛けたものの、実は仕掛けられたのは麻倉の方で、本多は他の3人と仕組んで復讐芝居をわざわざ麻倉に見せつけるわけです。
これ、麻倉としてはどんな気持ちになるのか、考えてみてわからんか?
「代わりに復讐してやる」と言われたのに、実際には3人と結託してウソの芝居を見せられたわけですから、間違いなく「私を騙したのね」と逆上する、と思うわけですよ。
実際、半狂乱になってますし。
これで「わかったわ」となる、と考えている人の頭の中が理解できません。
となると、本多はいったい何をやりたかったのでしょう。
麻倉にドッキリを仕掛けておちょくりたかったの?
麻倉の気持ちを前向きにしたかったのであれば、何で「復讐してやる」とか持ち掛けたの?
3人を殺した、という場面を一度でも見たら、それで気分か落ち着くと考えたの?
劇中でも、麻倉は「警察に通報されたってかまわない。それぐらいの覚悟はある」と言っている。
つまり、それでも「こいつらを殺してやりたい」と思っていたわけである。
それがウソだとバレた時に「な~んだ、ドッキリじゃん」で済むとでも思ったのだろうか。
本多はアホなの?
だいたい、麻倉にしても、自分が交通事故に遭ったのは、自分自身の不注意のせいだし、仮にウソの電話に動揺したとしても、恨む相手は笠原だけじゃないの?
特に雨宮は、笠原に対して「麻倉に謝れ!」と言っているので、少なくとも交通事故に関して責任はないはず。
それなのに、ノートに「殺してやる」と書き綴るなんて、麻倉もイカれているとしか言いようがない。
というか、久我が「アンタが犯人だ」と指摘しなかったら、本多はいったいどうするつもりだったの?
久我が指摘する直前、本多は「じゃあ、帰って犯人は誰か考えるか」と言っていた。
ということは、麻倉に本当のことを知らせようとはせず、そのまま解散しようとしていた、ということになる。
いくら麻倉に黙っていたとしても、3人がその後劇団に出演したらすぐにバレる。
麻倉に事実を伝えるとしたら、いつどういうタイミングで言うつもりだったの?
時間が経てば経つほど、騙されたことに対して麻倉の仰天度合いは想像もつかないほどになるだろうに。
それに、笠原という女は、友達でも平気で裏切るし、ちょっと言われるとカッとなってすぐに言い返すほどのクソ女だ。
こんな女が、本気で麻倉に謝るなどということは考えられない。
本多からの提案に対して、普通なら「どうしてそんなことしなきゃならないのよ」と断ってもおかしくはない。
最後だけいい子になっているものだから、ここのところは違和感しかない。
さらに本多は、茶番劇をするのにどうして久我なんか呼び出したの?
ここも、別の意味でまったく理解できないところだ。
同じ劇団でもない第三者を呼ぶことで、どんな不測の事態が起きるかわからない。
それとも、あえてバレるように仕掛けをして、その探偵役を久我にさせるように仕向けたのか?
でも、とてもそんな風な演出にも見えなかったし。
とにかくムチャクチャな脚本としか言いようがない。
いったいどうやったら、こんなアホなストーリーを思いついたの?
以上が基本的なストーリーに対するツッコミだけど、それ以外にもツッコミどころが、そこかしこにあった。
まず、冒頭で同じ劇団に所属する6人がバスで移動する場面が出てるのだけど、全員目隠しをしていた。
しかも、主催者が手配したバスではなく、何のことはないただの路線バス。
そして、バス停に来ると「そろそろいいんじゃない?」と言って目隠しを取るのだが、どこに降りたのかわかるのに、何で目隠しなんかしたの?
そして、貸別荘には、すでに劇団員ではない久我がいたのだけど、彼だけなぜ単独で来たの?
というか、本多はなぜ久我だけ先に行かせたの?
結局のところ、このあたりの「伏線?」と思われる部分が、まったく回収されていないのである。
細かいところでいうと、途中で死体なんかどこにもないことを知らない田所が、裏庭に井戸を覗き込んで吐くシーンがある。
これみよがしに笠原が来ていた服の切れ端(?)が井戸のフタの部分についていたのだけど、井戸の中には当然何もないのに、何で吐いたの? こいつはいったい何を見た(つもり)なの?
これなどは鑑賞者に対する意味のないミスリードでしかない。
だいたい、別荘に潜んでいた麻倉って、3日間ずっと鏡部屋にいたの?
また、殺される役を演じた3人は、いなくなった後いったいどこにいたの?
特に、最初にいなくなった笠原は、最終日まで隠れる部屋なんかなかったはず。
さらに、最後に登場人物全員で舞台をやっているシーンが出てくるが、この舞台の脚本はいったい誰が作ったの?
今回、劇団で大きな影響力を持つ脚本家の東郷という人は、本多の仕掛けには一切関知していない。
仮に自分たちだけで作り上げたのだとしても、舞台に半身不随の麻倉や、劇団員でもない久我が出ていることに、東郷は「何でお前が」としか思わないだろう。
などなど登場人物のキャラ設定が壊滅的におかしい上に、展開がまったく支離滅裂で、見終わった瞬間は「はあ?」という感じだったけど、帰ってきてからいろいろと思い出してくると、だんだん腹が立ってきて、他の人のレビューも見るうちに、とうとう頭の中が爆発してしまいました。
何だか、別の意味で原作を読んでみたくなりました。
(追記)どうやら、原作がそうなっているみたい・・・でした。
なお、評価「E」にしたのは、「模倣犯」「サンダーバード」「2046」「サウンド・オブ・サンダー」「ジダン 神が愛した男」「オーストラリア」「座頭市 THE Last」以来で、実に13年ぶりです。
人気作家・東野圭吾が1992年に発表した同名ベストセラー小説を、「禁じられた遊び」の重岡大毅主演で映画化したサスペンスミステリー。
オーディション参加者の中で1人だけ別の劇団に所属する久我和幸を重岡が熱演し、中条あやみ、岡山天音、西野七瀬、堀田真由、戸塚純貴、森川葵、間宮祥太朗が同じ劇団に所属する個性豊かな役者たちを演じる。監督は「荒川アンダーザブリッジ THE MOVIE」の飯塚健。
主演:重岡大毅
共演:中条あやみ、岡山天音、西野七瀬、堀田真由、戸塚純貴、森川葵、間宮祥太朗
<ストーリー>
劇団に所属する7人の役者のもとに、新作舞台の主演の座を争う最終オーディションへの招待状が届く。オーディションは4日間の合宿で行われ、参加者たちは「大雪で閉ざされた山荘」という架空のシチュエーションで起こる連続殺人事件のシナリオを演じることに。しかし出口のない密室で1人また1人と参加者が消えていき、彼らは互いに疑心暗鬼に陥っていく。
見終わってからの感想は、一言で言うと・・・しょうもな!
まるで、舞台での下手クソな三文芝居を見せられているような感じ。
そして、時間が経つにつれて、だんだん腹が立ってきた。
「ウソだろ」というわけである。
結論から言うと、評価は実に久しぶりですが「E」にします。
原作は読んでいないけど、もし原作通りなら東野圭吾はクソだし、原作を改変したのであれば監督がクソです。
ということで、ここからはネタバレ全開でいきます。(でないと、いったい何に腹を立てているのかわからないと思うので)
まず、サスペンスミステリーとありますが、実は殺人事件は一切起こりません。
そもそも「オーディション」という設定もウソで、これは本多(間宮祥太朗)が、交通事故で下半身不随となった麻倉(森川葵)と組んで、わざわざこのような舞台を作り出したのです。
(以下、箇条書き)
・麻倉が下半身不随となったのは、あるオーディションに落ちたことで「役者をやめる」と言って実家に帰ってしまったのを、同じ劇団の元村(西野七瀬)・笠原(堀田真由)・雨宮(戸塚純貴)の3名が激励に行ったところ、もともと役をもらうためには人を蹴落とすことも厭わない笠原がつい余計なことを言って麻倉と口論になり、けんか別れしてしまいます。
・その帰りに、雨宮から「あんな言い方はないだろう、後で謝っとけよ」と言われた笠原が、麻倉に電話する際、なぜか「今、雨宮が事故に遭った」とウソをつきます。
・それで動揺した麻倉は、呆然としているところを車(軽トラ?)に轢かれてしまいます。
・その事故のせいで下半身不随となった麻倉は、3人を恨むようにになり、やがて殺意を抱き、それをびっしりとノートに書き綴ります。
・それを見た本多が「よしわかった、オレがお前に代わって復讐してやる」と持ち掛け、劇団員に脚本家の名前を使ってニセの手紙を出し、都会から離れたところにある別荘に集めます。
・そして、オーディションと称して、「建物内で事件が発生するので犯人を捜せ」と皆に伝えます。
・そこには隠しカメラを仕掛け、麻倉がマジックミラーのある隠し部屋に潜んで、復讐する様子が見られるようになっています。
・ところが、実は本多は元村・笠原・雨宮には事前に事情を話しており、麻倉に対してウソの復讐劇を演じることにしていました。
・そして、本多の計画通り笠原・元村・雨宮の順で建物からいなくなるのですが、あらかじめ示し合わせていることなので、殺しが行われているかのような演技が行われ、他の団員である中西(中条あやみ)と田所(岡山天音)は、このことを知らないので、もしかして実際に殺人が行われているかのように恐怖を感じてしまいます。
・ところが、劇団員ではない久我(重岡大毅)が、まじめに犯人捜しをしていたため、雨宮がいなくなった晩に中西・田所と同じ部屋で夜を過ごすことでアリバイを確保し、その時一緒でなかった本多が怪しいということで、4日目の朝「犯人はあなただ」と名指しします。
・しかも、久我は元村がいなくなったその前の晩には本多と一緒に部屋にいたことから、元村の件については本多が犯人であることはありえず、「誰か共犯者がいるはず」ということで、2階に潜んでいた麻倉に「出てこい」と言い、本多と雨宮の仕組んだお芝居であることを指摘します。
・ところが、久我はさらに「皆さんも出てきてください」と言ったところ、殺されたはずの3人が出てきて、実は生きていたことが判明します。
・そして、3人は麻倉に「すまなかった」と謝ります。
・それを見た麻倉が「だましたのね」と半狂乱になり、ナイフを取り出して自ら命を絶とうとしたところ、本多がそれを阻止して「一緒に生きよう」と言います。
・それを聞いた麻倉は「そうね、できる役は限られているかも知れないけど、私も頑張るわ」と思い直します。
・そしてエンディングでは、車いすに乗った麻倉とともに、別荘に集まった全員が舞台で芝居をしているシーンが流れ、終わった後のカーテンコールのところで終わり。
う~ん、書いていても「何じゃ、このシナリオは」と思うほど、わけのわからないストーリーです。
要は、劇団員の心無いウソのせいで交通事故に遭った麻倉と、これに同情した本多が復讐を持ちかけて別荘でのオーディション芝居を仕掛けたものの、実は仕掛けられたのは麻倉の方で、本多は他の3人と仕組んで復讐芝居をわざわざ麻倉に見せつけるわけです。
これ、麻倉としてはどんな気持ちになるのか、考えてみてわからんか?
「代わりに復讐してやる」と言われたのに、実際には3人と結託してウソの芝居を見せられたわけですから、間違いなく「私を騙したのね」と逆上する、と思うわけですよ。
実際、半狂乱になってますし。
これで「わかったわ」となる、と考えている人の頭の中が理解できません。
となると、本多はいったい何をやりたかったのでしょう。
麻倉にドッキリを仕掛けておちょくりたかったの?
麻倉の気持ちを前向きにしたかったのであれば、何で「復讐してやる」とか持ち掛けたの?
3人を殺した、という場面を一度でも見たら、それで気分か落ち着くと考えたの?
劇中でも、麻倉は「警察に通報されたってかまわない。それぐらいの覚悟はある」と言っている。
つまり、それでも「こいつらを殺してやりたい」と思っていたわけである。
それがウソだとバレた時に「な~んだ、ドッキリじゃん」で済むとでも思ったのだろうか。
本多はアホなの?
だいたい、麻倉にしても、自分が交通事故に遭ったのは、自分自身の不注意のせいだし、仮にウソの電話に動揺したとしても、恨む相手は笠原だけじゃないの?
特に雨宮は、笠原に対して「麻倉に謝れ!」と言っているので、少なくとも交通事故に関して責任はないはず。
それなのに、ノートに「殺してやる」と書き綴るなんて、麻倉もイカれているとしか言いようがない。
というか、久我が「アンタが犯人だ」と指摘しなかったら、本多はいったいどうするつもりだったの?
久我が指摘する直前、本多は「じゃあ、帰って犯人は誰か考えるか」と言っていた。
ということは、麻倉に本当のことを知らせようとはせず、そのまま解散しようとしていた、ということになる。
いくら麻倉に黙っていたとしても、3人がその後劇団に出演したらすぐにバレる。
麻倉に事実を伝えるとしたら、いつどういうタイミングで言うつもりだったの?
時間が経てば経つほど、騙されたことに対して麻倉の仰天度合いは想像もつかないほどになるだろうに。
それに、笠原という女は、友達でも平気で裏切るし、ちょっと言われるとカッとなってすぐに言い返すほどのクソ女だ。
こんな女が、本気で麻倉に謝るなどということは考えられない。
本多からの提案に対して、普通なら「どうしてそんなことしなきゃならないのよ」と断ってもおかしくはない。
最後だけいい子になっているものだから、ここのところは違和感しかない。
さらに本多は、茶番劇をするのにどうして久我なんか呼び出したの?
ここも、別の意味でまったく理解できないところだ。
同じ劇団でもない第三者を呼ぶことで、どんな不測の事態が起きるかわからない。
それとも、あえてバレるように仕掛けをして、その探偵役を久我にさせるように仕向けたのか?
でも、とてもそんな風な演出にも見えなかったし。
とにかくムチャクチャな脚本としか言いようがない。
いったいどうやったら、こんなアホなストーリーを思いついたの?
以上が基本的なストーリーに対するツッコミだけど、それ以外にもツッコミどころが、そこかしこにあった。
まず、冒頭で同じ劇団に所属する6人がバスで移動する場面が出てるのだけど、全員目隠しをしていた。
しかも、主催者が手配したバスではなく、何のことはないただの路線バス。
そして、バス停に来ると「そろそろいいんじゃない?」と言って目隠しを取るのだが、どこに降りたのかわかるのに、何で目隠しなんかしたの?
そして、貸別荘には、すでに劇団員ではない久我がいたのだけど、彼だけなぜ単独で来たの?
というか、本多はなぜ久我だけ先に行かせたの?
結局のところ、このあたりの「伏線?」と思われる部分が、まったく回収されていないのである。
細かいところでいうと、途中で死体なんかどこにもないことを知らない田所が、裏庭に井戸を覗き込んで吐くシーンがある。
これみよがしに笠原が来ていた服の切れ端(?)が井戸のフタの部分についていたのだけど、井戸の中には当然何もないのに、何で吐いたの? こいつはいったい何を見た(つもり)なの?
これなどは鑑賞者に対する意味のないミスリードでしかない。
だいたい、別荘に潜んでいた麻倉って、3日間ずっと鏡部屋にいたの?
また、殺される役を演じた3人は、いなくなった後いったいどこにいたの?
特に、最初にいなくなった笠原は、最終日まで隠れる部屋なんかなかったはず。
さらに、最後に登場人物全員で舞台をやっているシーンが出てくるが、この舞台の脚本はいったい誰が作ったの?
今回、劇団で大きな影響力を持つ脚本家の東郷という人は、本多の仕掛けには一切関知していない。
仮に自分たちだけで作り上げたのだとしても、舞台に半身不随の麻倉や、劇団員でもない久我が出ていることに、東郷は「何でお前が」としか思わないだろう。
などなど登場人物のキャラ設定が壊滅的におかしい上に、展開がまったく支離滅裂で、見終わった瞬間は「はあ?」という感じだったけど、帰ってきてからいろいろと思い出してくると、だんだん腹が立ってきて、他の人のレビューも見るうちに、とうとう頭の中が爆発してしまいました。
何だか、別の意味で原作を読んでみたくなりました。
(追記)どうやら、原作がそうなっているみたい・・・でした。
なお、評価「E」にしたのは、「模倣犯」「サンダーバード」「2046」「サウンド・オブ・サンダー」「ジダン 神が愛した男」「オーストラリア」「座頭市 THE Last」以来で、実に13年ぶりです。
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